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社会人博士という選択肢
- 2. 内容
• 目的
• 社会人博士(社会人ドクター)という人生の選択肢があるということを知って
もらう
• それを実現した私の例と,それに伴う注意点を知ってもらう.
• 注意
• 本スライドにおける「博士」は「博士(後期)」課程を指す.「博士(前期)」課程
ではないので注意.当該分野において修士は修了している前提.
• (あまり一般的ではないと思われる)私の経験を書いているので,大学や就
職先企業などにより詳細は異なる.詳細は各自で確認が必要.
• 本スライドを参考にしたために不都合が起きても責任は取りません.
- 4. 社会人博士とは
• 社会人をしながら大学院の博士課程に在籍すること
• 昼間は社会人として企業で働き,帰宅後や休日などに学生として研究を行う.
• 就職先企業の社員としての籍を持ちながら,通常の博士課程学生としての
学籍も持つ.
• この場合,企業側からは「博士課程の在籍は認めるが,特に支援はしない」という
ケースが考えられる.→私はこのケース
• 一部の企業の研究職などの場合,就業先企業からの(時間・経済的な)支援を受け
られるケースもあるらしい.→私はこのケースではないので詳しくは知りません
• 博士の種類
• 課程博士…一定期間学籍を持ち,所属する研究室の先生方の指導を受け
ながら研究発表を重ね,最終的に博士論文を執筆して修了→私はこちらの
ケース
• 論文博士…博士論文を書いて認められれば修了(?)→私はこのケースでは
ないので詳しくは知りません
- 5. 社会人博士のメリット
• メリット
• 在学中も社会人としての収入や経験・職歴を得られる
• 修了近くになると就職活動が必要だが,そもそも就職しているのでその心配は不要.
• 就職市場はその時の景気の良し悪しに影響を受けやすく,運悪く不況になると就職先の選
択肢が狭くなる可能性がある.
• 当然ながら社会人としての収入は得られるので,お金に困ることはないはず.
• 学生でもあるので,大学の設備や権利(各学会誌の論文へのアクセス・大学
の図書館への入館など)を使える.各種学割も有効.
• 修了したら博士号を得られる→一部界隈では有利?名刺にも記載可能.
• 特異な存在なので話のネタになる…etc
• 一旦就職した後に,どうしてもアカデミックな世界への興味が湧いてき
た場合などに,経済的な不安なく博士号を取得できる.
- 6. 社会人博士のデメリット
• デメリット
• 研究の時間を確保するのが困難
• 「それなりに激務」とされる程度の業務であれば何とかなるが,「超激務」な職業(戦
略コンサルタント・外資系金融機関・キャリア官僚(←なぜか世間の風当たりが強い
が,一般人は到底耐えきれないほどの業務を,大して高くはない給与で頑張ってい
るのです.もっと大切にしてあげてください!)など)だと厳しいかと
• いや,そのような仕事をこなせる超人なら,何とか出来るのかもしれないが….
• 平日の朝〜夜は普通に会社で仕事.
• 研究が忙しい時に限って会社の業務も忙しかったりするが…当然ながら仕事優先.
• 会社を休まざるをえないときが多少ある
• 入試・学会発表・公聴会など
• 通常の有給休暇を使えば良いが,有休を使い切りがちな人・なぜか有休取得が非
常に困難な職場だと難しいかも.
• 研究に費やす時間を業務に使えば,会社での評価がより上がっていたかも.
• 年齢的に修士のときより体力が衰えており,仕事もあるので無理できない.
- 7. 社会人博士に向けて
• 入学まで
• まずは入学願書を取得する
• 通常は夏頃に入試があるが,2次募集を冬に行なっている場合もある.
• 4月入学以外に10月入学も可能な場合がある.
• 会社の上司の許可を得る
• 社会人枠の場合は上司が許可する旨の書類が出願時に必要な場合がある.
• 志望する研究室を決める
• 修士修了から年月が経っていない場合は,修士の時の研究室が一番楽かと考えら
れる.年月が経っている場合は,(守秘義務違反にならない程度に)仕事の内容に
近い分野のところを探すのが無難かと思われる.
• 志望する研究室の教授や指導教員と事前に相談し,研究計画や具体的な
研究の進め方を決めておく.
• 仕事をしながらの研究が現実的なのかを確認する.例えば実験のために平日に頻
繁に大学に通う必要がある場合などは,実現がかなり難しいと思われる.
- 8. 社会人博士に向けて
• 入学まで
• 修了に必要な要件を確認する
• 論文執筆や学会発表などの業績を一定数つくる→博士論文執筆 の流れのはず
• 博士入学前(修士時代など)の業績をカウントできる場合とできない場合がある
• 期間短縮修了(通常3年かかるところを,それより早く終了すること)を目指す場合,追加の
要件(実績数・修士修了からの経過年数など)がある場合がある.
• 国際学会での発表が必要かどうかも要確認(←学会参加のために長期休暇が必要なため)
• (入学前の業績をカウントできる場合)可能な限り事前に業績を作っておく
• 「あと論文を1本書けば博士課程を修了できる」状態で入学するのが理想.さらに,
それを書く準備ができている状態ならなお良い.修士の時から頑張りたい.
• 本末転倒な気がするが…
• 修了までに必要な資金(入学金・授業料・大学までの交通費等)を確保する
or 確保できる見込みを作っておく
• 課程博士の場合は,通常の学生と同じく授業料が必要です
• 私の場合は東京〜京都の往復が必要だったため,必要な交通費も多額だった.
- 9. 社会人博士に向けて
• 入学まで
• (筆記試験が必要な場合)試験勉強を行う
• 何とかして勉強時間を確保する.学生時代のノートや教科書が残っていれば良い
が….
• (TOEIC, TOEFLのスコアの提出が必要な場合)試験を受ける
• 受験〜スコア開示まではある程度期間が必要なので,普段から定期的に受験して
おくと良い.
• 高スコアをキープしておけば,社会人博士以外にも役に立つことはある.
• 入学試験や入学手続きの際には大学院に行く
• 上記のことを入学までに全て行う
- 10. 社会人博士の生活
• 入学後
• 平日の昼は会社,夜(と言うより深夜)や休日に研究.
• となると,休む時間があまりない.休暇を放棄する覚悟が必要.
• 家では研究に集中できない場合は,集中できる場所を探す.
• 落ち着いて作業できるカフェ・有料自習室・レンタルオフィス・コワーキングスペースなど
• 大学によっては,大学の施設としてそのように使えるものが存在する.
• 研究を効率的にできるなら,書籍やPCなどには投資する.
• 社会人なのでそれなりにお金はあるはず.また研究室の予算で購入できるものもあるはず.
• MacBook Airは持ち運びにかなり便利.ソフトウェアは学割で購入可能.
• たまに論文執筆や学会発表を行う
• 論文締め切り前などは体力・精神の消耗が甚だしい….
• 論文投稿前だけでなく,条件付き採録で返ってきた場合の修正(往々にして締め切
りまで余裕が無い)にも研究時間が必要
• 学会発表などの際は会社を休む必要があるので,業務を上手く調整する.
- 11. 社会人博士の生活
• 修了に向けて
• 一定数の業績をつくれば博士論文執筆に取り掛かることが可能
• タイミング等は指導教員と要相談
• 重要なイベントや提出物の期限を確認する
• 修士と異なり,様々な書類の提出等が必要.
• 実は3月以外にも修了が可能な場合がある
• 博士の修了時期は選択肢が広いかも(私の大学院では任意の奇数月が選べたはず).
• 修士時代の同期で優秀な人は期間短縮修了していったな…
• 博士論文を執筆する
• 修士論文や通常の論文と比べて,求められるレベルが明らかに高い.
• Introductionでは研究の背景をきちんと説明する必要がある.意外と難しい!
• 今までの研究の集大成と言えるものなので,悔いのないものを執筆したい.
• 仕事があるため,通常の学生のように時間を割けない.執筆期間にはかなり余裕
をもたせておくこと.
• 他の学生の卒論・修論の執筆と時期が重なった場合,指導教員による添削・指導に時間が
かかったり,実験に必要なリソース(実験環境など)を取り合いになったりする.
- 12. 社会人博士の生活
• 修了に向けて
• 論文審査委員の先生方に研究内容を説明しに伺う
• 修士までと異なり,博士論文は指導教員以外に論文審査委員の先生方の審査を
受ける(論文誌のrefereeのような感じで考えれば良い)
• ここで受けた指摘は博士論文の本提出までに修正する
• 期間短縮修了を目指す場合,この時点からかなり厳しくなる可能性が高い.
• 論文提出
• その前後にいくつかの書類も提出が求められるので準備する
• 公聴会
• 修了式
• 学位記が授与される
• 修士までと異なり,博士は実に様々な年齢の人がいることに気づく.
• お世話になった方々(指導教員・研究関係者)や支えてくれた方々に感謝
- 13. おわりに
• 結論
• 博士号を取りたい場合に,社会人博士という選択肢がある
• 経済的なリスクが少ないというメリットがある
• 仕事との両立は決して楽ではない
• 体力的に無理ができなかった(←年齢+仕事の疲れで)
• 博士論文の執筆時は心身の具合が悪くなった…
• 自分の限界を(良くも悪くも)知ることができた
• 社会人博士としての修了は可能である
• 決して多くはないが一定数存在する.
• 今後の展望
• せっかく取得したのだから「博士」という肩書きを活かしたい
• きっと研究職に就くだけが使い道ではないはず(←ここ重要)