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制止学習理論とエクスポージャー療法
権上 慎
医療法人翠星会 松田病院
認知行動療法勉強会 NKRS
2017年4月16日
広島オフィスセンター
62
本日の目的
 エクスポージャー療法の背景理論としての古
典的条件づけ(制止学習理論)について学ぶ
 制止学習理論に基づくエクスポージャー療法
の効果を高める工夫について知る
エクスポージャー療法とは
 恐怖を誘発する刺激やそのイメージにくりか
えし自らを曝すことで不安や恐怖といった反
応を減少させる技法 (Richard et al., 2006)
 系統的脱感作
‒ 例:不安を感じる出来事をイメージしながら
リラクセーションを行う
 エクスポージャー法
‒ リラクセーションを必要としない
‒ フラッディング vs 段階的
‒ 長時間 vs 短時間
‒ イメージ vs 現実 (in vivo) vs VR vs 内部感覚
 エクスポージャーと反応妨害
‒ 曝露+回避行動(強迫行為など)の妨害
エクスポージャー療法のバリエーション
 パニック障害、社交不安障害、強迫性障害、
PTSD、薬物依存などに効果
(Butler, Chapman,Forman, & Beck, 2006; Loeber, Croissant, Heinz,
Mann, & Flor, 2006; Bradley, Greene, Russ, Dutra, & Westen, 2005)
 課題
有意な症状緩和が得られないケース(Arch & Craske, 2009)
治療終了後の再発 (Craske & Mystkowski, 2006)
エクスポージャー療法の効果と課題
 逆制止 (Wolpe, 1958)
‒ 拮抗反応条件づけ
 二要因説(Mowrer, 1960)
‒ 古典的条件づけと回避行動
 情動処理理論 (Foa & Kozak, 1986)
‒ 馴化(セッション内・セッション間馴化)
‒ 記憶構造の活性化
 認知理論 (Salkovskis et al, 2006)
 制止学習理論 (Craske et al., 2008)
エクスポージャーの説明理論
 古典的条件づけ(制止学習)の知見をエクス
ポージャー療法にとり入れることで、その効
果を高めようとした。
 古典的条件づけについての理解が必要
制止学習理論とエクスポージャー
古典的条件づけと制止学習
 学習心理学はシンプルなオペラント条件づけ
とレスポンデント条件づけだけだと思ってい
ませんか?
 エクスポージャー療法と関連した、古典的条
件づけ研究を大まかに辿ってみましょう。
本日は古典的条件づけの話しが中心
古典的条件づけの獲得
メトロノームの音
(条件刺激:CS)
エサ
(無条件刺激:US)
唾液分泌
(UR:無条件反応)
(CR:条件反応)
条件反射
無条件反射
対呈示
(強化)
実験的消去手続き
メトロノームの音
(条件刺激:CS)
唾液分泌
(CR:条件反応)
エサなし
古典的条件づけの諸現象①
CR
CS-USの対呈示を繰り返す CSのみの呈示をくり返す
(a) 形成 (b) 消去 (c) 自発的回復
時間的経過
条
件
反
応
古典的条件づけの諸現象②
(d) 般化 (e) 分化
CS+
CS-
CS+はUSと対呈示し、
CS-にはUSを伴わせない
低 CSとの類似性 低
CR
条
件
反
応
CSがUSの到来を予告することが大切
 条件づけに最適
延滞条件づけ
痕跡条件づけ
 次いで
同時条件づけ
 CRの形成困難
逆行条件づけ
CSとUSが時間的
に接近するほど
CRの獲得は良好
接近の法則
CSとUSの時間的配置による手続きの分類
CS
US
同時条件づけ
延滞条件づけ
痕跡条件づけ
逆行条件づけ
CS
US
CS
US
CS
US
CS
US
気分不快群 電気ショック群
US [X線 or 塩化リチウム] ← CS [味覚 + 視覚刺激] → US [電気ショック]
サッカリン液
UR [気分不快] UR [痛み]
テスト テスト
音光なし 音光つき 音光なし 音光あり
サッカリン液 真水 サッカリン液 真水
(味覚CS) (視聴覚CS) (味覚CS) (視聴覚CS)
なめる? なめる? なめる? なめる?
 味覚嫌悪学習(ガルシア効果)
対呈示すれば何でも条件づけできるの?
甘
 全ての知覚可能な刺激
が同じようにCSになり
えるわけではない
 刺激同士が接近してい
ても条件づけが不可能
な場合もありうる
準備性を備えている刺激
同士は1試行でも条件づけ
が成立し、消去抵抗も強
い (Seligman, 1971)
味覚嫌悪学習の実験結果(Garcia & Koelling, 1996)
恐怖症の恐怖の対象も比較的限定されている
ブロッキング:経験が条件づけに影響?
事前経験 複合条件づけ テスト
統制群
音+光→ US 光→ CR 大
実験群
音→ US 音+光→ US 光→ CR 小
 実験群は音からUSを完全に予測できていた
 光はUS予告信号としてあってもなくてもよい
 音とUSの条件づけが光とUSの条件づけを
阻害した=ブロッキング現象 (Kamin, 1968)
 USとCSの対呈示前のCS単独提示
⇒ CRの形成が遅れる
 事前の学習経験が条件づけに影響を与えた
⇒ 不安の獲得も個人の学習歴に依存する?
【対呈示】【CSの単独呈示】
潜在制止 (Lubow & Moore, 1959)
CS CS US
UR
【対呈示】
CS US
CR
遅れる
 パブロフの条件反射説の中心概念
 興奮:反応を出力するプラスの連合過程
‒ よだれが出る
‒ 不安・恐怖反応が生じる
 制止:反応を抑制するマイナスの連合過程
‒ よだれが出なくなる
‒ 不安・恐怖反応が生じなくなる
興奮と制止
 1950年代までは古典的条件づけの基本理論
は「接近の法則」のみといっても過言ではな
かった(北口, 2003)
 「接近の法則」に大きな疑問を投げかけた
 その後の古典的条件づけ理論発展のきっかけ
 CSとUSの時間的な接近だけでなく、CSが
US到来に関してもつ「情報」を重視
 随伴:ある物事に伴って起こること(大辞泉)
随伴性判断理論(レスコーラ)
随伴性テーブル
P (US|CS) = a / (a + b) CSが存在するときにUSの与えられる確率
P (US|noCS) = c / (c + d) CSの存在しないときにUSの与えられる確率
a b
c d
US no US
CS
no CS
a
b
c
d
随伴性空間
P (US|CS)
CSが存在する
ときにUSの与
えられる確率
P (US|noCS)
CSの存在しないときにUS
の与えられる確率
0 1.0
1.0
0
興奮
制止
レスコーラ (1966) のシャトル箱
 左右に分かれた部屋
 壁を飛び越えて移動可
① 片方の部屋に10秒いる
⇒
ジャンプして移動
⇒ が30秒先送り
② 3群に分けて条件づけ
‒ 一方の部屋で刺激呈示
③ ①と同じ状況に戻す
レスコーラ (1966) で用いられた手続き
CS
US
CS
US
CS
US
ランダム群
正の予測群
負の予測群
CSは音、USは電気ショック30秒
 5秒ごとの平均反応回数
 CS前は群差なし
 CS提示
正の予測 ⇒ 反応加速
ランダム ⇒ 変化なし
負の予測 ⇒ 反応減速
 負の予測群でCSは
安全信号になった
レスコーラ (1966)の実験結果
随伴性空間
P (US|CS)
P (US|noCS)
0 0.2 1.0
1.0
0.4
0
正の随伴性
↓
条件興奮
負の随伴性
↓
条件制止
+1.0
+0.2
-1.0
0
⊿ P (us|cs)
随伴性ゼロ
(TRC 手続き)
レスコーラ (1968) 10の条件づけ
P (US|CS)
P (US|noCS)
0 1.0
1.0
0.4
0.2
0.1
0
興奮
制止
次のスライド
レスコーラ(1968) 確率の計算方法
0.4 – 0.0
P (US / CS) = 2/5 = 0.4 P (US / noCS) = 0/20 = 0.0
0.4 – 0.1
P (US / CS) = 2/5 = 0.4 P (US / noCS) = 2/20 = 0.1
0.4 – 0.2
P (US / CS) = 2/5 = 0.4 P (US / noCS) = 4/20 = 0.2
0.4 – 0.4
P (US / CS) = 2/5 = 0.4 P (US / noCS) = 8/20 = 0.4
実験手続き
1. レバー押し反応を形成
2. 10種のCSとUSの随伴関係で条件づけ
3. レバー押し再開
4. CSでレバー押しがどの程度抑制された
(条件性抑制)
レスコーラ (1968) のテスト第1日目の結果
P (US|noCS)
0 0.1 0.2 0.4
P(US|CS)
0.4 0.1 0.16 0.35 0.49
0.2 0.12 0.31 0.45
0.1 0.22 0.52
0 0.49
 数値は抑制率
 時間的接近の条件「P(US|CS)」が同じでも
P(US|noCS)の値の違いによって条件づけが異なる
レスコーラ (1968) のテスト第1日目の結果
抑
制
率
CSが呈示された時に電気ショックが
くる確率は同じだけれど、CSが呈示
されない時に電気ショックがくる確率
が違うとCSの抑制率が異なる
ROBERT A. RESCORLA ALLAN R. WAGNER
レスコーラとワグナー
古典的条件づけ研究の中核理論の1つ
簡潔かつ非常に大きな説明力がある
⊿V: ある試行でCSが獲得する連合強度の増加分
αβ:CSの強度(明瞭度)とUSの強度によって
決定されるパラメータ、0~1の値をとる
λ: USの強度によって決定される連合強度の最大値
V: その試行までに獲得されている連合強度
おどろき(予期と現実のギャップ)が学習を促進!
Rescorla-Wagner理論 (1972)
⊿V = αβ(λ - V)
レスコーラ・ワグナー理論を理解するために
10ml 20 ml
100 ml
200 ml
満杯まで
残り 90 ml
満杯まで
残り 180 ml
どのくらいの量まで条件づけが
できるかはUSの強度によって異なる
例)1試行で獲得される連合強度は
残りの要領の 1 / 10 とする。
(CSの強度で異なる)
第2試行では 9 ml, 18 ml 溜まる。
⊿V = αβ(λ - V)
λ
V
CSの連合強度の変化 ⊿V = αβ(λ - V)
0
0.5
1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
連
合
強
度
V
音と電気ショック!?
おどろき!
予期できる
電気ショックでしょ…
いきなり消去!?
アレ?電気こないの!?
おどろき!
獲得にも消去にも「予期とのギャップ」が重要
ブロッキング現象も説明できる
0.0
0.3
0.5
0.8
1.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
連
合
強
度
V
試行
Aの連合強度
Xの連合強度
VAX = VA + Vx ⊿VA = αAβ(λ – Σ V)
⊿VX = αXβ(λ – Σ V)
連合強度のほとんどをAが獲得したためXの獲得できる量が少ない
連合の消失 制止性連合の獲得
 獲得した連合がゼロになる
 条件づけ以前に戻る
 消失
 制止性の連合を形成する
 新しい学習をしている
 上塗り
消去は連合の消失か?新たな制止性連合の獲得か?
消去手続きのあとに
条件反応は起こらな
くなるけど・・・
一度獲得した連合が消失しない裏付
 自発的回復 (spontaneous recovery)
 復元 (renewal)
 復帰 (reinstatement)
 急速な再獲得 (rapid reacquisition)
 消去の終了から時間経
過によって、CSに対す
るCRが再び生じるよう
になる現象
自発的回復
飛行機恐怖を治療したけど、飛行機に乗らなかったら再発した
Bouton & King (1983)
① 消去手続きを行う
② EXT-Aは同じ実験箱
EXT-Bは別の実験箱
NEはコントロール
消去を行った文脈(実
験箱)から別の文脈へ移
動するとCRが再び生じる
復元
面接室では改善したのに、実生活で再発
 消去を行った後、
USを単独で呈示すると、
CRが再び生じる
復帰
社交不安症を治療したが、非難される体験で再発
強迫症を治療したが、事故に遭って再発
Napier et al. (1992)
 一度、獲得と消去を
行った群は初めて対呈
示をする群より急速に
条件づけを再獲得する
 消去手続き後に再度条
件づけ試行を行うと以
前より速く条件づけが
成立する
急速な再獲得
長期間で悪化したOCDを治療したが、再発時に急激に状態が悪化
古典的条件づけ研究は奥深い・・・
 SOP理論
 AESOP理論
 Mackintoshモデル
 Pearce-Hallモデル
 Pearceの刺激形態化・般化モデル
 Millerのコンパレータ仮説
 時間的符号化仮説
2003年の書籍でもこんなに・・・
制止学習理論に基づく
エクスポージャー療法の効果を高める方略
Craske et al. (2014). Maximizing exposure therapy: An inhibitory learning approach. Behaviour Research and Therapy, 58, 10-23
 不安階層表の低い項目から取りくむ
 段階的に不安の強い項目に進む
 不安が下がるまで十分な頻度・時間をかける
‒ 1回2時間の練習を週5日(Foa et al., 2005)
 実行しやすいよう認知変容を先に行う場合も
‒ 例「実際に拒絶される可能性は高くない」
従来のエクスポージャー療法
直線的
① 予期の妨害
② 深められた消去
③ 消去中の時折の強化
④ 安全信号・安全行動の除去
⑤ 変動性
⑥ 検索手がかり
⑦ 多様な文脈で
⑧ 再統合
制止学習を促進するための方略
 予期と結果のミスマッチ(レスコーラ・ワグナー)を起こす
 恐怖のきっかけ(CS)は良くないこと
(US)が起こる予感を高める
 きっかけはあるが恐れていたことは生じない
CS-noUSの連合を学習していく
①予期の妨害
CS noUS
おどろき!
 恐れている結果(US)が何か明らかにする
‒ 「不安になる」では不十分
‒ 予感(予期)の明確化
 恐れている結果が生じる確率を尋ねる
 CSの明瞭性を高める(ありありと想像)
①予期の妨害:その最大化のために
動悸をそのままに
すると不安になる
動悸をそのままにす
ると心臓発作で死ぬ
予感が
外れた
90%
 エクスポージャー前に認知的介入をしない
‒ ネガティブ思考↓ ⇒ ミスマッチが減る
‒ 認知介入を行うならエクスポージャー後
 エクスポージャー中にはCS と 、
USの不生起 (noUS) の両方へ気づく
 不安は下がりきらなくてよい(短時間OK)
予感が的中したか?予想通りに悪かったか?
①予期の妨害:その最大化のために
 レスコーラ (2006)が開発
① 複数のCSを単体で
それぞれ消去
② その後、複数のCSを組
み合わせて消去する
 自発的回復および復帰を
減少させる
 予期を確認せず実施可能
②深められた消去
① 内部感覚エクスポージャーで過呼吸に曝露
② ☕コーヒーの摂取に曝露
③ ☕を飲んでから過呼吸を起こす
① ばい菌に汚染されるというイメージに曝露
② ドアノブに触れる in vivo 曝露
③ ばい菌汚染をイメージしつつドアノブを触る
両方の刺激が同じUSを予期することが重要
エクス
ポージャー
②深められた消去
エクス
ポージャー
エクス
ポージャー
 意図的にCS-USの組み合わせを体験する
 時おり、否定的な結果をうけとる機会を持つ
 CSの明瞭性を高める = 学習を促進する
 後の急速な再獲得を弱める (Bouton et al., 2004)
*安全でない環境にいる人には
用いるべきではない。
③消去中の時折の強化/恐怖に直面せよ
恐れている状況
でパニック発作
を起こしてみる
突飛な格好で
町を歩いてみる
安全信号:お守り、治療者、親、携帯、薬
安全行動:強迫行為、リラクセーション
 短期的に苦痛を緩和するが無くなると恐怖⤴
 USの予期を低める ⇒ 使用を控える(Salkovskis, 1991)
 安全信号が治療を阻害しないという知見も…
(Rackman et al., 2011)
少しずつ、段階的に取り除くことが望ましい
④安全シグナル・安全行動の除去
 エクスポージャーに変動性を組み込む
‒ 課題の長さを変える
‒ 用いる刺激を変える
‒ 挑戦する課題を段階的にせずランダムにする
 新しく学習される情報の容量を広げる(Bjork & Bjork, 1992, 2006)
 検索手がかりと情報を組み合わせる(Estes, 1955)
 課題間の普遍性ルールを生成する(Schmidt & Bjork, 1992)
⑤変動性
 消去文脈の一部である弁別的な手がかり
 消去文脈外に提示されると、消去の記憶を取
り戻すのを助ける (Brooks, Vaughn, Freeman, & Woods, 2004)
 エクスポージャー体験を頭の中で思い出す
 安全シグナルになると学習を阻害
⇒ 控えめに使用
トレーニング段階よりも再発防止で効果あり
⑥検索手がかり
 エクスポージャー療法の行われた文脈とは異
なる文脈に遭遇すると恐怖の復元が起こる
 外的文脈(その場所にあったもの)
内的文脈(その時考えていたこと)
 複数の文脈でエクスポージャーを行うと復元
を抑制できる (Vansteenwegen et al., 2007)
 単独で、馴染みのない場所で、様々な曜日・
時間帯、内部感覚で、イメージ、in vivoで。
⑦多様な文脈で
 格納された記憶を検索(思い出そうと)する
ことは、再統合のプロセスを引きおこす
(Nader et al., 2000)
 エクスポージャー前に恐怖記憶を思い出す
 エクスポージャー前に恐怖刺激を導入する
⑧再統合
 感情ラベリング:感情に名前をふること
 考えを変えようとするのではなく、自分の感
情をそのまま述べる
 エクスポージャーとしても利用可能
 前頭皮質を活性化し偏桃体活動を抑制(Lieberman et al., 2007)
 感情ラベルと対呈示した刺激への反応減少(Tabibnia et al., 2008)
さらに制止学習を促進するために
恐怖・不安・抑うつ・焦燥感
恐れや不安の対象・思考・感覚
 デアンドレ(40歳、男性)
 拒絶、恥をかくことへの恐怖
 職場の人間関係、夫婦関係の悪化
 妻の友人との交際を避ける
 第1セッション
 心理教育と治療計画
事例:社交恐怖症
「CSがUSを予測する」
という仮説を確かめてい
きましょう。目標は恐怖
を無くすことではありま
せん。
科学者のように仮説検証
をしていくということで
すね。
2 ~ 5 session:エクスポージャーの実施
恐ろしいと感じるのはどのような状況ですか?
専門家として同僚に意見を述べることは怖くてできないです
何が起こることが恐ろしいですか?また、恐れていることが
起こる確率はどのくらいだと思いますか?予期/USの明確化
きっと同僚は「何を言っているんだという」軽蔑した目で私
を見て、何も答えずに去っていくと思います。95%です。
恐れていたことは起こりましたか?そう言える理由は?
いいえ。同僚はすぐに答えてくれ、僕の意見に同意してくれまし
た。その後も暖かい雰囲気で話せましたから。予期の妨害
何を学びましたか? 同僚はいつも僕の意見を無視する訳
じゃない
エクスポージャー
安全信号・安全行動の除去
雑誌を読む
手を動かす やめる ⇒ CSとUSに
イヤホン より集中可能に
深められた消去
ネガティブな相手の
反応を思い浮かべつつ ⇒ US(拒絶)の
エクスポージャー 非随伴関係を実感
消去中の時折の強化(恥さらし訓練)
エレベーターで
階数を大きい声で言う
6 ~ 12 session:エクスポージャーの増強
ここは
8階!
その他の事例
ジュリア PTSD
私はトラウマ記憶を思い起こすことを恐れていたわ。苦痛なイメージを
続けると狂ってしまうんじゃないか、「そんなイメージの後では何もす
ることはできない」と思っていたの。治療では、イメージエクスポー
ジャーの後に小さな課題(メールの返信)にチャレンジしたわ。
ロバート OCD
私は、自分の子どもを傷つけてしまう侵入思考になやんでいました。
治療では、妻がいない状況で子どもと過ごすこと(安全信号の除去)や
息子をお風呂に入れたり、妻や息子と同じ部屋で眠ったりできるように
なりました。
シャロン 犬恐怖
エクスポージャーでは「犬の10ヤード以内に10分間いたら、99%の確
率で犬が私に噛みつく」という予感を確かめたの。エクスポージャーを
始める前の仮説は、それが正しかったのか間違っていたのかを証明する
ために十分な具体性が必要だと教わったわ。
 Craske et al. (2014). Maximizing exposure
therapy: An inhibitory learning approach.
Behaviour Research and Therapy, 58, 10-23
 二瓶正登・澤幸祐 (2017). 不安障害および曝
露療法を理解するための現代の学習理論から
のアプローチ. 専修人間科学論文集, 7 (1),
45-53.
 今田寛 (1996). 学習の心理学 培風館
主な参考文献

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