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産業としての半導体と
ムーアの法則
秋田純一
(金沢大学)
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自己紹介
本業:金沢大の教員
専門:集積回路、イメージセンサ、インタラクション
好きなプロセスはCMOS 0.35um
本業2:Maker(メイカー)、ハンダテラピスト
好きな半田はPb:Sn=37:63
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Contents
半導体産業の歴史と現状
ムーアの法則とその意義と今後
AI/IoT時代の半導体とのつきあい方
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今日の対象:「半導体」
チップ(半導体チップ)
=集積回路(Integrated Circuits; IC)
LSI(大規模集積回路; Large Scale Integration)
米物理的には、導体と絶縁体の
中間の電気抵抗をもち、
条件に応じて導体や絶縁体になる
(電流をON/OFFできる)材料
それを使って電子回路をつくる
電子回路→論理回路→コンピュータにつながる
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(おまけ)炙って見られる
どこのご家庭にもある
BBQ用バーナー(カセットボンベ式)
3分くらい炙る
※火事・ヤケドに注意
ICチップ(パッケージ入)
チップが見えてきた!
炭化したパッケージを、
ピンセットなどで、崩していく
(チップを割らないように注意)
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半導体→トランジスタ→論理回路
ref: http://imasaracmosanalog.blog111.fc2.com/category33-1.html
A X
A X
論理回路
電子回路
コンピュータ
(CPU・メモリなど)
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最近の世界の半導体産業
まさに成長産業
AIがIoTが後押し
(WSTS (World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)の資料より)
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かつての日本の半導体産業
(朝日新聞
1987/05/25)
(朝日新聞1989/06/07)
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「その後」の日本の半導体産業
(吉森,中屋「国内論理系半導体産業の分析と将来戦略」,信学誌, 96, 2, pp.70-75 (2013))
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最近の日本の半導体産業
(朝日新聞2009/06/03)
(朝日新聞2012/10/04)
(朝日新聞
2013/02/06)
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コンピュータの歴史と半導体
(1946)
真空管: 18,000本
消費電力: 140kW
サイズ: 30m×3m×1m
演算性能: 5,000加算/s
(ENIAC:世界最初のコンピュータ)
(2007)
最小加工寸法: 0.065μm(65nm)
素子数: ~50,000,000
消費電力: 100W~数mW
サイズ: 10mm×10mm程度
演算性能: 10,000,000,000演算/s
(1960)集積回路(IC)の発明
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半導体(集積回路)の発明
US Patent No. 2 981 877 (R. Noyce)
(1961)
US Patent No. 2 138 743 (J. Kilby)
(1959)
電子回路を半導体(ケイ素=シリコン)に作り込んだもの
インテルの創業者(の一人)
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半導体の進化の歴史:Mooreの法則
ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm
傾き:×約1.5/年
年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった
※G.Moore (インテルの創業者の一人)
G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ
G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
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Mooreの法則のカラクリ:比例縮小
コンピュータの電子回路の最小単位
=MOSトランジスタ
電流のON(“1”)/OFF(“0”)を制御するスイッチ
集積回路の部品(MOSトランジスタ)を、同じ
形状で、より小さく作ると・・・?
寸法: 1/α
不純物濃度: α
電源電圧: 1/α p-Si
S DG
n-Sin-Si
p-Si
S DG
n-Sin-Si
L
R.H.Dennard et al., "Design of ion-implanted MOSFET's with very small physical dimensions," IEEE J.of SSC, Vol.9, No.5, pp.256-268, 1974.
MOSトランジスタの断面構造
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比例縮小の効果
効果:いいことばかり
速度↑(電子の移動=信号の伝搬距離が短くなる)
消費電力↓(電源電圧が下がる)
集積度(機能)↑(1つの素子が小さい=同一チップに多数)
技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース
p-Si
S DG
n-Sin-Si
p-Si
S DG
n-Sin-Si
L
• 素子面積:1/α2
• 素子密度:α2
• 電流I:1/α (←電圧:1/α)
• 容量C:1/α (←C=εS/d, S:1/α2, d:1/α)
• 抵抗R:α (←R=ρL/S, S:1/α2, L:1/α)
• 回路遅延:1/α (←E:一定, S-D間:1/α)
• 消費電力:1/α2 (←V:1/α, I:1/α)
• 配線遅延時間CR:1 (変わらない) ※MOSトランジスタを
上から見たところ
(素子1個の専有面積)
物理的な詳細
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MOSトランジスタの微細化の歴史
微細化するほど
メリットがある
=がんばって微細化
そろそろ「原子」が
見えてきている
「お金がからむと
技術は進む」
ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事
L=20nm(いま)
L=5nm(2020年ごろ予定)
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コンピュータの歴史の2つの側面
DEC VAX(1976)
1MIPS
Cray-1 (1978)
100MIPS
MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数)
(世界最初のスーパーコンピュータ)
「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある
20000MIPS
10MIPS
100MIPS
20MIPS
20000MIPS
109MFLOPS
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コンピュータの「使い方」の変化
国に1台/会社に1台 個人で1台(PC) 一人で何台も
仕事・勉強の道具国・会社のプロジェクト
コミュニケーション
・遊びの道具
>1億円 10〜100万円 数万円
身の回りに無数
存在に
気づかない
〜100円
大昔のコンピュータ 一昔前のコンピュータ 今どきのコンピュータ
コンピュータの利用場面(アプリケーション)が広がった
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Mooreの法則の経済的な意義
「わかりやすい&嬉しい」指針
メーカ側:微細化による性能↑&コスト↓
ユーザ側:機能↑&コスト↓
他の産業にない半導体・電子産業の特異性
「機能単価」で考えるとわかりやすい
機能単価↓ = ユーザはうれしい(売れる)
機能単価 = 価格 ÷ 機能(性能)
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機能単価の例
メモリ(SDカードなど)
1GBで1000円 → 1000円/GB
4GBで4000円 → 1000円/GB
1GBで250円 → 250円/GB
4GBで1000円 → 250円/GB
CPU
演算性能あたりの価格:[円/GHz]など
クルマ
燃費あたりの価格:[円/ (L/km)]
最高速度あたりの価格:[円/ (km/h)]
同じくらいお買い得
4倍お買い得
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機能単価の罠:4MbDRAMの立上り
DRAM(半導体メモリ)は、3年ごとに4倍容量の製品
が主軸になってきた(Mooreの法則どおり)
1Mb→4Mbの世代交代で、市場の立上りを読み間
違えた
(直野「転換期の半導体・液晶産業」(日経BP,1996))
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なぜ4Mbは当初売れなかたのか?
 機能単価が高かったわけ
ではない
(お買い得な4Mbが売れない)
 不景気だったわけでもない
(前の世代の1Mbは好調)
 ユーザは4Mbが必要なかった
 DRAM大口ユーザ=PC
 OS:MS-DOS (1MB以上は使えない)
 実際、その後、順調に4Mbは
市場が立ち上がって成長
(1991年=Windows3.1の発売)
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機能単価と機能飢餓
Mooreの法則による半導体産業成長の
重要な前提:機能飢餓
ユーザ(市場)が、慢性的に高機能を欲している
状態
ICT産業は長年、機能飢餓状態にあった
昔のPCのカタログのウリ=性能
最近はどうか?
分野によっては機能飢餓が薄れている
最近のPCのカタログには性能が(ほぼ)載ってい
ない
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機能飢餓を忘れた技術
テレビSDTV→HDTV→4K/8K
SDTV→HDTVは、画質に対する機能飢餓からか?
HDTV→4K/8Kでの機能飢餓は?
そもそも地上波のテレビは見られるのか?
http://www.garbagenews.net/archives/1935926.html http://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/32.html
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産業のあるべき姿
ものづくり = Why x What x How
Why : なぜそれを作るのか?
What : 何を作るのか?
How : どうやって作るのか?
“Why”が「欠如」しているケースが多くない
か?
Seeds側:Mooreの法則(機能単価の低下)
+Needs側:機能飢餓の継続
が長年続いてきた→機能飢餓を忘れがち
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Mooreの法則のもう一つの意義
機能単価の低下 = 製品価格の低下
単なる「価格低下」だけではない
「スマホやPCが安く買えてサイフに優しい」
だけではない、質的な変化の可能性がある
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マイコン使用
部品点数=1
コスト:100円
発振回路(555)
部品点数=4
コスト:150円
「LED点滅(Lチカ)」のパラダイムシフト
コスト面:マイコン○(「もったいなくない」)
機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易)
while(1){
a = 1;
sleep(1);
a = 0;
sleep(1);
}
※さすがにPCではちょっと・・・
Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例
昔のLチカ
今どきのLチカ
※マイコン=Micro Controller(小さなコンピュータ)
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コンピュータが「頭脳」から「部品」に
出典:ARM
機器の頭脳
関節ごとに小さい脳(神経節)
コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった
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Mooreの法則のわかりやすい例
マイコン(ATmega328P/PB)の例
機能:ATmega328P < ATmega328PB(上位互換)
価格:ATmega328P > ATmega328PB(30%安価)
0.6umくらいだと、製造コストはほぼチップ面積
ATmega328P(1.2umルール?) ATmega328PB(0.6umルール?)
詳細:http://ifdl.jp/blog/?p=1197
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価格が起こしたパラダイムシフト
シリアル制御フルカラーLED“NeoPixel”
電源+1本のシリアル制御線で複数制御
超安価 (~3円/pcs)
普通のLEDより安い
LEDディスプレイなど大量に使われるようになった
制御チップは1umルール程度(かなり安い)
Ref:https://news.nicovideo.jp/watch/nw4240213
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「部品」としての半導体
「旧型の大量生産」
同じ製品を大量につくる
汎用Tr・汎用ロジック・汎用アナログ・メモリ・・・
「新型の大量生産」
「均一な部品=汎用半導体」の
組み合わせ
半導体の位置づけ
それ自体が「旧型の大量生産」の対象
「新型の大量生産」による
「電子情報機器」生産のための部品・素材
(P.ドラッカーによる定義)
(P.ドラッカーによる定義)
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「新型の大量生産」における部品
部品の規格化による高い効率化
黎明期の半導体における「セカンドソース」
何にでも使えて、
どこでも手に入る「汎用品」
741、555、74シリーズ、・・・
主に供給安定化が目的
電子情報機器の設計・製造に
与えたメリットは、はかりしれない
(Wikipediaより)
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「汎用半導体」の転換
半導体性能↑と電子情報機器の性能↑
部品である半導体製品への性能要求↑
「汎用品」の意義の薄れ
汎用品=性能もそれなり
特定用途では性能が不足
半導体製品が用途ごとに多様化
=半導体産業の本質の転換
大量少品種→少量多品種(○○専用チップ)
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専用半導体の事情
「○○専用チップ」
SoC (System on Chip)
要素回路を統合してワンチップとして製造
SiP (System in Package)
要素回路のチップを組み合わせて
1つのパッケージ(部品)に入れる
(SoCよりやや性能面で不利)
半導体固有の事情:イニシャルコスト↑↑↑
SoCはイニシャルコスト↑↑↑
大量生産しないと回収できない
=ヒット製品への強い依存
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Mooreの法則の今後
微細化が進みすぎて、素子として動作しない+
安定に製造できない
不安要因
製造ばらつき(設計通りの形状にならない)
不純物ばらつき(電気特性が設計通りにならない)
トンネル効果(OFFにしたつもりが電子が通り抜ける)
ref: https://slideplayer.com/slide/7843454/
Si原子(直径0.2nm)
×50
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最近のCPU(※イメージ)
Intel Core i7 (2008)トランジスタ(素子)数~10億個
(設計では、これらを1つも間違いなく組み合わせる)
cf: 地球の人口~70億人、中国の人口~13億人
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コンピュータの中身が見えなくなる
https://hardware.srad.jp/story/18/05/25/0450230/
https://security.srad.jp/story/18/05/08/0919252/
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/
1806/15/news079.html
設計が正しいか検証しきれない
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AI/IoT時代の半導体
半導体は重要部品なのは事実
Mooreの法則の延長は望めない
十分すぎる、使いこなしきれない機能がある
どう使うか?
「半導体を使う」という発想の転換
ソフトウエア→ハードウエア→半導体チップ
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最近の半導体業界の動向
「テカナリエ・レポート」を読むと、よくわかる
スマホSoCのシェア・戦略
微細加工技術の採用・使い分け
Fab(製造工場)の使い分け・戦略
プロセッサ・アーキテクチャの動向
(ARM←→RISC-V)
ARM=ARM社のライセンス製品
(組み込みの業界標準、ソフトバンクが買収)
RISC-V=オープンソース、ソフトウエアの「縛り」がない
分野で採用事例が急拡大中
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技術が「道具」になる意義と
イノベーション
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技術の進歩と独裁化
科学技術の進歩=社会水準の向上
科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化
「製造者」と「利用者」の分離
製造者の「特権」:
原材料の入手(原油、電子部品、・・・)
工場・製造装置
販売チャンネル
利用者の「意識」
「ものは買う物」
大量生産・大量消費の時代が長く続いた
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技術の民主化へ
技術を、市民の手に「取り戻す」流れ
大量生産→ロングテールへ
「技術の民主化」を可能にする技術革新
実はルネッサンス時代への回帰でもある
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技術の「民主化」がもたらすもの
(以前)プロのみ
音楽、映画、・・・
我々は「消費者」
(現在)アマチュアでもコンテンツを
作ることができる
DTM, Vocaloid, …
YouTube, …
我々は「制作者」にもなれる
(可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす
―表現のためのメディア技術」
(明治大学出版会, 2015)
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技術の「民主化」がもたらすもの
プログラミング
(以前)PCもプログラミングツールも高価
「遊び」から始められない
(現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ
「遊び」などから始められる
=敷居の低下=裾野の広がり
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技術の「民主化」がもたらすもの
裾野が広がる=イノベータの多様化
「アツい思い」を具現化する
道具がある
多様性=イノベーションの土壌
小川進「ユーザーイノベーション:
消費者から始まるものづくりの未来」
(東洋経済新報社, 2013)
(L.Fleming, Harvard Business Review,
8(9), pp.22-24 (2004))
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技術が「道具」になるとは
技術が「道具」になるステップ
開発/発明される
お店で買えるようになる
使い方が知られるようになる
みんなが使うようになる
それが「道具」となって、次のステップへ
プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも
プロ(詳しい人)しか使えない
アマ(詳しくない人)でも使える
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道具としてのマイコンボード
文具のように、いつのまにかなくなるので
常時ストック、という感覚
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技術の民主化の結果:深圳の華強北
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山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”)
※FakeCopyではなく、プロダクトの
進化系。これが2週間で量産される
無限に続くパーツ屋
“Used Mobile Phone Shop”の実体
パーツに分解
(BGAも)
路上で解体
店頭でリペア
新製品の試作に流用
ShenZhen HuaQiangBei
基板製造
+
部品(サプライチェーン)
+
起業(ハードウエアスタートアップ)
+
資本(VC/アクセラレータ)
深圳の生態系
謎の起業・新製品が続々(ときどきアタる)
世界中から頭脳と資金が集まり、
イノベーションを生み出している
「ハードウエアのシリコンバレー」とも
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ちなみに・・・
深センにある南方科技大でサバティカル予定
(2020/4~9)
研究力急上昇中、キャンパスも3年で2倍
深センのHWエコシステムとOpenSource、アカデミ
アの関係
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技術が生まれて「道具」になるまで
エリンギの例
1993年に日本へ
2003年ごろから一般化
↑10年かかって「道具」に
料理番組、調理例・・・
農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業
台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査
(生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
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技術の道具化と社会課題解決
「おばあちゃんセンシング」
おばあちゃんが、自分の畑の状態を知りたい
でもマイコン・クラウドを使えない
おばあちゃんがマイコンを買って、サーバをたて
て、自分でシステムつくれ・・・ねえよ
→そういう世界になればいいのでは?
裾野が広がる=レベルが下がる?
結果として、専門家の「価値」も高まる(はず)
CivicTechという形で、社会的に現れつつある?
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道具になる半導体
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半導体は「道具」になっているか?
「ハード」=電子回路、プリント基板あたり
「集積回路(半導体チップ)」までは、なかなか
どうしても「今あるもの・使えるもの」を使う
カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・
新技術で、一気にパラダイムが変わることがある
「集積回路をつくれる」という道具
=「いまできること」という発想の縛りから開放
Depth画像
※昔は「可能だが高価」
→Kinect後は「誰でも使える」
→ユーザインタフェース界の革命
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半導体チップは「道具」か?:調査
https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093
CMOS 0.18um 5Al
2.5mm x 2.5mm
RingOSC x 1001
T-FF (Div)
(※LSI=集積回路のこと)
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Lチカ動画:ニコ動でのコメント
 こっから?
 ニコ技界のTOKIO
 ゲートの無駄遣い
 ここから!!?
 ひでえ、勿体ない使い方wwwww
 マジかよ。レジストレベルの設計とか
ガチすぎる。
 無駄遣い過ぎるだろw
 贅沢というかなんというか
 え?まじでここからかよ」wwww」」
 IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・
 (FPGAでは)いかんのか?
 俺はFPGAで我慢することにする
 いや、そこまでは必要ないです
 量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・
 アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w
「集積回路=すごいことをやるためのもの」という意識
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Mooreの法則がもたらしたもの(2)
LSI設計・製造コストの高騰
シャトル製造サービス〜$1k
製造初期コスト(マスク)〜$1M
設計ツール 〜$1M
秘密保持契約(NDA; Non Disclosure Agreement)
: Priceless
製造工場 〜$1G
cf:プリント基板製造($10~)、Arduino($10~)
cf: 設計CAD&コンパイラ(IDE)(Free~)
「専用LSIつくってLチカ」ってもったいない&無駄遣いすぎる
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オレLSI:AI向けも
AI/深層学習向けのプロセッサ
従来型の「ノイマン型コンピュータ」では苦手
いわゆるASIC(特定用途向けIC)だが、
少量多品種向け
GoogleのTPU (Tensorflow Processing Unit)の例
ref: https://news.mynavi.jp/article/20170411-tpu/2
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オレLSI:IoT向けも
IoTは、本質的に「少量多品種」
使う場面ごとに、必要な機能・性能が異なる
情報処理のやり方も多様(端末側?サーバ?)
環境発電(太陽電池、振動発電など)など、
超低消費電力が必要な場面も多い
センサ プロセッサ 通信
記録 電源
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半導体を「つくる」ためのハードル
設計CAD
市販の業務用CAD: 高すぎ、高機能すぎ
製造方法
高すぎ、時間かかりすぎ(1000万円・半年)
NDA(設計ルールなどのアクセス制限)が厳しすぎ
ユーザ・コミュニティ
参入障壁:現状は専門家ばかり
“How”の専門家は多いが、”Why/What”は皆無
いずれも、なんとかなりそう?
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
オレLSIをつくってみたい:実践
情報収集・整理
探せば、ないことはない
仲間さがし
http://j.mp/make_lsi
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
MakeLSI: -データの蓄積・再利用
GitHub上でデータを共有=再利用OK
NDA-Free設計ルール= NDA-Free IP
迅速なIP開発
 共通設計環境・プロセス
 多くの参加者による開発
 品質が低い場合もある(バグ、エラー)
 品質も参加者により改善される?
Cf. OSS (Open Source Software; Linux, etc.)
 品質はコミュニティメンバにより迅速に改善
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 オープンな枠組み(ソースコード、ライセンス)が必要
Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
私にとっての
Makerムーブメント
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
NT金沢:始まり
MiniMakerFaireをやりたいと画策(2013年)
NT京都をみて、NT金沢を始めていた人がいた
合流して、拡張してみた
「作ってみたは正義」(byメーヴェの八谷さん)
会場:金沢市芸術村(~2013年)
→金沢駅前地下広場(2014年~)
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
NT金沢:現状
 「すごいもの」も「しょぼいもの」から
 「すごい」かは、やってみないと判断できない(by高須さん)
 「見にいってみた」<<「出展してみた」
 約120ブース(抽選・セレクションなし、まだキャパはなんとか大丈夫)
 NT=「なんかつくってみた」と再定義して裾野拡大へ
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
NT金沢:運営の実際
中の人=ほぼ二人
ルーチンワークが多い(会場予約、参加募集、当日)
「主催者」ではない(自称)
みんなが主役、それに場所を提供しているだけ
「主催者」がいると、みんながそれに頼ってしまう(ゴ
ミ捨てなど)
ブースの机運搬、片付けも、みんな(当事者)で
譲れないポリシー
「やりたいものは何か」を忘れない
NT金沢では「遊び場」
「やること」が目的にならないように
そのために必要なことが何かを考え、無理をしない
Webページ、チラシ:作りたい人がいたら頼む
幸い、安くてよい会場が予約できている(1万円/日:抽選)
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
「なければつくる」という選択肢
66
西餅「ハルロック」(講談社コミック)より
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
Makerからイノベータへ
学生のうちに「しょぼい起業」
小ロットでも成り立つケースもある
「起業」という選択肢だってある
そもそも「起業」という形にこだわらなくてもいい?
2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/
技術サークル「テクノアルタ」
みんな、趣味でいろいろ作っている
「世の中に出したい」(ちょっとハードル)
人材、資金、事務・マネジメント、リスク・・・
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産業としての半導体とムーアの法則

  • 1. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 産業としての半導体と ムーアの法則 秋田純一 (金沢大学)
  • 2. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 自己紹介 本業:金沢大の教員 専門:集積回路、イメージセンサ、インタラクション 好きなプロセスはCMOS 0.35um 本業2:Maker(メイカー)、ハンダテラピスト 好きな半田はPb:Sn=37:63
  • 3. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Contents 半導体産業の歴史と現状 ムーアの法則とその意義と今後 AI/IoT時代の半導体とのつきあい方
  • 4. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 今日の対象:「半導体」 チップ(半導体チップ) =集積回路(Integrated Circuits; IC) LSI(大規模集積回路; Large Scale Integration) 米物理的には、導体と絶縁体の 中間の電気抵抗をもち、 条件に応じて導体や絶縁体になる (電流をON/OFFできる)材料 それを使って電子回路をつくる 電子回路→論理回路→コンピュータにつながる
  • 5. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ (おまけ)炙って見られる どこのご家庭にもある BBQ用バーナー(カセットボンベ式) 3分くらい炙る ※火事・ヤケドに注意 ICチップ(パッケージ入) チップが見えてきた! 炭化したパッケージを、 ピンセットなどで、崩していく (チップを割らないように注意)
  • 6. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体→トランジスタ→論理回路 ref: http://imasaracmosanalog.blog111.fc2.com/category33-1.html A X A X 論理回路 電子回路 コンピュータ (CPU・メモリなど)
  • 7. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 最近の世界の半導体産業 まさに成長産業 AIがIoTが後押し (WSTS (World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)の資料より)
  • 8. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ かつての日本の半導体産業 (朝日新聞 1987/05/25) (朝日新聞1989/06/07)
  • 9. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「その後」の日本の半導体産業 (吉森,中屋「国内論理系半導体産業の分析と将来戦略」,信学誌, 96, 2, pp.70-75 (2013))
  • 10. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 最近の日本の半導体産業 (朝日新聞2009/06/03) (朝日新聞2012/10/04) (朝日新聞 2013/02/06)
  • 11. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの歴史と半導体 (1946) 真空管: 18,000本 消費電力: 140kW サイズ: 30m×3m×1m 演算性能: 5,000加算/s (ENIAC:世界最初のコンピュータ) (2007) 最小加工寸法: 0.065μm(65nm) 素子数: ~50,000,000 消費電力: 100W~数mW サイズ: 10mm×10mm程度 演算性能: 10,000,000,000演算/s (1960)集積回路(IC)の発明
  • 12. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体(集積回路)の発明 US Patent No. 2 981 877 (R. Noyce) (1961) US Patent No. 2 138 743 (J. Kilby) (1959) 電子回路を半導体(ケイ素=シリコン)に作り込んだもの インテルの創業者(の一人)
  • 13. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体の進化の歴史:Mooreの法則 ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm 傾き:×約1.5/年 年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった ※G.Moore (インテルの創業者の一人) G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
  • 14. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則のカラクリ:比例縮小 コンピュータの電子回路の最小単位 =MOSトランジスタ 電流のON(“1”)/OFF(“0”)を制御するスイッチ 集積回路の部品(MOSトランジスタ)を、同じ 形状で、より小さく作ると・・・? 寸法: 1/α 不純物濃度: α 電源電圧: 1/α p-Si S DG n-Sin-Si p-Si S DG n-Sin-Si L R.H.Dennard et al., "Design of ion-implanted MOSFET's with very small physical dimensions," IEEE J.of SSC, Vol.9, No.5, pp.256-268, 1974. MOSトランジスタの断面構造
  • 15. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 比例縮小の効果 効果:いいことばかり 速度↑(電子の移動=信号の伝搬距離が短くなる) 消費電力↓(電源電圧が下がる) 集積度(機能)↑(1つの素子が小さい=同一チップに多数) 技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース p-Si S DG n-Sin-Si p-Si S DG n-Sin-Si L • 素子面積:1/α2 • 素子密度:α2 • 電流I:1/α (←電圧:1/α) • 容量C:1/α (←C=εS/d, S:1/α2, d:1/α) • 抵抗R:α (←R=ρL/S, S:1/α2, L:1/α) • 回路遅延:1/α (←E:一定, S-D間:1/α) • 消費電力:1/α2 (←V:1/α, I:1/α) • 配線遅延時間CR:1 (変わらない) ※MOSトランジスタを 上から見たところ (素子1個の専有面積) 物理的な詳細
  • 16. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ MOSトランジスタの微細化の歴史 微細化するほど メリットがある =がんばって微細化 そろそろ「原子」が 見えてきている 「お金がからむと 技術は進む」 ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事 L=20nm(いま) L=5nm(2020年ごろ予定)
  • 17. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの歴史の2つの側面 DEC VAX(1976) 1MIPS Cray-1 (1978) 100MIPS MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数) (世界最初のスーパーコンピュータ) 「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある 20000MIPS 10MIPS 100MIPS 20MIPS 20000MIPS 109MFLOPS
  • 18. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの「使い方」の変化 国に1台/会社に1台 個人で1台(PC) 一人で何台も 仕事・勉強の道具国・会社のプロジェクト コミュニケーション ・遊びの道具 >1億円 10〜100万円 数万円 身の回りに無数 存在に 気づかない 〜100円 大昔のコンピュータ 一昔前のコンピュータ 今どきのコンピュータ コンピュータの利用場面(アプリケーション)が広がった
  • 19. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則の経済的な意義 「わかりやすい&嬉しい」指針 メーカ側:微細化による性能↑&コスト↓ ユーザ側:機能↑&コスト↓ 他の産業にない半導体・電子産業の特異性 「機能単価」で考えるとわかりやすい 機能単価↓ = ユーザはうれしい(売れる) 機能単価 = 価格 ÷ 機能(性能)
  • 20. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 機能単価の例 メモリ(SDカードなど) 1GBで1000円 → 1000円/GB 4GBで4000円 → 1000円/GB 1GBで250円 → 250円/GB 4GBで1000円 → 250円/GB CPU 演算性能あたりの価格:[円/GHz]など クルマ 燃費あたりの価格:[円/ (L/km)] 最高速度あたりの価格:[円/ (km/h)] 同じくらいお買い得 4倍お買い得
  • 21. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 機能単価の罠:4MbDRAMの立上り DRAM(半導体メモリ)は、3年ごとに4倍容量の製品 が主軸になってきた(Mooreの法則どおり) 1Mb→4Mbの世代交代で、市場の立上りを読み間 違えた (直野「転換期の半導体・液晶産業」(日経BP,1996))
  • 22. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ なぜ4Mbは当初売れなかたのか?  機能単価が高かったわけ ではない (お買い得な4Mbが売れない)  不景気だったわけでもない (前の世代の1Mbは好調)  ユーザは4Mbが必要なかった  DRAM大口ユーザ=PC  OS:MS-DOS (1MB以上は使えない)  実際、その後、順調に4Mbは 市場が立ち上がって成長 (1991年=Windows3.1の発売)
  • 23. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 機能単価と機能飢餓 Mooreの法則による半導体産業成長の 重要な前提:機能飢餓 ユーザ(市場)が、慢性的に高機能を欲している 状態 ICT産業は長年、機能飢餓状態にあった 昔のPCのカタログのウリ=性能 最近はどうか? 分野によっては機能飢餓が薄れている 最近のPCのカタログには性能が(ほぼ)載ってい ない
  • 24. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 機能飢餓を忘れた技術 テレビSDTV→HDTV→4K/8K SDTV→HDTVは、画質に対する機能飢餓からか? HDTV→4K/8Kでの機能飢餓は? そもそも地上波のテレビは見られるのか? http://www.garbagenews.net/archives/1935926.html http://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/32.html
  • 25. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 産業のあるべき姿 ものづくり = Why x What x How Why : なぜそれを作るのか? What : 何を作るのか? How : どうやって作るのか? “Why”が「欠如」しているケースが多くない か? Seeds側:Mooreの法則(機能単価の低下) +Needs側:機能飢餓の継続 が長年続いてきた→機能飢餓を忘れがち
  • 26. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則のもう一つの意義 機能単価の低下 = 製品価格の低下 単なる「価格低下」だけではない 「スマホやPCが安く買えてサイフに優しい」 だけではない、質的な変化の可能性がある
  • 27. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ マイコン使用 部品点数=1 コスト:100円 発振回路(555) 部品点数=4 コスト:150円 「LED点滅(Lチカ)」のパラダイムシフト コスト面:マイコン○(「もったいなくない」) 機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易) while(1){ a = 1; sleep(1); a = 0; sleep(1); } ※さすがにPCではちょっと・・・ Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例 昔のLチカ 今どきのLチカ ※マイコン=Micro Controller(小さなコンピュータ)
  • 28. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータが「頭脳」から「部品」に 出典:ARM 機器の頭脳 関節ごとに小さい脳(神経節) コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった
  • 29. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則のわかりやすい例 マイコン(ATmega328P/PB)の例 機能:ATmega328P < ATmega328PB(上位互換) 価格:ATmega328P > ATmega328PB(30%安価) 0.6umくらいだと、製造コストはほぼチップ面積 ATmega328P(1.2umルール?) ATmega328PB(0.6umルール?) 詳細:http://ifdl.jp/blog/?p=1197
  • 30. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 価格が起こしたパラダイムシフト シリアル制御フルカラーLED“NeoPixel” 電源+1本のシリアル制御線で複数制御 超安価 (~3円/pcs) 普通のLEDより安い LEDディスプレイなど大量に使われるようになった 制御チップは1umルール程度(かなり安い) Ref:https://news.nicovideo.jp/watch/nw4240213
  • 31. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「部品」としての半導体 「旧型の大量生産」 同じ製品を大量につくる 汎用Tr・汎用ロジック・汎用アナログ・メモリ・・・ 「新型の大量生産」 「均一な部品=汎用半導体」の 組み合わせ 半導体の位置づけ それ自体が「旧型の大量生産」の対象 「新型の大量生産」による 「電子情報機器」生産のための部品・素材 (P.ドラッカーによる定義) (P.ドラッカーによる定義)
  • 32. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「新型の大量生産」における部品 部品の規格化による高い効率化 黎明期の半導体における「セカンドソース」 何にでも使えて、 どこでも手に入る「汎用品」 741、555、74シリーズ、・・・ 主に供給安定化が目的 電子情報機器の設計・製造に 与えたメリットは、はかりしれない (Wikipediaより)
  • 33. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「汎用半導体」の転換 半導体性能↑と電子情報機器の性能↑ 部品である半導体製品への性能要求↑ 「汎用品」の意義の薄れ 汎用品=性能もそれなり 特定用途では性能が不足 半導体製品が用途ごとに多様化 =半導体産業の本質の転換 大量少品種→少量多品種(○○専用チップ)
  • 34. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 専用半導体の事情 「○○専用チップ」 SoC (System on Chip) 要素回路を統合してワンチップとして製造 SiP (System in Package) 要素回路のチップを組み合わせて 1つのパッケージ(部品)に入れる (SoCよりやや性能面で不利) 半導体固有の事情:イニシャルコスト↑↑↑ SoCはイニシャルコスト↑↑↑ 大量生産しないと回収できない =ヒット製品への強い依存
  • 35. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則の今後 微細化が進みすぎて、素子として動作しない+ 安定に製造できない 不安要因 製造ばらつき(設計通りの形状にならない) 不純物ばらつき(電気特性が設計通りにならない) トンネル効果(OFFにしたつもりが電子が通り抜ける) ref: https://slideplayer.com/slide/7843454/ Si原子(直径0.2nm) ×50
  • 36. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 最近のCPU(※イメージ) Intel Core i7 (2008)トランジスタ(素子)数~10億個 (設計では、これらを1つも間違いなく組み合わせる) cf: 地球の人口~70億人、中国の人口~13億人
  • 37. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの中身が見えなくなる https://hardware.srad.jp/story/18/05/25/0450230/ https://security.srad.jp/story/18/05/08/0919252/ http://www.itmedia.co.jp/news/articles/ 1806/15/news079.html 設計が正しいか検証しきれない
  • 38. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ AI/IoT時代の半導体 半導体は重要部品なのは事実 Mooreの法則の延長は望めない 十分すぎる、使いこなしきれない機能がある どう使うか? 「半導体を使う」という発想の転換 ソフトウエア→ハードウエア→半導体チップ
  • 39. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 最近の半導体業界の動向 「テカナリエ・レポート」を読むと、よくわかる スマホSoCのシェア・戦略 微細加工技術の採用・使い分け Fab(製造工場)の使い分け・戦略 プロセッサ・アーキテクチャの動向 (ARM←→RISC-V) ARM=ARM社のライセンス製品 (組み込みの業界標準、ソフトバンクが買収) RISC-V=オープンソース、ソフトウエアの「縛り」がない 分野で採用事例が急拡大中
  • 40. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が「道具」になる意義と イノベーション
  • 41. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の進歩と独裁化 科学技術の進歩=社会水準の向上 科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化 「製造者」と「利用者」の分離 製造者の「特権」: 原材料の入手(原油、電子部品、・・・) 工場・製造装置 販売チャンネル 利用者の「意識」 「ものは買う物」 大量生産・大量消費の時代が長く続いた
  • 42. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化へ 技術を、市民の手に「取り戻す」流れ 大量生産→ロングテールへ 「技術の民主化」を可能にする技術革新 実はルネッサンス時代への回帰でもある
  • 43. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの (以前)プロのみ 音楽、映画、・・・ 我々は「消費者」 (現在)アマチュアでもコンテンツを 作ることができる DTM, Vocaloid, … YouTube, … 我々は「制作者」にもなれる (可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす ―表現のためのメディア技術」 (明治大学出版会, 2015)
  • 44. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの プログラミング (以前)PCもプログラミングツールも高価 「遊び」から始められない (現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ 「遊び」などから始められる =敷居の低下=裾野の広がり
  • 45. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの 裾野が広がる=イノベータの多様化 「アツい思い」を具現化する 道具がある 多様性=イノベーションの土壌 小川進「ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来」 (東洋経済新報社, 2013) (L.Fleming, Harvard Business Review, 8(9), pp.22-24 (2004))
  • 46. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が「道具」になるとは 技術が「道具」になるステップ 開発/発明される お店で買えるようになる 使い方が知られるようになる みんなが使うようになる それが「道具」となって、次のステップへ プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも プロ(詳しい人)しか使えない アマ(詳しくない人)でも使える
  • 47. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 道具としてのマイコンボード 文具のように、いつのまにかなくなるので 常時ストック、という感覚
  • 48. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化の結果:深圳の華強北 48 山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”) ※FakeCopyではなく、プロダクトの 進化系。これが2週間で量産される 無限に続くパーツ屋 “Used Mobile Phone Shop”の実体 パーツに分解 (BGAも) 路上で解体 店頭でリペア 新製品の試作に流用 ShenZhen HuaQiangBei 基板製造 + 部品(サプライチェーン) + 起業(ハードウエアスタートアップ) + 資本(VC/アクセラレータ) 深圳の生態系 謎の起業・新製品が続々(ときどきアタる) 世界中から頭脳と資金が集まり、 イノベーションを生み出している 「ハードウエアのシリコンバレー」とも
  • 49. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ ちなみに・・・ 深センにある南方科技大でサバティカル予定 (2020/4~9) 研究力急上昇中、キャンパスも3年で2倍 深センのHWエコシステムとOpenSource、アカデミ アの関係
  • 50. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が生まれて「道具」になるまで エリンギの例 1993年に日本へ 2003年ごろから一般化 ↑10年かかって「道具」に 料理番組、調理例・・・ 農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業 台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査 (生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
  • 51. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の道具化と社会課題解決 「おばあちゃんセンシング」 おばあちゃんが、自分の畑の状態を知りたい でもマイコン・クラウドを使えない おばあちゃんがマイコンを買って、サーバをたて て、自分でシステムつくれ・・・ねえよ →そういう世界になればいいのでは? 裾野が広がる=レベルが下がる? 結果として、専門家の「価値」も高まる(はず) CivicTechという形で、社会的に現れつつある?
  • 52. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 道具になる半導体
  • 53. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体は「道具」になっているか? 「ハード」=電子回路、プリント基板あたり 「集積回路(半導体チップ)」までは、なかなか どうしても「今あるもの・使えるもの」を使う カメラ、Kinect、マイコン、FPGA・・・ 新技術で、一気にパラダイムが変わることがある 「集積回路をつくれる」という道具 =「いまできること」という発想の縛りから開放 Depth画像 ※昔は「可能だが高価」 →Kinect後は「誰でも使える」 →ユーザインタフェース界の革命
  • 54. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体チップは「道具」か?:調査 https://www.youtube.com/watch?v=A188CYfuKQ0 http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093 CMOS 0.18um 5Al 2.5mm x 2.5mm RingOSC x 1001 T-FF (Div) (※LSI=集積回路のこと)
  • 55. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Lチカ動画:ニコ動でのコメント  こっから?  ニコ技界のTOKIO  ゲートの無駄遣い  ここから!!?  ひでえ、勿体ない使い方wwwww  マジかよ。レジストレベルの設計とか ガチすぎる。  無駄遣い過ぎるだろw  贅沢というかなんというか  え?まじでここからかよ」wwww」」  IC版FusionPCB的なところが現れれば・・・  (FPGAでは)いかんのか?  俺はFPGAで我慢することにする  いや、そこまでは必要ないです  量産品すらFPGA使う時代に専用LSI・・・  アマチュアはFPGAで良いんだよなぁ・・・w 「集積回路=すごいことをやるためのもの」という意識
  • 56. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則がもたらしたもの(2) LSI設計・製造コストの高騰 シャトル製造サービス〜$1k 製造初期コスト(マスク)〜$1M 設計ツール 〜$1M 秘密保持契約(NDA; Non Disclosure Agreement) : Priceless 製造工場 〜$1G cf:プリント基板製造($10~)、Arduino($10~) cf: 設計CAD&コンパイラ(IDE)(Free~) 「専用LSIつくってLチカ」ってもったいない&無駄遣いすぎる
  • 57. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ オレLSI:AI向けも AI/深層学習向けのプロセッサ 従来型の「ノイマン型コンピュータ」では苦手 いわゆるASIC(特定用途向けIC)だが、 少量多品種向け GoogleのTPU (Tensorflow Processing Unit)の例 ref: https://news.mynavi.jp/article/20170411-tpu/2
  • 58. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ オレLSI:IoT向けも IoTは、本質的に「少量多品種」 使う場面ごとに、必要な機能・性能が異なる 情報処理のやり方も多様(端末側?サーバ?) 環境発電(太陽電池、振動発電など)など、 超低消費電力が必要な場面も多い センサ プロセッサ 通信 記録 電源
  • 59. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 半導体を「つくる」ためのハードル 設計CAD 市販の業務用CAD: 高すぎ、高機能すぎ 製造方法 高すぎ、時間かかりすぎ(1000万円・半年) NDA(設計ルールなどのアクセス制限)が厳しすぎ ユーザ・コミュニティ 参入障壁:現状は専門家ばかり “How”の専門家は多いが、”Why/What”は皆無 いずれも、なんとかなりそう?
  • 60. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ オレLSIをつくってみたい:実践 情報収集・整理 探せば、ないことはない 仲間さがし http://j.mp/make_lsi
  • 61. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ MakeLSI: -データの蓄積・再利用 GitHub上でデータを共有=再利用OK NDA-Free設計ルール= NDA-Free IP 迅速なIP開発  共通設計環境・プロセス  多くの参加者による開発  品質が低い場合もある(バグ、エラー)  品質も参加者により改善される? Cf. OSS (Open Source Software; Linux, etc.)  品質はコミュニティメンバにより迅速に改善  コミュニティメンバの開発・改良への熱意  オープンな枠組み(ソースコード、ライセンス)が必要
  • 62. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 私にとっての Makerムーブメント
  • 63. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:始まり MiniMakerFaireをやりたいと画策(2013年) NT京都をみて、NT金沢を始めていた人がいた 合流して、拡張してみた 「作ってみたは正義」(byメーヴェの八谷さん) 会場:金沢市芸術村(~2013年) →金沢駅前地下広場(2014年~)
  • 64. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:現状  「すごいもの」も「しょぼいもの」から  「すごい」かは、やってみないと判断できない(by高須さん)  「見にいってみた」<<「出展してみた」  約120ブース(抽選・セレクションなし、まだキャパはなんとか大丈夫)  NT=「なんかつくってみた」と再定義して裾野拡大へ
  • 65. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:運営の実際 中の人=ほぼ二人 ルーチンワークが多い(会場予約、参加募集、当日) 「主催者」ではない(自称) みんなが主役、それに場所を提供しているだけ 「主催者」がいると、みんながそれに頼ってしまう(ゴ ミ捨てなど) ブースの机運搬、片付けも、みんな(当事者)で 譲れないポリシー 「やりたいものは何か」を忘れない NT金沢では「遊び場」 「やること」が目的にならないように そのために必要なことが何かを考え、無理をしない Webページ、チラシ:作りたい人がいたら頼む 幸い、安くてよい会場が予約できている(1万円/日:抽選)
  • 66. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「なければつくる」という選択肢 66 西餅「ハルロック」(講談社コミック)より
  • 67. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Makerからイノベータへ 学生のうちに「しょぼい起業」 小ロットでも成り立つケースもある 「起業」という選択肢だってある そもそも「起業」という形にこだわらなくてもいい?
  • 68. 2020/2/8 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術サークル「テクノアルタ」 みんな、趣味でいろいろ作っている 「世の中に出したい」(ちょっとハードル) 人材、資金、事務・マネジメント、リスク・・・ 「実は欲しい人がいる」(ロングテール) 「売る」難しさ:販売方法、少量生産、在庫管理、 サポート業務 「冷えミク」 (コミケC85で販売)