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FDA approved AI-CAD 2020
31st Dec. 2020 2nd Jan. 2021
Hirokazu Kawaguchi
@h_kawag
本スライドは、川⼝が趣味で作り始めたAI医療機器(AI-CAD)のまとめ資料になり
ます。本資料に盛り込んでいる情報は、FDAの公式データベース、企業のプレスリ
リース、ニュース等より個⼈で収集したものになります。そのため、全ての製品を網
羅できていない可能性や抜け落ちている部分はあるかもしれぬこと、ご容赦ください。
また、重ね重ねにはなりますが、あくまでも趣味でまとめている資料になりますので、
解説に関しても⾄らぬ点が多いかもしれません。その際はどうぞご指導頂けますと幸
いです。よろしくお願いいたします。
2021.01.02 川⼝浩和
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 2
01
02
03
04
⾃⼰紹介
本スライドの概要
AI-CADについて
FDA認可済AI-CAD2020
FDA approved AI-CAD 2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 3
01
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03
04
⾃⼰紹介
本スライドの概要
AI-CADについて
FDA認可済AI-CAD2020
FDA approved AI-CAD 2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 4
川口 浩和 博⼠(⼯学)
Hirokazu Kawaguchi, Ph.D.
所属:Aillis株式会社(⾊々と取り組んでおります)
ex 某国⽴⼤学
ex 医療画像AIスタートアップ
ex 外資系画像診断医療機器メーカー
新卒で医療機器メーカーに⼊社し、その後の医療画像AIスタートアップ
も含めて企業-⼤学の共同研究周りを⾊々と動いてきました。国⽴⼤学
にて再⽣医療をほんの少しだけかじったのち、2020年9⽉よりAillis株式
会社にjoin。素晴らしき⼈々に影響されながら多岐に渡って活動してお
ります。
01 ⾃⼰紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 5
01
02
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04
⾃⼰紹介
本スライドの概要
AI-CADについて
FDA認可済AI-CAD2020
FDA approved AI-CAD 2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 6
“現在、どのような&どれだけのAIが
医療機器として承認(認可)されているのか?”
02 概要︓動機付けその1
素朴な疑問
医療機器を開発するもしくは扱う事業者にとって、医療機器として印籠(承認・認
証)が付与されるのは⼤きなマイルストンの1つと認識しています。しかしながら、
AI医療機器に関しては承認(認可)の歴史が浅いこともあり、その承認戦略は⾊々
と不明瞭な部分も多いと感じました。とはいえ、承認の前例は少なからずある訳な
ので、まずは偉⼤な先駆者たちの轍を辿ってみようと考えた次第でした。そして上
記は、その考えの中でまずはじめに⽣じた疑問でした。
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 7
2020年9⽉に、npj digital medicine*というnature系オープンアクセス
ジャーナルに「FDA認可済AI医療機器とそのアルゴリズムの現状」とい
う論⽂がデータベースとともにpublishされました。この論⽂は、AI医療
機器に対するFDAの現在の規制と、これまでにFDAより認可されたAI医
療機器に関してざっくりサマリーしています。もちろんオープンデータ
ベース化まで実施しているのですが「FDA認可済AI医療機器」をまとめ
るだけでも需要があるのだとな認識しました(実際私も欲しかった)。
論⽂との出会い
*「npj digital medicine 2020年総まとめ」という150本ほどの論⽂に対してひたすらコメントしていくという荒技に近い講演を加藤
先⽣(@HiroakiKato)のヘルスケアビジネス研究会で実施させて頂きました。本講演内容にご興味のある⽅はぜひご連絡ください
02 概要︓動機付けその1
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 8
論⽂との出会い
なお、公開されているデータベースは12/30現在、最新情報ではないようです
(2020年のAI医療機器は6つしかリストされてない…)。逐⼀フォローアップして
データベースを管理するのも⼤変だろうなぁと思いつつ、それなら⾃分で作れば良
いのでは?そう囁いたのよ、私の中のgと思い⽴ったのでした。
02 概要︓動機付けその1
そんなとき、轟⽒(@Tdys13)に出会いました。
「AIx医⽤画像の現状と可能性」
というスライドを毎年作成・公開されているという強すぎる
取り組みを知り「こんな変態的な⽅*がいるんだ! 」と感服
しました(*勿論、良い意味です)。
私もそんな轟⽒に刺激を受け、趣味でまとめていたデータを
積極的に公開していこうと決意したのが2020年末でした。ち
なみに轟⽒から「AIx医⽤画像の現状と可能性」の2020年版
が先⽇リリースされたのは既にご存知ですよね!?
まだ⾒ていないという⽅はぜひ!→リンク
⼈との出会い
02 概要︓動機付けその1
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 10
本スライドでは主に⽶国で承認されているAI医療機器、その中でもCAD*と呼ばれる
主に放射線科での利⽤が想定されるAI医療機器(以降、AI-CADと称します)に関す
るデータをまとめています。
Q. なぜ⽇本ではなく⽶国なのでしょうか?
AI医療機器の承認体制は⽶国FDA**が最も先進的(主観)であり、既に数多くのAI
組込型システムが医療機器として認可されています。また、⽶国AI医療機器に関し
て⽇本語でまとめた資料が⾮常に少ないのも理由の1つです(⽇本のPMDAに承認
されているAI医療機器はまだ数も少なく、轟さんをはじめ多くの⽅がまとめてくだ
さっています)。
**Food and Drug Administrationの略、アメリカ⾷品医薬品局
少し話が脱線してしまいましたが
* Computer-aided Diagnosisの略、コンピュータ診断⽀援
02 概要︓動機付けその1
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 11
本スライドでは主に⽶国で認可されているAI医療機器、その中でもCAD*と呼ばれる
主に放射線科での利⽤が想定されるAI医療機器(以降、AI-CADと称します)に関す
るデータをまとめています。
Q. なぜCADなのでしょうか?
CAD⾃体は1990年代後半から多くの製品が医療機器として認可されていました。そ
のため、AIを取りいれるスピードも他医学分野と⽐べても⾮常に早い=AI医療機器と
して認可されたシステムとしてはCADが圧倒的に多く、前例を把握するのにちょう
ど良いと(勝⼿に)感じたためです。また、私のバックグラウンドは画像診断医療機
器界隈が強めなので、知識も有りまとめやすかったというのも理由の⼀つです。本当
は全てのAI医療機器のデータベースを作りたかったのですが単純にリソースが⾜りな
かった
* Computer-aided Diagnosisの略、コンピュータ診断⽀援
少し話が脱線してしまいましたが
02 概要︓動機付けその1
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 12
01
02
03
04
⾃⼰紹介
本スライドの概要
AI-CADについて
FDA認可済AI-CAD2020
FDA approved AI-CAD 2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 13
03 AI-CADについて
定義:(放射線科で)画像解釈プロセスを⽀援するためのコンピュータアルゴリズム
CADe, CADx, CADtなど様々なタイプのCADが提案*され、FDAより認可を受けています。
そもそもCADとは?
https://www.quantib.com/blog/a-101-guide-to-the-fda-regulatory-process-for-ai-radiology-softwareより引⽤、改編
CADt
Computer Aided/Asisted
triage
Patient A: Suspicious
Patient B:
鑑別診断異常検出 トリアージ
*あくまでも便宜上のタイプ分けであり、認可されたCADがどのタイプに属するかは書類上は不透明なこともあります
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 14
CADの解説については既に数多くの⽂献・論⽂*,**がありますので、詳細を知りたい
⽅はこちらをご参照頂ければと思います。
そもそもCADとは?
*英語⽂献
[1] Fujita, Hiroshi. "AI-based computer-aided diagnosis (AI-CAD): the latest review to read first.
" Radiological Physics and Technology 13.1, 6-19, (2020).
[2] Hosny, A., Parmar, C., Quackenbush, J. et al. “Artificial intelligence in radiology.” Nat Rev Cancer 18,
500‒510 (2018).
[3] Regge, Daniele, and Steve Halligan. "CAD: how it works, how to use it, performance." European
Journal of Radiology 82(8), 1171-1176, (2013).
[4] Van Ginneken, Bram, Cornelia M. Schaefer-Prokop, and Mathias Prokop. "Computer-aided diagnosis:
how to move from the laboratory to the clinic." Radiology 261(3), 719-732, (2011).
**⽇本語⽂献
[1] 藤⽥広志. “いま進化・多様化するコンピュータ診断⽀援(CAD)” 医⽤画像情報学会雑誌 36(2), 25-29,
(2019).
[2] ⼟井邦雄. “1. 医⽤画像とコンピュータ⽀援診断 〜現状と将来の可能性〜” 映像情報メディア学会誌,
65(4), 427-431, (2011).
また、商業的解説が多くはなりますが⽉刊インナービジョンという商業誌においてもCADの最新動向がたび
たび解説されています。
03 AI-CADについて
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 15
ひとえにCADといえど、その使われ⽅も様々定義されています。
CADの使われ⽅は?
Beyer F. et al. (2007) European radiologyより引⽤・改編
First reader型 Second reader型 Concurrent reader型
読影者 読影者
医用画像 医用画像 医用画像
読影
者
読影レポート読影レポート読影レポート
読影
者
a) First reader型
はじめにCADで解析した後、CADが拾い上げ
た所⾒のみ読影
b) Second reader型
はじめにCADを利⽤せずに読影後、CADで解
析してCADが拾い上げた所⾒を再度読影
c) Concurrent reader型
CADが解析した結果と並⾏して読影
現在FDAに認可されているCADはbとcのみ
(ほとんどがb)
03 AI-CADについて
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 16
⽶国にも⽇本同様のクラス分類があります。
FDAにおける医療機器のクラス分類とCADの⽴ち位置
クラス分類 概要
クラスI
仮に不具合や⽋陥があった場合でも患者や利⽤者に危害を加えない医療機器
例:絆創膏、包帯など
クラスII
⽋陥や不具合が⽣じた際のリスクがクラスⅠよりも⾼く、患者や使⽤者に危害を与える可能性がある医療機器
例:⼼電図計、⿇酔装置、CT、MRI、(実は)ECMOなど
ここ数年、ほぼ全てのCADはクラスIIで認可されています
クラスIII
⽋陥や不具合が⽣じた際のリスクが最も⾼く、⽤途によっては患者や利⽤者の⽣命維持において深刻な障害で
あったり最悪死亡の危険性も想定される医療機器
例:ペースメーカー、⼈⼯⼼臓弁、脳深部刺激装置など
CADeがリリースされたばかりの頃はクラスIIIで認可されていた時期もありました
03 AI-CADについて
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 17
⽇本同様に、⽶国で医療機器の販売するためには申請⼿続きを⾏う必要があります。
FDAの市販前申請区分とCADの⽴ち位置
市販前申請区分 概要
510(k) clearance
俗に「510k」と呼ばれ、既に市販されている医療機器と実質的に同程度の安全性かつ有効性をFDAに⽰
すための申請パス。先⾏医療機器との「実質同等性」が評価されます。
2020年、多くのCADは510(k)で認可されています
Premarket approval
(PMA)
主にクラスⅢの医療機器に対して市販前認可を付与するための申請パス。クラスIII=⼈の健康に⼤きな
影響を与える可能性のある医療機器とみなされることから、他のパスよりも厳しい科学・規制⾯での評
価が実施された上で安全性と有効性が判断されます。
クラスIIIで認可されていた頃のCADはPMAのプロセスを経ていました
De Novo pathway
「実質同等性」を担保できる先⾏医療機器が存在しない場合に、新規医療機器としての安全性かつ有効
性をFDAに⽰すための申請パス。リスク-ベネフィットを天秤にかけて市販の可否を判断される傾向にあ
ります。かつてはDe Novo = ⾃動的にクラスIIIと判断されたり、まずは510 (k)の申請を実施しないとDe
Novoの申請ができないこともあったようですが、現在はクラス I, IIともにダイレクトでのDe Novo申請
が可能です。
全く新しい機能が搭載されたCAD(例:トリアージ機能の初実装)はDe Novoで認可されています
なお、クラスIに分類される医療機器で510(k)免除製品に該当する場合は、リスティング(Device Listing)と施設登録のみで販売
可能となります
03 AI-CADについて
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 18
⽇本と⽶国の申請区分&クラス分類の
違いに関して詳しくないため、PMDA
の資料を引⽤します(申し訳ありませ
ん…)。
なお、⽶国の欄にDe Novoに関する記
載が⾒当たりませんが、クラスIとク
ラスIIにまたがる形でDe Novoという
市販前認可プロセスが別途存在してい
るという認識です。
FDAにおける医療機器のクラス分類とCADの⽴ち位置
PMDA, 医療機器審査の概要 資料9−3 医療機器専⾨部会追加説明資料より引⽤
03 AI-CADについて
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 19
01
02
03
04
⾃⼰紹介
本スライドの概要
AI-CADについて
FDA認可済AI-CAD2020
FDA approved AI-CAD 2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 20
Head, 15
Abdomen, 11
Heart/Vessel, 11
Chest, 9
Breast, 6
Musculoskeletal
5
Others, 6
Target CT, 35
MRI, 16
US, 8
X-ray, 6
MMG, 6
Others, 1
Modality
同定した64種類のAI-CAD*を解析対象で細分化
US: 超⾳波
MMG: マンモグラフィ
X-ray: 単純X線
H
ead
CT
MRI
Abdomen
CT
MRI
CT
MRI
US
Chest
CT
X-ray
Breast
M
M
G
Musculoskel
etalCT
X-ray
Heart/Vessel
MRI
US
*部位(Target)、モダリティ(Modality)ともに対象が複数あるAI-CADがあります。なお、内視鏡は含まれていません。
CAD解析対象となる部位は全⾝万
遍なく網羅されている印象です。
CAD解析対象となるモダリティは
CTが圧倒的多数で次点がMRI。超
⾳波が想像以上に多い印象でした。
64
AI-CAD
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 21
Breast MMG, 3
Head CT, 1
4
CADx
CT
Head, 9
Chest, 1
X-ray
Chest,2
Abdomen,
1
Musculoske
letal, 1 Breast MMG, 2
2
Concurrent
Reader
15
Triage
個⼈的に気になった3つのタイプのAI-CADを細分化
全体の1/4がトリアージAIと勢いを感じました。そ
のうち9あるHead CTの対象疾患は全て脳出⾎。
2018年にViz.AI社のContaCTがDe Novoで認可され
たことを受けて認可数を伸ばしていると想像します。
MMGのCADx(+Concurrent Reder型)も認可数を増
やしている印象です。2018年にImagen Technologies
社のOsteoDetectがDe Novo認可されたことを受けて
の増加傾向と想像します。とはいえ絶対数は少ないの
はきっと治験・申請が⼤変だから。
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 22
所感
l 頭部
ü CTの脳出⾎トリアージAIが隆盛
ü 単純CTからの早期虚⾎サインをスコア化したASPECTS(Alberta Stroke
Program Early CT Score)を推定するCADxが新たに登場。頭部における
CADxの認可は初
ü MRIの形態解析やPerfusion解析のサポートとしてAIが⽤いられるケースも
l ⼼臓/⾎管
ü 超⾳波画像が主流。⼼機能や⾎流の測定をサポートAIが多い中、冠動脈疾患
診断をサポートをするAI(おそらくCADe)も新たに登場。超⾳波画像解析
におけるCADe認可は初?
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 23
所感
l 上/下腹部
ü PI-RADS*に基づいた前⽴腺MRI診断のサポートとしてのAIをいくつか確認
ü CTは肝臓の形態解析のサポートとしてのAIが数件確認される中、腹腔内遊
離ガスのトリアージAIが登場
l 胸部(肺)
ü CTについては肺組織のセグメンテーションや容積評価等の解析が多数を占
める中、偶発的肺⾎栓症トリアージAIが初認可
ü 単純X線については気胸のトリアージAIのみ
*PI-RADS, Prostate Imaging Reporting & Data System
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 24
所感
l 乳房
ü マンモグラフィは昔からCAD開発が盛んな領域であるため、CADxや
Concurrent Reader型AIの認可は他部位よりも数歩先を進んでいる印象
l 筋⾻格
ü CTについてはセグメンテーション等の単純な解析と椎体圧迫⾻折のトリ
アージ⽤AIが認可
ü 単純X線からCTと同等の3D⾻再構成画像を⽣成するAIが認可
l その他
ü 治療計画⽤にMRやCTの画像解析を実施するAIがいくつか認可
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 25
2020年に認可を受けた企業から独断と偏⾒でいくつかご紹介
本当は全部解説したい
Breast MMG, 3
Head CT, 1
4
CADx
CT
Head, 9
Chest, 1
X-ray
Chest,3
Abdomen,
1
M
usculoske
letal, 1
15
Triage
Non-CADe/CADe
1.
2.
3.
4.6.5.
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 26
Established: 2017
HQ: Oxford, UK
https://www.ultromics.com/
ULTROMICS
1.
2017年 オックスフォード⼤学からスピンオフして会社設⽴
2018年 Oxford Sciences Innovation主導で1000万ポンド資⾦調達
2019年 超⾳波から⼼機能測定を⾏うAI医療機器 EchoGo CoreがULTROMICSとして初
のFDA認可
2020年 Oxford Sciences InnovationとMayo Clinic主導で1000万ドル資⾦調達
超⾳波から冠状動脈疾患の予測を⾏うAI医療機器 EchoGo ProがFDA認可
超⾳波に特化したAI開発を⾏うスタートアップ。英国の国⺠健康サービスであるNHSとも
組んでおり、超⾳波AIの地位を確⽴させようとチャレンジしているようです。これまで
「計測」が主体だった超⾳波AIに「疾患予測」というブレークスルー技術を導⼊したこと
で、今後の超⾳波AIを盛り上げていく⽴役者となりそうな予感。
こちらを紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 27
Established: 2017
HQ: Oxford, UK
https://www.ultromics.com/
ULTROMICS
1.
デバイス名:EchoGo Pro
ü 対象疾患:冠状動脈疾患
ü 搭載機能:疾患リスク予測
ü 類似機器:未確認
ü 対象画像:⼼臓超⾳波画像
ü 性能試験:オックスフォード⼤とNHS(英国の国⺠保険サービス)主導のEVAREST試
験*の中で性能評価が実施されている模様(未確認)
ü コメント:英国の死因第1位である⼼疾患(ちなみに⽇本だと腫瘍、がん)にターゲッ
トを絞り開発された世界初の冠状動脈疾患予測AI。英国では60,000件のうち約12,000件
の⼼臓超⾳波スキャンで誤診が発⽣しているそうで、不必要な⼿術と再発患者の治療に
6億ポンドの費⽤がかかっているとか。NHSはその費⽤抑制に貢献する企業のうちの1
社としてULTROMICS(特にEchoGo Pro)を選出している模様。
認可サマリーが未リリースのため未確認情報多めです
*EVAREST試験(clinicaltrial.gov)
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 28
Established: 2015
HQ: Beijing, China
https://global.infervision.com/
InferVision
2.
2015年 中国深圳市に会社設⽴
2016年 Innoangel FundとPowercloud Venture Capital主導で2000万ドルの資⾦調達
(シリーズA)
2017年 Sequoia Capital主導で750万ドルの資⾦調達(シリーズA)
Qiming Venture Partners主導で1800万ドルの資⾦調達(シリーズB)
InferVision Japan設⽴
2018年 Sequoia Capital主導で4700万ドルの資⾦調達(シリーズC)
2019年 超⾳波から⼼機能測定を⾏うAI医療機器 EchoGo CoreがULTROMICSとして初の
FDA認可
2020年 InferRead CT PneumoniaがCOVID-19診断関連でPMDA認可
InferRead Lung CT.AIがFDA認可(PMDAもFDAもInferVisionにとって初認可)
個⼈的にAI-CADのアジアの雄という認識ですが、それでも初のFDA認可が2020年であること
から、アジアのAIスタートアップにとってFDA認可の壁が⾮常に⼤きいことを改めて実感しま
した。なお、FDAとPMDAどちらの認可も受けているAI-CADがこのInferVision社とSIEMENS
社の2社のみであることは、⽇本と⽶国における環境の違いが浮き彫りにされているように感
じられ、また他のFDA認可済みAI-CADの今後の⽇本での動向も(様々な意味で)気になります。
こちらを紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 29
デバイス名:InferRead Lung CT.AI
ü 対象疾患:無症候性の肺結節
ü 搭載機能:肺結節検出
ü 類似機器:ClearRead CT
ü 対象画像:胸部CT画像
ü 性能試験:メリーランド⼤学にて治験を実施。参加者250名(陽性数不明)で、AUC、
感度、特異度、PPV、NPVをプライマリエンドポイントとして設定し、AIの使⽤で肺結
節検出能が有意に向上しただけでなく、読影時間の短縮効果も得られていた。
ü コメント:肺結節検出CADは多数存在していますが、意外にも本製品が深層学習を⽤い
た初のAI-CADとして位置付けられるようです。⽶国で最も死亡率の⾼いがんが肺がん
ですが、様々な理由から⽶国での肺がん検診受診率は⾮常に低いそうです(~1.0%程
度?)。 InferVisionはそこに⾵⽳を開けようとチャンレンジしている模様。
Established: 2015
HQ: Beijing, China
https://global.infervision.com/
InferVision
2.
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 30
デバイス名:InferRead Lung CT.AI
ü 対象疾患:無症候性の肺結節
ü 搭載機能:肺結節検出
ü 類似機器:ClearRead CT
ü 対象画像:胸部CT画像
ü 性能試験:メリーランド⼤学にて治験を実施。参加者250名(陽性数不明)で、AUC、
感度、特異度、PPV、NPVをプライマリエンドポイントとして設定し、AIの使⽤で肺結
節検出能が有意に向上しただけでなく、読影時間の短縮効果も得られていた。
ü コメント:肺結節検出CADは多数存在していますが、意外にも本製品が深層学習を⽤い
た初のAI-CADとして位置付けられるようです。⽶国で最も死亡率の⾼いがんが肺がん
ですが、様々な理由から⽶国での肺がん検診受診率は⾮常に低いそうです(~1.0%程
度?)。 InferVisionはそこに⾵⽳を開けようとチャンレンジしている模様。
Established: 2015
HQ: Beijing, China
https://global.infervision.com/
InferVision
2.
なお、今回得た個⼈的な知⾒として…
類似機器として指定されているClearRead CT
ですが、肺結節の検出機構はInferReadとは⼤
きく異なります。というのもClearRead CTは
肺⾎管やその他の正常な肺組織構造の信号を
“抑制”した上で肺結節を強調・検出します。それでも、InferReadがClearRead CTを類
似機器として引⽤・⽐較する際に「〜という点で異なるが装置の使⽤⽬的や安全性、有
効性に影響を与えるものではない」と記述することで、同等性を主張していました。
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 31
HQ: Erlangen, Germany
www.siemens-healthineers.com
https://www.nanox.vision/
Nano-X
Imaging Ltd
HQ: Chicago, Illinois, US
www.gehealthcare.com
3.
SIEMENS
Healthineers
GE Healthcare
SIEMENSとGEについては、認可されたAI-CADを紹介するというよりも、その承認戦略に
ついて紹介したいと思い、記載しています。というのも、2020年にFDA認可されたAI-
CADの数がともに5つずつ、計10も存在しており、⾮常に効率的に承認プロセスを回して
います。勿論どちらも歴史ある⼤企業で、確固たる組織のもと承認サイクルを回している
とは思いつつも、今回両企業の認可サマリーをみて気づいたのは、AI-CADを510(k)の申
請をする際、その類似機器には⾃社製品(AI⾮搭載)をあてがっています(薬事界隈にい
る⽅々にとっては普通のことかもしれないのですが)。認可サマリーには「Artificial
Inteligence」や「Deep Learning」という機械学習絡みの⽂⾔の記載が全くないにもかか
わらず、HPには「Software based on AI」と明らかにAI医療機器であることが記載されて
いたりします(もしかすると申請書の何処かには記載されているのかもしれませんが)。
認可サマリーでのAI⾮搭載類似機器との⽐較表を確認すると、1) あくまでも⾃社製品の機
能拡張であり、2) 機能拡張による有効性と安全性は変わらず、3)機能拡張により意図した
使⽤⽅法は不変である、これらを述べることで、機能拡張によりAIが搭載されてもあくま
でも製品の本質は不変であることを⽰すことで、臨床研究の必要性を回避しているようで
す。裏を返せば、両企業からは“⾰新的”なAI-CAD(トリアージAIやCADx)はリリースさ
れておらず、従来のCADの延⻑のようなAI-CADの開発をメインに⾏なっていると捉える
こともできそうです。つまり、“⾰新的”なAI-CADのFDA認可をえるためには、⽶国での臨
床研究が必須、ということでもありますね…という、以上、単なる私の所感でした。
AI-CADの製品紹介も全くせず⻑々とスミマセン…
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 32
Established: 2012
Location: UK
https://www.rapidai.com/
RAPID AI
4.
2012年 スタンフォード⼤学から画像解析技術プラットフォームであるRapid
technologyを買取り、会社設⽴(当初の社名はiSchemaView)
2013年 CT灌流画像解析のRapid CTPとDWI/MR灌流画像解析のRapid MRIが
FDAより認可(認可名:Ischemaview Rapid)
2018年 脳⾎管の⾮対称性を検出するRapid CTAがFDAより認可
(認可名:Ischemaview Rapid)
2020年 Lennertz&Co主導で2500万ドルの資⾦調達(シリーズB)
脳出⾎トリアージAIのRapid ICH、⼤⾎管閉塞トリアージAIのRapid LVO、
早期虚⾎サインをスコア化したASPECTSを推定するCADxのRapid ASPECT
これら3つのAI-CADがFDAより認可
AI-CADスタートアップの中では古株ですが、2020年になって⼀気にトリアージAIx2と頭
部CTに対するCADxというインパクトのある認可を得ました。Rapid LVOについては(後述
する)NTAP適⽤医療機器にもなるようなので、これまで以上に注⽬を集めそうです。
iSchemaView, Inc.
こちらを紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 33
Established: 2012
Location: UK
https://www.rapidai.com/
RAPID AI
4.
iSchemaView, Inc.
デバイス名:Rapid ASPECTS
ü 対象疾患:MCAまたはICA閉塞による
早期虚⾎(6時間以内のみ検証済)
ü 搭載機能:ASPECTSに基づく初期の
虚⾎性変化のスコアリング
ü 類似機器:QuantX
ü 対象画像:頭部CT画像
GEのCT(Lightspeed VCT)のみ対応*
ü 性能試験:早期虚⾎50症例の脳画像に対して、幅広い専⾨領域を持つ3⼈の読影者(⾮
神経放射線科医)がスコア付け(同時読影試験)を⾏い、神経放射線科医の読影との⼀
致度を検証。AIを併⽤することで、神経放射線科医の読影結果との⼀致度が有意に向上
しただけでなく、⾮専⾨医間の読影⼀致度も向上した。
ü コメント:そもそも頭部CTのCADxを510(k)で申請通したのが凄いです…!その⼀⾔。
*最近ベンダー指定のAI-CADが⽬につくようになった気がします
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 34
Established: 2012
Location: UK
https://www.rapidai.com/
RAPID AI
4.
iSchemaView, Inc.
デバイス名:Rapid ASPECTS
ü 類似機器:QuantX
*最近ベンダー指定のAIが⽬につくようになった気がします
なお、今回得た個⼈的な知⾒として…
類似機器として指定されているQuantXは、そもそも乳房
MRI造影(ダイナミック)画像から腫瘍の両悪性を⽰唆
するスコアリングを⾏うCADxになります。そのため、
Rapid ASPECTSとは疾患/臨床⽤途が⼤きく異なります。
しかし⾮常に興味深いことに、下記のようなQuantXとの同等性(共通性)を主張した上で、
・CADxの⼀般的な定義
・放射線科医(臨床医)の画像内における形態学的特徴の評価・スコア化を⽀援
・ROIの解析⽅法(セグメント化→解析)
・抽出された特徴をAIによって臨床基準スコアとして出⼒
・QuantXは既知のデータベース、Rapid ASPECTSはASPECTSアトラスに基づいてスコア化
最終的には「 2つのCADの臨床的な焦点は異なるが、そのアプローチは⼀般的にCADxの指定範囲内に収
まっているため、Rapid ASPECTSはQuantXと実質的に同等」という主張で締めくくっていました。そ
して、認可された訳です。以上、これが薬事戦略か、と思わせてくれた認可サマリーでした。
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 35
Established: 2016
HQ: Israel
https://www.aidoc.com/
Aidoc
5.
2016年 元イスラエル国防軍の3⼈の技術者が会社設⽴
2017年 TLVPartners主導で700万ドルの資⾦調達
2018年 Squarepeg主導で2700万ドルの資⾦調達
(追加投資により2019年までに計4150万ドルを調達)
頭蓋内出⾎トリアージAIのBriefCase(for ICH)がFDAより認可
2019年 肺塞栓症トリアージAIのBriefCase(for PE)、
頸椎⾻折トリアージAIのBriefCase(for Acute C-Spine Fracture)、
⼤⾎管閉塞トリアージAIのBriefCase(for LVO)の3つがFDAより認可
2020年 腹腔内遊離ガストリアージAIのBriefCase(for IFG)、
偶発的肺塞栓症トリアージAIのBriefCase(for iPE)の2つがFDAより認可
2016年設⽴からわずか4年間で既に6種類ものAIのFDA認可を取得しており、個⼈的に
(個⼈的でなくとも間違いなく)AI-CAD界隈のトップリーダー。CTのトリアージAIに特化
し、包括的な全⾝ソリューションの展開を⽬指しています。BreifCAse for LVOが(後述す
る)NTAP適⽤になりそうなので、今後ますます注⽬度が増しそうです。
こちらを紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 36
Established: 2016
HQ: Israel
https://www.aidoc.com/
Aidoc
5.
デバイス名:BriefCase for iPE Triage
ü 対象疾患:偶発的肺⾎栓症(iPE)
ü 搭載機能:患者のトリアージ/優先順位付け
ü 類似機器:BriefCase (for PE)
ü 対象画像:既存の造影CTプロトコルであればOKで、専⽤のCTPAプロトコルは必要な
い(なので“偶発的”所⾒に対応可能)。ただし、 GEおよびSiemensのCTのみ対応。
ü 性能試験:後ろ向きでの治験を実施。陽性74例、陰性194例で感度・特異度を検証し、
⽬標値超えを達成。そのうち陽性63例を⽤いて、放射線科医が読影を通じてiPE症例に
対して対応するまでの時間をAIの有無で検証したところ、AIにより約200分から約5分
まで短縮、トリアージAIの有効性を証明した。
ü コメント:PEの偶発的有病率は2.6%であるという調査報告をもとに、その偶発的所⾒
をいかに早く拾い上げるかという部分に注⼒。偶発的所⾒を(偽陽性低く)検出可能
なAIを世界で初めて構築し、患者のターンアラウンドタイムを数分に短縮することで
患者アウトカムや医療費削減への貢献が期待されているようです。 @h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 37
Established: 2016
HQ: Israel
https://www.aidoc.com/
Aidoc
5.
なお、Aidocの肺⾎栓トリアージAIが510(k)認可された際、(後ほど紹介し
た)トリアージ界隈のニュースも相まって私も興奮していた模様
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 39
Established: 2018
Location: La Ciotat, France
https://avicenna.ai/
Avicenna.Ai
6.
2018年 医療機器ソフトウェアエンジニアと放射線科医によりフランスで設⽴
2020年 InnovacomとCEMAGInvestより300万ドルの資⾦調達
脳卒中検出に関してCanon Medicalとパートナーシップと締結
脳卒中トリアージAI(CINA)がFDAより認可
CMSよりNTAP適⽤が決定
FDA認可をうけたAI医療機器はCINAただ⼀点のみですが、そのCINAがさっそくNTAP適⽤
医療機器として認定されたことで、今後注⽬度・影響⼒を増していきそうです。
こちらを紹介
こちらを紹介
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 40
Established: 2018
Location: La Ciotat, France
https://avicenna.ai/
Avicenna.Ai
6.
デバイス名:CINA
ü 対象疾患:頭蓋内出⾎(ICH)と⼤⾎管閉塞(LVO)
ü 搭載機能:患者のトリアージ/優先順位付け
ü 類似機器:BriefCase (for ICH)、ContaCT(for LVO)
ü 対象画像:⾮造影/造影頭部CT画像
ü 性能試験:後ろ向き臨床試験を実施し(ICH患者255例/814例、
LVO患者188例/476例)感度、特異度、トリアージ通知までの
時間の3つが類似機器と実質的同等であることを⽰した
ü 特徴:毎年100,000⼈以上が亡くなり⽶国の主要な死因である
脳卒中をターゲットに据えており、脳卒中の主な原因である
ICHとLVOのトリアージを⾏う。Avicenna.Aiにとって初めての
FDA認可プロダクトでありながら、NTAP適⽤という快挙をな
し遂げた。
次ページへ→
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 41
Established: 2018
Location: La Ciotat, France
https://avicenna.ai/
Avicenna.Ai
6.
LVOトリアージAIがNTAP償還決定!!
個⼈的に2020年AI医療機器界隈におけるNo.1ニュースです
NTAP(New Technology Add-On Payment)とは?
臨床現場への新技術導⼊を推奨するために医療機関を財政的に⽀援するメディケア(⾼齢
者および障害者向け公的医療保険制度)の診療報酬制度です(いわゆる新技術加算的な)。
なお「新技術」については以下の3つの要件を満たす必要があります;
1. FDA認可もしくは市場導⼊後2~3年以内の新技術である
2. 既存のメディケア重症度分類システム(MS-DRG)では⽀払いが不⼗分である
(新技術適⽤時のコストがMS-DRGで定められたコストを⼤幅に超過する)
3. 既存技術と⽐較して、臨床的アウトカムに⼤幅な改善が⾒込まれる
LVOトリアージAIは全ページの3条件を全て満たし、メディケア受給者のアウトカムを⼤
幅に改善できると判断されたため、AI医療機器として初のNTAP適⽤が決定しました。
(続く)
いきなりの⾒出し
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 42
Established: 2018
Location: La Ciotat, France
https://avicenna.ai/
Avicenna.Ai
6.
LVOトリアージAIがNTAP償還決定!!
個⼈的に2020年AI医療機器界隈におけるNo.1ニュースです
医療機関に対してNTAPで⽀払われる⾦額は?
脳卒中トリアージAIの場合は1,600ドル/1患者と決定されており、新技術の費⽤の最⼤
65% (最⾼1,040ドル) が医療機関に⽀払われるようです。ただし、NTAPで⽀払いを受ける
ためには、該当患者の⼊院中に脳卒中トリアージAIを使⽤されていなければなりません。
また、NTAP適⽤中の実績によっては将来的な保険償還に繋がることもあるそうです。
今回のNTAP適⽤となるAI医療機器は?
最初にNTAP適⽤が報告されたのはViz.AI社のContaCT(2018年にDe Novoで認可)とこ
のAvicenna.AiのCINAのみでした。が、どうやらNTAPはこの2つだけでなく、NTAPを取
得した製品と「実質的に類似」している他の医療機器にも適⽤されていくようです(払戻
しの対象となるコードが同⼀であればOK)。つまり頭部CTA画像に対するLVOトリアージ
AIをFDAより認可されているAidoc社やRapid AI社も遅かれ早かれNTAPの適⽤対象となる
と考えられます! @h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 43
Established: 2018
Location: La Ciotat, France
https://avicenna.ai/
Avicenna.Ai
6.
LVOトリアージAIがNTAP償還決定!!
個⼈的に2020年AI医療機器界隈におけるNo.1ニュースです
なお、この⼤ニュースを知った時にも興奮していたようです
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 44
番外編:CADではありませんが、こんなAIもあります
突然ですが質問です
Q. 2020年、これら⼤⼿医療機器メーカー3社からそれぞれ
AIを⽤いた類似のシステム(CADではない)が申請され、
FDAより認可を受けました。そのシステムとは⼀体?
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 45
番外編:CADではありませんが、こんなAIもあります
突然ですが質問です
Q. 2020年、これら⼤⼿医療機器メーカー3社からそれぞれ
AIを⽤いた類似のシステム(CADではない)が申請され、
FDAより認可を受けました。そのシステムとは⼀体?
A. 深層学習ベースの画像再構成システム
これはCTやMRIで、深層学習を⽤いてNoisyな画像からNoiselessな画像を
再構成するシステムです。実は2020年が初認可というわけではなく、昨年
あたりから認可はされ始めていたのですが、メーカーによっては装置と紐付
けて都度申請しているようで、510(k)でもDeep Learning Reconという⾔葉
を何度か⽬にします。この画像再構成システムの概要は、Canon社のAiCE
というシステムの解説記事がイメージを掴みやすいかと思います。 https://jp.medical.canon/products/magnetic-resonance/aiceより引⽤
04 FDA認可済AI-CAD2020
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 46
まとめ
今回は2020年FDA認可済AI-CADをまとめてみた中で、AI-CADのデータベースを個⼈的に作るだけ
でも⾯⽩いのですが、AI-CADの認可サマリーの中⾝を読むとその認可の背景にある様々なストーリー
を知ることができ、勉強になるのは勿論のこと、データベースを作るのとはまた違った⾯⽩さがあり
ました。今回紹介しきれなかったAI-CADの中にも素晴らしい製品は⾊々とありますし、また2021年
も新たなAI-CADが登場してくると思いますので、また定期的にアップデートしていければと思います。
なお、個⼈的にAI-CAD2020年1番のニュースはやはり「LVOトリアージAIのNTAP償還決定」でし
た。今回詳細は述べませんが、元祖CADxであり糖尿病網膜症診断AIのIDx-DRも⽶国での保険償還⼀
歩⼿前のところまできています。今後はAI医療機器の保険償還へ向けた動きがますます活発になって
いくと思われますので、その辺りも引き続きウォッチしていきたいと思います。
また、いずれはAI-CADだけでなく、放射線科医療機器まとめや、デジタルヘルス医療機器まとめ等
も(時間が許す限りですが)作ってみたいと思っています。つきましては今回の内容も含め、今後に
ついてもご意⾒・ご質問いただけますとと嬉しいです。最後までご覧頂きありがとうございました。
@h_kawag
Copyright © Hirokazu Kawaguchi 47
THANK YOU
@h_kawag

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