Isom2017の要点

概要（ISOM2000→ISOM2017）
• 競技者視点では大きな変更はない
• 一部新記号があるが、何も知らなくても、実質的な
影響は小さいと考えられる
• ICL、CC7がISOM2017でしたが気になりました？
• 「総描」が非常に強調されている
• 2000年以降の技術の進化に伴う情報過密な地図への
反動？
• 正確性・情報量＜判読性
• 最小寸法の規定が細かくなった
2

日本での対応
• JSOM2017は制定しない
• ISOM2017をそのまま日本で使用
（形式的にはISOM2017を「日本オリエンテーリング地図図式」とみ
なす）
• 海外で活躍する選手・日本で走る外国人選手への配慮
（海外レースのルートチョイスで）
• ローカル記号を廃止してもISOM記号の組み合わせで表記可能
• ローカルの記号があると後々のISOM改訂で整合が取れなくなる可能性
• 当面の間はJSOM2007の使用も可
• 地図資産の有効活用のため
• 機械的な置き換えはやりにくそう
• 耕作地の表記だけが問題
3

耕作地等について
• JSOM2007, JSSOM2007では、耕作地、果樹園、
ぶどう畑は原則立入禁止だが、
これは日本のローカルルール
• 国際ルールでは元々立ち入り可能
• このタイミングで耕作地の表記についても
国際標準に合わせる
4

耕作地の表記法
耕作地＋パープルの面積が大きく、
あまりにウルサイ場合は
• 黄色75%を使用
（オープンの規定の転用）
• パープルの濃度を下げる
等の手も考えられる
ひと目で立入禁止と分かればOK
不適切な表記適切な表記例
立入可能
立入可能
立入禁止
立入禁止
• 耕作地等には必ずハッチをかける
• 立ち入り可能な耕作地は
オープンで表記
• JSOM/JSSOMを使用する場合も同様
に表記する
5
min. 10. 5
OK

記号の変更
• 記号の追加/変更/削除以外に統廃合も有り
(例：こぶ、凹地、傾斜線、等高線数値は101等高線
に統合)
• 線の太さ、破線の隙間、点線の間隔の変更多数
傾向：
• 通行不能の記号→太く
• ドット、単線付き記号→間隔を狭く
• ドラフト版では通行不能＝通行禁止だったが、それ
は無しに
• “地図に通行不能で表記されていないということは、必ず
しもすべてのオリエンティアが通行できるということを意
味しない。しかしながら、平均的なエリートオリエンティ
アが通常のコンディションで通行可能であるべきであ
る。”
7

点状記号の変更
• 「特殊な点状特徴物」（◯、×）が変更
→色覚障害への配慮
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM0.9 ( )OM 0.16
0. ( )9 OM
0. ( )9 OM
0.18
0.9 ( )OM
0.5 ( )OM
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM
0.8 ( )OM 0.16
0.16
0.8 ( )OM
0.8 ( )OM
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM
8

記号変更点：地形
• 補助曲線の寸法の変更
→視覚的インパクトを減らすため
• 凹凸地の走行可能度の定量化
• 穴の最小直径：2m→1m
JSOM2007で直径2m以下とあるが2m以上の誤訳
• 土がけ：非常に高い場合は主線を太く→削除
0.1
2.00.2
min.
0.1
0.4 ( )OM
1.1 ( )OM
1.1 ( )OM
ø 0.2
min.
max. 0.6 ( )CC
(9–13%)
ø 0.2
min.
max. 0.38 ( )CC
(22–28%)
Normal running speed
Slow running
↓ISOM2000 ↓ISOM2017
9

記号変更点：岩と石
• （新記号）巨大な岩
• おそらく面状特徴物（実寸）
• 内部の白は建物との区別のため？
• （新記号）トレンチ（塹壕）
• れき地、岩石地→密度の定量化
• 岩がけの主線の端は必ず丸く
ø 0.2
min. 0.3
0.8
0.6
0.5
max. 1.2 ( )CC
max. 0.6 ( )CC
0.8
0.6
0.5
min.
(31–47%)
ø 0.2
min.
max. 0.6 ( )CC
(9–13%) ø 0.2
min.
(19–25%)
ø 0.2
min.
(31–38%)
A通常速度 B速度低下 C走行困難 D通行困難
0.10
0.10
0.10
min.
れき地
岩石地
min. 0.65 ( )OM
min. 0.6 ( )OM
0.2
0.12
min. 0.4 ( )OM
0.5 ( )CC
0.4 ( )OM
0.2
10

トレンチのイメージ
• “戦時中の塹壕(溝・堀)を表現するのに有用である(フィンランドからの要求と、
WOC2014イタリアのミドルディスタンスのテレインからの経験による)”
（Changes from ISOM2000 to ISOM2017より）
• 日本であるとすれば地質調査の跡など？
• 両側が岩・コンクリートなどでできた堀
• 横断可能だがやや手間取る（容易に横断できるなら、きれつ）
• 人工じゃなくても良いが、自然界に存在する？
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記号変更点：水系
• 記号が整理された（渡れない河川、湖→通行不能な水域に統合など）
• 浅い水域（ISSOMと同じような記号）
• 井戸が◯→□に
0.18
Minimum width 0.3 ( )IM
min. 0. ( )7 OM
100%
0.10
Minimum width 0.3 ( )IM
min. 0.7 ( )OM 1.25
0.25
50%
0.30
min.
通行不能
通行可能
12

記号変更点：植生
• 402セミオープンの記号変更（色が反転）
• 402,404：白丸の中を緑で塗る新表現
→木ではなく、藪（走行可能度に影響を与えない）がまば
らにある場合に使う
→日本では、果樹園（JSOMでは通行禁止）と非常に紛ら
わしいためこの表記は非推奨
(使う場合は注意喚起などの配慮)
(74%)
0.7ø 0.4 45
min. (35%)
0.8 ( )CCø 0.5 45
402まばらに木の生えた開けた土地
（セミオープン）
404まばらに木の生えた開けた荒地
（セミラフオープン）
非推奨
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• 濃度変更（ドラフト版ほどの大きな変更ではなくなった）
B藪（30%→20%）
C藪（60%→50%）
Bハッチ（変更なし(14%)）
Cハッチ（28.6→33.3%）
→走行可能度と濃度の序列を一致させるため
• （新記号）通行不能の藪（禁止ではない）
• 面積が広く、そもそも誰も通ろうと思わない場合はD藪で良い
• プリンタ印刷では、緑100%＋黒ドットのほうがD藪との区別がつきやすい
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• 明瞭な植生界：新記号との選択制
同一地図内で混在させてはならない。
• ○×・→定義変更
○：目立つ大きな木
・：目立つ木または藪
×：目立つ植生特徴物
もともと慣例で分けられていたのとほぼ同じ。ISSOMとも統一
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記号変更点：人工特徴物
• 舗装道、広い道路あたりの記号が整理
（番号も変更）
• 一部記号の日本語名称変更
（国土地理院の地図記号名から借用）
0.35
0.35
0.25
3.0
min.
0.25
0.25
2.0
min.
0.18
0.25
1.0
min.
Road:道路
Vehicletrack:道→軽車道
Footpath:小道→徒歩道
Smallfootpath:小径
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• 狭い切り開きまたは地表に残る線状の痕跡
（旧509切り開き）の定義が微妙に変更
• スキートラック等の色々な痕跡に使用可能
• オープンでも使える
• 走行可能度が背景色によることが明記
• 記号の定義（何の痕跡か）を地図に明記する必要
• パイプライン→目立つ線状特徴物
• 汎用の線状人工特徴物に使用可能に
0.14
0.252.0
0.45
min.
0.14
0.4 ( )OM
2 0 ( ). CC 45°
0.14
0.25
0.4 ( )OM
2 0 ( ). CC
0.6 ( )CC
45°
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• 建物→ISSOM的表現（黒65%）もOK
（選択制）
• キャノピー追加（使う機会ある？）
• 射撃場、墓、トンネル→削除
（トンネルは橋と同じ記号を使う）
• 鉄道はISSOMと記号と統一
• 通行不能の特徴物が太く（0.18mm→0.25mm）
• 石塁→壁
18

記号変更点：技術記号
• 磁北線
縮尺によらず300m間隔
（ISOM2000では1:10000では磁北線間隔が異な
る）
19

コース記号
• 1:15000以外の縮尺の場合、縮尺に合わせて拡大する。
→複数の縮尺を使用する大会の場合、管理が少し楽になる。
• △○◎の大きさ変更（1mm小さく）
• ×、✚、給水記号→やや大きく
• 危険区域が立ち入り禁止区域に統合され、両方クロスハッ
チに
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コース記号
• 新記号：地図配布場所
• △前の誘導で地図が配布される場合に使用
• スタート地区で地図を渡す場合不要と思われる
（情報的に意味が無いので）
• “地図を配布する地点がスタートの三角形の位置でない場合の
地図置場(あるいはスタートの三角形までマークトルートの場
合のスタート枠) を表現するのに有用である。”
• 表記が込み入る場合はわざわざ書かなくても良いと思う
スタート地区
21

JSOMオリジナル記号の代替表記案
• ビニールハウス
• 建物、廃墟で表記
• 耕作地内の場合は省略も可能？
• キノコ栽培地
• 立禁ハッチで表記が基本
• 面積が小さい場合は省略もあり
→小さな面積の立入禁止を地図に表記されてもあま
り役に立たない。
• トラブル回避は現地表記（ストリーマ）で保障
→紫ハッチの外周を実線or破線で囲う
• 記号520（緑50%＋黄100%）表記は、藪と紛らわし
く見にくい。
（記号520は黒線で囲われたエリアで使うべき）
22

総描
• ISOM2017では総描（Generalization）が強調さ
れている
• 「総描」って知ってます？
23

総描とは
そうびょう総描 generalization
地図の編集・製図において、縮尺上の制限や利用目的からみた必要度に応じ
て、細かいもの、密集したものなどを取捨選択し簡略化して表現する方法。
たとえば、地形図の表現において、複雑に入組んだ地形、屈曲の多い山路、
密集した市街地の建物など、そのまま縮尺に合わせて縮小すると混み入りす
ぎてわかりにくくなるような場合、その特徴や形態を損なわないように配慮
しながら、全体を大づかみに捉えてわかりやすく表現する方法である。
（増補版での追加）
本文の定義は狭義のものであり、広義には、空間的な実体を地図表現する場
合に、縮尺と作成目的に合わせて対象の形態および性質について、①取捨選
択、②簡略化または誇張、③総括ないし概念の置換（たとえば家屋や樹木の
集団を「村落」や「森林」におきかえること）を行なうことをいう。
（「地図学用語辞典」より）
ネット上の情報としては
Wikipedia英語版“Cartographic Generalization”などが詳しい
24

国土地理院の地図記号での例
25

一般の地図における総描の例
地図入門
(講談社選書メチエ今尾恵介)
より
←1:25000
←1:50000
26

総描の手法
• 取捨選択
基準以下の特徴物は地図に表記しない
• 単純化
細かな形状を無視する
• 総括、概念の置換
岩がいっぱい→岩石地など
• 誇張
最小寸法を満たすように
• 転位
記号が重ならないように位置をずらす
27

藪の表記の例
（Erik Peckett 氏(IOF MC)のICOM2007資料より
http://lazarus.elte.hu/mc/12icom/12icom.htm28

転位：公共測量の場合
29

転位：O-MAPでは
• 道の脇の穴などは、位置をずらす
• コンパス直進をする関係で
一般地図よりも真位置が重要
• 判読性とのバランスは難しい
30

記号は想像以上にデカイ
岩: φ0.4mm = φ6m
こぶ: φ0.5mm = φ7.5m
小凹地: 0.8×0.4mm = 12×6m
http://lazarus.elte.hu/mc/12icom/12icom.htm
31

隣接してたら？
取捨選択する，まとめて別の記号（岩石群，岩石地）で置き換えるな
ど．
http://lazarus.elte.hu/mc/12icom/12icom.htm
32

判読性＞精度、情報量
選択による総描とは、細部や特徴の中からどれを地図に記すかを決
めることである。この選択にあたっては考慮すべき重要な要素が２
つある：競技者視点でみた特徴の重要性、および地図の判読性への
影響度である。これら2つの考慮事項はときに相反する場合もある
が、細部や特徴物の過剰な表記を行うために、判読性への要求水準
を下げることは絶対にしてはならない。
・4min/km以上で走る選手が判読可能？
・過度に詳細な地図はかえって競技速度を低下させ、競技者の利益
にならない。手間の割に誰も得しない。
・調査者の自己満足にならないように
33

Isom2017の要点

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