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抗菌薬と細菌について。
「抗生剤と細菌について。」 改訂版
薬剤師 佐野
2011/08/12 作成

2013/06/17 公開

2015/05/05 改訂

2016/12/13 改訂

2017/04/10 加筆

2017/07/12 加筆
ご覧頂きありがとうございます
• このスライドは2011年に当院の研修医教育用に作成した
「抗生剤と細菌について。」を加筆訂正したものです。
• 抗菌薬と細菌について学び始めた医学生、研修医、薬剤
師、看護師、検査技師等を対象にしています。
• 2016年に大幅に加筆し、「2016年12月改訂版」としま
した。以前のバージョンのPDF➾GoogleDrive Dropbox
• 各臓器の感染症についての詳細な事項は、成書を参照し
て下さい。
抗菌薬は難しいか?
• 疾患名から導く治療法が一つでない
• 細菌性肺炎と一口に言っても

起炎菌?➾肺炎球菌?緑膿菌?レジオネラ?
投与薬剤は?➾ペニシリン系?セフェム系?
• 結びつきが複雑で、混乱する
• 結局、よくわからくてイヤになる…
なぜ混乱するのか
• 細菌の種類が多い
• 抗菌薬の種類が多い
• 起因菌の推定が難しい
• 上記の組み合わせが複雑…
*研修医との会話より
やはり難しそうだ
• 一度整理することが重要です。
• このまとめでは細菌と抗菌薬を整理します。
• 抗菌薬の使い方の基礎を整理します。
• 加筆でスライドが増えすぎましたので…

文字だらけのスライドは飛ばしてもいいです。

詳細が知りたいなぁと思った時に読んで下さい。

まずは図表のあるスライドだけでも読んで下さい。
抗菌薬は細菌と戦う手段
『彼を知り己を知れば百戦あやうからず』
~孫子~
「細菌、抗菌薬の知識を正しくもてば勝てる!」
研修医によく聞かれること
「抗菌薬ってどうやって勉強すればいいんですかぁ?」
「とりあえず、注射用抗菌薬の一般名を覚えましょう」
「あ、略号はそのうち読めてくださいね」
抗菌薬は一般名で!
• 製品名は、薬剤師に聞けばいいんです。外勤先
に同じ製品名の抗菌薬があるとは限りません。
• 略号は慣れます。英語名を知れば簡単です。

感受性試験を読むときには略号が役立ちます。
• このスライドは『略号』でいきます。普段の薬
剤がイメージしやすいように一応、製品名(先
発品)を併記します。
すべての抗菌薬を知るべきか
「当院の採用品は注射と内服で約80種類ぐらい!」
「ええっ!そ・・・そんなに?!無理です!」
「注射用に絞れば、大事なやつは25種類もないですよ。
で、しかもその半分が、βラクタム系です」
「βラクタム系の使い分けをマスターすれば
何とかなりそうね」
抗菌薬の勉強は…
• いきなりすべての抗菌薬を覚えるのは無理です。

間違いなく挫折するし、混乱する。
• まずは、重要な細菌に使われる抗菌薬を把握する。
• 汎用されるセフェム系の抗菌薬を分類する。
• 次にペニシリン系、カルバペネム系、キノロン系、

アミノグリコシド系と勉強していく。
• この時に、細菌をイメージしながら勉強する。
抗菌薬を勉強する前に
• 製薬メーカーの抗菌薬と細菌の表は参考程度にする
➾vitroの結果が表記されている
➾臨床上無効な細菌もいる
• 製薬メーカーの話は半分だけ信じる
➾おいしいことしか言わない
➾新薬の場合は未知の副作用がある
• ついでに細菌のことも知っておく
➾主な感染疾患の起因菌はそんなに多くない
➾第一選択薬をおさえる
細菌の勉強?
• 一部を除いて細菌学的特徴はいらない
• 鞭毛や莢膜の構造がどうの・・・なんて知識は、
とりあえずはおいておく
• グラム染色性、おおまかな形態が重要

➾陽性(Positive) or 陰性(Negative)

➾球菌(Coccus) or 桿菌(Rod)
グラム陽性菌と陰性菌??
細胞膜
グラム陽性菌 グラム陰性菌
グラム陽性菌は厚い細胞壁を持つ
グラム陰性菌は薄い細胞壁の外側に外膜を持つ
ABPC と PCG の決定的な違いは、外膜を透過するか否か
セフェム系は外膜の透過性と透過速度がペニシリン系より優れている
細胞壁
外膜
人の細胞にはなく、細菌にある細胞壁を
構成している。最大で20気圧にも及ぶ
菌体内の圧力に抵抗して破裂を防ぐ
強固な構造体である。
グラム陽性菌では最大で40層、
その厚みは20-80nmとなる。
グラム陽性菌の構造
ペニシリン結合蛋白(PBP)
ペプチドグリカン(細胞壁)を作り出す重要な酵素で
特に細胞分裂のときに活性が高い。βラクタム系抗菌薬が
その活性を阻害すると、細胞壁合成のバランスが崩れ、
その内圧に耐えられず細菌は溶解する。
ペプチドグリカン(PG)
リポテイコ酸
拡大
細胞膜
細胞壁
グラム陰性菌の構造
ペニシリン結合蛋白(PBP)
グラム陰性菌のPBPは、疎水性の細胞外膜の内側にある。

そのため、親水性の物質や抗菌薬は外膜のポーリンと呼ばれる
孔を通過する必要性がある。細菌の耐性化の一つに

ポーリンの変化がある。
グラム陰性菌のPGは1-2層で
その厚さは1-8nm程度である。
陰性菌には、その外側に

細胞外膜がある。
ペプチドグリカン(PG)
リポ多糖体(LPS)
グラム陰性菌がもつ内毒素(エンドトキシン)で
菌体の破壊によって遊離しする。
マクロファージを刺激し、種々のサイトカインが
産生されショックを引き起こすことがある。
ポーリン
拡大
外膜
細胞膜
細菌の整理
臨床上の重要な細菌が多い菌種とは
球菌(coccus) 桿菌(rod)
グラム陽性 グラム陽性球菌 グラム陽性桿菌
グラム陰性 グラム陰性球菌 グラム陰性桿菌
「基本的にはGPC、GNRが重要菌種で嫌気性菌も染まります」
グラム染色
• 簡便な方法で、細菌を推定できる。
• 試料固定➾染色➾脱色➾染色➾乾燥➾検鏡
• 一連の作業は30分もあれば終わる。
• 鏡検は数をこなすことと答え合わせをすること。
• 細菌担当の検査技師の技術/知識も頼りにする。
細菌の話①
グラム陽性球菌を中心に
グラム陽性球菌
Gram-Positive Coccus
「重要なのは3つの球菌~coccusです!」
菌種とその代表的な感染症
ブドウ球菌属
Staphylococcus
血流感染 蜂窩織炎
連鎖球菌属
Streptococcus
肺炎 髄膜炎
腸球菌属
Enterococcus
感染性心内膜炎(I.E.)

尿路感染
Staphylococcus = ブドウ球菌
Streptococcus = 連鎖球菌
Enterococcus = 腸球菌
Streptococcus pneumoniae
肺炎球菌
「陽性球菌はそのグラム染色からある程度の

細菌の予測がつきます」
立体的に増殖するためブドウ状に見えます
腸球菌は通常5つ程度までの連鎖となります
スタフィロコッカス
ストレプトコッカス
エンテロコッカス
ニューモニエストレプトコッカス
肺炎球菌は通常2つの球菌が繋がった双球菌です
グラム陽性球菌詳細
属 代表菌 常在性 主な感染症
ブドウ球菌
Staphylococcus
S.aureus
黄色ブ菌
○
皮膚
鼻腔
皮膚軟部組織感染(SSTI) I.E.
菌血症 カテ感染 静脈炎 骨髄炎
(喀痰培養のMRSAはほとんどが定着)
S.epidermidis
表皮ブ菌
連鎖球菌
Streptococcus
S.pneumoniae
肺炎球菌
○
咽頭
皮膚
肺炎、中耳炎、髄膜炎
市中肺炎の起炎菌1位!
S.pyogenes
A群溶連菌
咽頭炎、壊死性筋膜炎
腸球菌
Enterococcus
E.faecalis ○
腸管
尿路感染、腹腔内*、感染性心内膜炎
(基本的に弱毒菌)E.faecium
*腹腔内感染への関与は不明
グラム陽性球菌の特徴
カタラーゼ 形状 溶血性など 代表菌名
陽性
ブドウ

房状
コアグラーゼ陽性 S.aureus(MSSA, MRSA)
コアグラーゼ陰性(CNS) S.epidermidis, S.saprophyticus
陰性
長い

連鎖
α溶血 S.anginosus
β溶血
A群 S.pyogenes
B群 S.agalactiae
短い

連鎖
α溶血 S.pneumoniae
γ溶血 Enterococcus spp
「グラム染色の菌形状、溶血性からある程度の予測が可能です」
コアグラーゼとは?
「ブドウ球菌を分類するときに出てくる
コアグラーゼとはなんですか?」
酵素の1種で、血漿を固める働きをします
「黄色ブドウ球菌(S.aureus)はコアグラーゼを持っています。
一方で、S.aureus 以外のブドウ球菌は持っておらず、
Coagulase Negative Staphylococci(CNS)と総称されています。
S.aureus はこの特徴のため、病原性が強いと言われます」
コアグラーゼは S.aureus を
免疫系から隠してしまう!
フィブリン
S.aureus
好中球
「フィブリン塊を隠れ蓑にして貪食作用を回避しています
S.aureus による感染症は"やっかいな"というイメージがあります」
S.aureus の種類
1. ペニシリナーゼ非産生のS.aureus

➾ペニシリンで治療できるが、現在では全黄ブ菌の5-10%
未満しかいない
2. メチシリン感受性のS.aureus(MSSA)

➾ペニシリナーゼ産生型で、基本的にはCEZ or CEXが第一
選択となる(欧米ではオキサシリン)
3. メチシリン耐性のS.aureus(MRSA)

➾βラクタム系抗菌薬の標的であるPBP2が変異しているた
め、MRSA専用の抗菌薬を用いる
セファメジン ケフレックス
MSSA
ペニシリナーゼ(−)
MSSA
ペニシリナーゼ(+)
MRSA
PCG
ABPC
◯ ✕ ✕
CEZ
CEX
◯ ◯ ✕
VCM等の
抗MRSA薬
△ △ ◯
S.aureus の種類
「MSSA が急に MRSA へ変異することはありません。
入院患者さんで新たに検出された場合には院内での感染が疑われます。
抗MRSA薬は MSSA にも効果がありますが、

抗菌力はPCGやCEZに劣ると言われています。」
レンサ球菌の分類
「連鎖球菌の分類は、簡単に考えましょう!
日本国内では様々な名称で呼ばれていますが、
基本的な分類を知れば難しくないですよ」
「α溶血とかβ溶血とか、A群、B群って何ですか?
GAS とか GBS とか…わけわかんない」
Streptococcus
レンサ球菌は溶血性が重要
β溶血
強い病原性のため
菌種を細分化➾
A群 S.pyogenes
(化膿性連鎖球菌)
B群 S.agalactiae
C/G群 S.dysgalactiae
α溶血 S.anginosus group
S.pneumoniae(肺炎球菌)
γ溶血 Enterococcus 属
ピオゲネス
ニューモニエ
「溶血性は病原性の強さを示し、β>>α>γ となっています。
“群”はLancefield分類と呼ばれ、病原性の強いβ溶血の
レンサ球菌を分類するために考えられたものです」
「α溶血を示す菌(口腔内常在菌)は通常弱い病原性ですが、
肺炎球菌は例外で強い病原性を示します」
分類 通称 菌名 主な感染症 抗菌薬
A群
Group A
A群溶連菌
GAS

Group A Streptococci
S.pyogenes
咽頭炎 とびひ*
壊死性筋膜炎
PCG or ABPC

+ CLDM
CLDMは毒素産生抑制、
分裂段階の菌にも効果
的で菌量に効果が左右
されない活性、優れた
組織移行性を期待して
併用されます
B群
Group B
B群溶連菌
GBS
Group B Streptococci
S.agalactiae
産道感染からの
新生児髄膜炎
C/G群 C/G群溶連菌 S.dysgalactiae
基礎疾患ある患者の
皮膚感染症
β溶血性連鎖球菌
「基本的にPCG感受性で、耐性の報告はほとんどありませんが、
これらの皮膚軟部組織感染は重症化しやすく注意が必要です」
*伝染性膿痂疹:S.aureusも起因菌
Enterococcus = 腸球菌
E.faecalis:ほぼこいつ
E.faecium:ほぼ見かけないが耐性度が高い
腸球菌 = γ溶血 = 弱毒菌
セフェム系は無効(生まれつき耐性)
カルバペネム系も効果は弱い
フェカーリス
フェシウム
➾感染性心内膜炎 血流感染 尿路感染
*β溶血を示す株もある
*α溶血を示す
腸球菌属の感受性は注意
• セフェム系は 1st~4th 全て無効
• LVFX:S ST:Sでも、尿路感染 のみ効果あり
• IPM/CS:Sでも、他のカルバペネムは効果弱い
• E.faecalisの第一選択薬は PCG or ABPC
• E.faeciumの第一選択薬は VCM
• VCM耐性腸球菌の第一選択薬は LZD
• 心内膜炎では GM を併用(1mg/kg x3)

ただし高度耐性試験を実施しMIC(<500)を確認
クラビット
チエナム
ゲンタシン
Enterococcus spp
バクタ
GPCの第一選択薬
菌名 PCG or ABPC 第一選択薬
ブドウ球菌属 ▲ MSSA→CEZ MRSA,CNS→抗MRSA薬
連鎖球菌属* ○ PCG:200-400万単位 x6
(PCG:>1200万単位/day)
ABPC:2g x4-6腸球菌
属
E.faecalis ○
E.faecium × VCM or TEIC VCM耐性菌→LZD
*肺炎球菌にてPCG,ABPCのMIC≦2の場合
MIC≧4ではCTX or CTRX
「PCG or ABPCが『使えるか、使えないか』を基本とします」
「PCG or ABPCが使える場合には、ガッツリ投与が基本!」
ペニシリン ビクシリン
セファメジン
バンコマイシン テイコプラニン ザイボックス
クラフォラン ロセフィン
グラム陽性球菌の耐性
MSSA
(Methicillin-sensitive S.aureus)
S.aureus
黄ブ菌
S.pnuemoniae
肺炎球菌
PRSP
(Penicillin-resistance S.pneumoniae)
E.faecium
腸球菌
VRE
(Vancomycin-resistance E.faecium)
元の細菌 耐性菌
・ペニシリナーゼの産生
・PBPの変化(PBP2’の産生)
・低親和性PBPの産生
・壁合成作用点の変化
それぞれの耐性機構とは
耐性機構
MRSA
(Methicillin-resistance S.aureus)
PBP = Penicillin Binding Protein
ペニシリン系、セフェム系が妨害する細胞壁を作る酵素
• メチシリン発売(1959年)の3年後に確認
• ペニシリン結合タンパク質が変異し耐性
• 接触感染によって感染が拡大する
• 欧米では、市中感染型のMRSAが問題となっている
• 国内のβラクタム系抗菌薬はすべて耐性
• VCM, TEIC, ABK, LZD, DAP で治療する
Methicillin-Resistant
Stapylococcus aureus
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
抗MRSA薬
骨髄炎 8週間 6-8mg/kg
髄膜炎 14日間
TDM 10-15 15< <2
目標濃度 重症:15-20 重症:20-30 高齢者:<1
(μg/mL) ピーク 設定なし 設定なし 15-20
通常の 1g 負荷投与 5mg/kg 600mg 4-6mg/kg
用法用量 x2-3 必要 x1 x2 x1
必ず1時間 初日は最低 理想体重 内服も 実体重
以上で点滴 600mg x2 で計算 同用量 で計算
CLcr×25 負荷投与量 CLcrが体重の 腎機能
↑分1-2へ 40-80 1/2未満なら ごとの
腎機能別 <20 600mgx2 2TD 2日に1回 用法用量 <30
用法用量 500-750mg 20-40 1/3未満なら 調節不要 4-6mg/kg
*薬剤部にて 2日に1回 500mgx2 2TD 3日に1回 2日に1回
投与設計を 10mg/kg 初日は最低 投与は 8mg/kg
行っています x1* 600mg x2 推奨で 2日に1回*
10mg/kg その後は きない 4-6mg/kg
HD後に* TDMで決定 HD後に
腎障害 肝障害 腎障害 汎血球減少 CK上昇
500mg 200mg 200mg 600mg 350mg
¥1,701 ¥3,895 ¥3,379 ¥17,779 ¥13,154
*DAPの溶解方法等について
*VCM透析時:初回のみ15-20mg/kgの投与OK
TDMは不要
HD
トラフ
*DAP:CHDFの投与方法は海外の報告
CHDF
CLcr<80
腎機能低下
例では副作
用出やすい
報告あり
CLcr>80
備考
主な副作用
1V含量
*VCM, TEIC, ABKは初期投与設計を行っています。薬剤師に連絡を。
薬価
MRSA感染症の治療ガイドライン2014の第一選択薬
MRSA感染症の治療ガイドライン2014の代替薬
MRSA感染症のガイドラインの第1選択
MRSA感染症のガイドラインの第2選択
1-1.5g
x2
Penicillin-Resistant
Streptococcus Pneumoniae
「PRSPの定義は髄膜炎以外の感染症では
2008年に変更されました」
髄膜炎 PCG-MIC
PSSP 感受性 ≦0.06
PRSP 耐性 0.12≦
髄膜炎以外 PCG-MIC
PSSP 感受性 ≦2
PISP 軽度耐性 4
PRSP 耐性 8≦
ペニシリン耐性肺炎球菌
肺炎球菌の感受性
PCG
CTX
MEPM
EM
LVFX
0 25 50 75 100
S I R
97.4%
95.8%
81.7%
11.1%
96.3%
86.2%
JANIS調べ 2013年度
髄液検体以外
肺炎球菌による肺炎
「現時点ではPCGやABPCの投与でも十分に対応できます」
PCG:200万単位 x4-6
ABPC:2g x4
➾
MIC≦2の場合
MEPMの感受性率はPCGよりも悪いため注意が必要
「一方で髄膜炎の場合には感受性率が50%程度まで低下するため
感受性が判明するまではCTXやVCMの適応となります」
• VCM標的部位の変化
• 1986年に英国で報告
• アメリカでは腸球菌の10-20%
• ヒトだけでなくペット、家畜にも存在
• 日本でも増加傾向にある
Vancomycin-Resistant Enterococci
バンコマイシン耐性腸球菌
•バンコマイシン耐性腸球菌
バンコマイシン
細菌の話②
グラム陰性桿菌を中心に
グラム陰性桿菌を分けてみる
「いろいろな本に載っている分け方が一番いいです」
「GNR は GPC より種類が多くて、覚えきれないのよ」
「菌の頭文字のやつね。えーっと、PEK、HEM、SPACE!」
ペック ヘム スペース
PEK と HEM
腸内細菌の代表で、尿路感染の3大起炎菌、PEKとは?
Proteus mirabilis プロテウス菌 院内の尿道カテ関連感染が多い
Escherichia coli 大腸菌 尿路感染症起因菌の1位!
Klebsiella pneumoniae 肺炎桿菌 基礎疾患のある肺炎にも
上気道感染の起炎菌と腸内細菌、HEMとは?
Haemophilus influenzae インフルエンザ桿菌 小児髄膜炎1位
Enterobacter エンテロバクター 院内感染の起因菌
Moraxella catarrhalis モラキセラ 小児の中耳炎、副鼻腔炎
「Enterobacterは仲間はずれ(腸内細菌科の菌)なので、
”E”をとって私は“HaM”で覚えています」
ハム
「PEK」の「P」
Proteus mirabilis
• Proteus感染症の殆どが尿路感染症だが、市中の尿路感染症の起因菌
としては1-2%程で、尿道カテーテル関連感染症では10-15%まで上
昇する。(90%程度がP.mirabilisによる)
• ウレアーゼ活性(尿素➾アンモニア)が高く、尿をアルカリ化し、カテ
内の結石とバイオフィルム形成を助長する。そして、その結石やバ
イオフィルムに隠れ、持続的に感染を起こすことがある。
• P.mirabilis はABPCもしくはCEZ(1stセフェム)での治療が可能。た
だしESBLを産生することもあるので感受性には注意が必要。
• 仲間の P.vulgaris はセファロスポリナーゼを産生するため、通常は3
世代セフェムで治療する。SBT/ABPCは効果あり。
「ESBLについては後述します」
プロテウス ミラビリス
ブルガリス
「PEK」の「E」
Escherichia coli
• 人の腸内細菌叢の通性嫌気性菌の大部分を占めている。

(腸内細菌叢の99%は偏性嫌気性菌のためE.coliの菌量としては1%未満)
• 膀胱炎の90%、急性腎盂腎炎の90%、慢性前立腺炎の80%の起因菌。
E.coli の感染症で最も多いのが尿路感染症である。腸管穿孔による腹腔
内感染症も起こす。
• 新生児髄膜炎の2大起因菌の一つである。(もう一つはGBS)
• E.coli は通常どの抗菌薬にも感受性を示すが、近年のキノロン系の多用
によりキノロン耐性菌が増加している。
• ESBLを産生することがあるため、感受性には注意が必要。
エシュリキア コーリ
Group B Streptococcus
「PEK」の「K」
Klebsiella pneumoniae
• 日本語名は肺炎桿菌で、尿路感染症の起因菌としては1-2%程度であ
る。口腔咽頭に常在していることがある。
• アルコール依存症、糖尿病等の基礎疾患を有する患者では重症の市中肺
炎を起こす。
• 市中で肝胆道系疾患のない患者に肝膿瘍を起こすことがあり、この場合
には眼、中枢神経系、肺などに転移しやすい。
• K.pneumoniae, K.oxytoca ともにペニシリナーゼを産生する。
K.oxytoca は新生児の菌血症の起因菌として重要である。
• Klebsiella はESBLを産生することもあるので注意。また、カルバペネム
系を破壊するカルバペネマーゼを産生することもある。
クレブシエラ ニューモニエ
オキシトカ
PEKの特徴と抗菌薬
細菌名 主な感染症 主な抗菌薬 注意
Proteus
mirabilis
尿路感染症
特に院内カテ関連
注射
ABPC or CEZ
内服
CEX or CCL
テトラサイクリン系には

もともと耐性
Escherichia
coli
泌尿器の市中感染全般*
腹腔内感染症
キノロン系への
耐性増加中
Klebsiella
pneumoniae
アルコール中毒での市中肺炎
院内での菌血症
SBT/ABPC or CEZ

CEX or CCL
βラクタム系への
耐性菌増加中
「PEKはペニシリン系とセフェム系抗菌薬を破壊してしまう
ESBLを持つことがあるので注意が必要です。」
*尿道炎/膀胱炎/腎盂腎炎/急性前立腺炎
ビクシリン セファメジン
ケフレックス ケフラール
ユナシン
ペニシリナーゼ産生菌増加中!
ABPC, CEZは感受性のある菌のみ!
ESBLとは?
「Extended Spectrum Beta-Lactamase の略で
基質拡張型βラクタマーゼと日本語ではいいます。
ペニシリン系しか分解できなかった酵素が、
すべてのセフェム系抗菌薬まで分解できるようになったものです」
「さっきから出て来る”ESBL”ってなんですか?
授業ではこれの拡散が問題になっていると言っていました」
「”PEK”が主に産生し、プラスミドで他の腸内細菌科の細菌に
その酵素の設計図を渡してしまうのが問題になっています」
HaMの「Ha」
Haemophilus influenzae
• グラム陰性の小さな桿菌で球菌に見えることもある。インフルエンザ(流行性感冒)
の原因菌と誤認されたため紛らわしい名が付いている。
• 莢膜を持つタイプと持たないタイプがいる。

莢膜あり:血清型b型が重要で「Hib」と呼ばれる。

莢膜なし:血清型別不能株は「NTHi」と呼ばれる。
• Hib:主に2歳未満の髄膜炎、2-7歳の急性咽頭蓋炎が重要

➾ワクチン(ヒブワクチン)接種で予防することができる。
• NTHi:小児中耳炎の3大起因菌の1つ(S.pneumoniae, M.catarrhalis)

成人では副鼻腔炎、COPD急性増悪の起因菌の1つ(上気道の常在菌)
• 抗菌薬への感受性は、Hib/NTHiで差はないが、国内ではBLNARが増加している。
ヘモフィルス インフルエンザ
H.influenzae type b
non-typable H.influenzae
「BLNARについては後述します」
HaMの「M」
Moraxella catarrhalis
• グラム陰性の双球菌で、Branhamella catarrhalis と呼ば
れることもある。
• 小児(-75%)の鼻腔内/咽頭に定着しており、小児中耳炎の
3大起因菌の1つ(H.influenzae, S.pneumoniae)である。
• 成人での定着は少ない(1-3%)が、COPD急性増悪の起因菌
の1つで、頻度は H.influenzae に次ぐ。
• 基本的にペニシリナーゼを産生するため、PCGとABPCに
は耐性を示す。
モラクセラ カタラーリス
ブランハムラ
HaMの特徴と抗菌薬
細菌名 主な感染症 主な抗菌薬 注意
Haemophilus
influenzae
乳児:髄膜炎(Hib)
小児:中耳炎 副鼻腔炎
成人:COPD急性増悪*
髄膜炎:CTX or CTRX
その他注射:SBT/ABPC
内服:CVA/AMPC
BLNAR株に
注意
Moraxella
catarrhalis
小児:中耳炎 副鼻腔炎
成人:COPD急性増悪*
注射
SBT/ABPC or CTM
内服
CVA/AMPC or CCL
基本的に
ペニシリナーゼ
産生
「HaMはPEKと異なり、腸内細菌科の細菌ではありません。
喉に生息して、特に小児での感染症で注意が必要です」
*細菌性ばかりでなくウイルス性、環境もある
クラフォラン ロセフィン
ユナシン
オーグメンチン
パンスポリン
ケフラール
H.influenzaeのBLNAR株とは?
「Beta-Lactamase Negative ABPC-Resistance の略で
βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)を作ってないのにABPCに耐性を示す株の
ことで、主にH.influenzaeに対して使用されます」
「H.influenzaeの項ででてきた、"BLNAR"とはなんですか?」
「ということは、H.influenzaeでペニシリン系に耐性を示すのは
ペニシリナーゼ産生株と分解酵素がないのに耐性となる株の
2種類がいるということですね!」
ブルナール or ブルナー
BLNARへの抗菌薬
ABPC
SBT/ABPC
CTM
CTX
CTRX
注射 内服
耐性のない
H.influenzae
○ ○ ○ ABPC AMPC
βラクタマーゼ産生
H.influenzae
× ○ ○
SBT/ABPC
CTM
CVA/AMPC
CCL
BLNAR型
H.influenzae
× × ○
CTX
CTRX
LVFX
AZM
「βラクタマーゼ陰性でABPC、CTMが“R”ならばBLNARとなります。

”I”でも、BLNARと同様に扱います」
ブルナール or ブルナー
「H.influenzaeによる感染症が疑われ、重症の場合には
CTXorCTRXの3世代セフェムを選択します」
ビクシリン サワシリン
ユナシン オーグメンチン
パンスポリン ケフラール
クラビット
ジスロマック
クラフォラン
ロセフィン
細菌性髄膜炎
「市中であっても院内であっても緊急事態の感染症です。
早期に治療を開始しないと後遺症を残すこともありますし、
取り返しのつかない事にもなりかねません」
「細菌性髄膜炎は市中感染の中でも、緊急事態の感染症ですね。
患者さんの年齢で起因菌が異なったりと難しいイメージです」
「血液培養の他に、髄液穿刺が必要になってきます。
髄膜炎の想起から抗菌薬開始までの時間は出来る限り短くしたい
ところでもあります。」
細菌性髄膜炎
原因菌 小児(17歳以下) 成人(18歳以上)
H.influenzae 66.3% 2.9%
S.pnuemoniae 27.2% 82.0%
その他 6.5% 15.1%
市中
BLNAR、PRSP(PCG:MIC≧0.12)が約50%を占めている
髄膜炎の起因菌は年齢によって異なるため注意が必要!
院内(外科的処置、手術後)
推定原因菌 empiric
S.epidermidis
VCM 1g x3 (1.5g x2)
+
MEPM 2g x3 or CAZ 2g x3
MRSA
P.aeruginosa
詳細は成書参照
特に2歳未満の乳児で罹患率が高い
年齢と状況 起因菌(基本は下記の1種) 抗菌薬
新生児 GBS, E.coli, Listeria, Klebsiella ABPC + CTX
1ヶ月-2歳
S.pneumoniae, N.meningitidis, GBS,
H.influenzae type b (Hib), E.coli
VCM + 3世代セフェム
2-18歳 S.pneumoniae, N.meningitidis, Hib VCM + 3世代セフェム
18-50歳 S.pneumoniae, N.meningitidis VCM + 3世代セフェム
50歳< S.pneunomiae, N.meningitidis, Listeria, GNR, (GBS) VCM + 3世代セフェム + ABPC
頭部外傷/脳外科術後 S.aureus, CNS, GNR(+P.aeruginosa) VCM + 4世代セフェム
VPシャント S.aureus, GNR(+P.aeruginosa) VCM + 4世代セフェム
免疫不全
Listeria, GNR(+P.aeruginosa), S.pneumoniae,
N.meningitidis
VCM + 4世代セフェム + ABPC
細菌性髄膜炎の起因菌は
患者背景によって異なる
「Listeria(L.monocytogenes) はセフェム系に耐性のグラム陽性桿菌です
N.meningitidis(髄膜炎菌)はグラム陰性球菌で重症な場合が多いです」
SPACEとは
「SPA は Water Bug とよばれ、湿潤環境を好む菌です。
A は鏡検では桿菌にも見えるグラム陰性球桿菌です。
SPACE は”SCE”と”PA”に分けると良いです」
環境菌と腸内細菌で医療関連感染の原因となるSPACEとは?
Serratia セラチア
Pseudomonas シュードモナス
Acinetobacter アシネトバクター
Citrobacter シトロバクター
Enterobacter エンテロバクター
環境菌
腸内細菌
腸管、皮膚、
呼吸器に、環境にも
・・・・・
Water Bug
「SCE」
セラチア、シトロバクター、エンテロバクター
「当院の細菌検査では、中間報告で『腸内細菌』と
なります。前述の PEK も『腸内細菌』です」
「『腸内細菌』の仲間って、多そうですね…
お腹の中にいる細菌という感じで良いのですか?」
「腸内細菌は人や動物の腸管の中から発見された
細菌の総称で、『腸内細菌科』に属しています。」
「SCE が PEK と異なるのは、健康なヒトにはほとんどいないことと
PEK で使用される ABPC や CEZ、CTM を分解する酵素があることです」
腸内細菌(科)
• 大腸内には多種多様な細菌が存在し、その細菌叢は糞便とほぼ同
じとされている。
• 1gの糞便には10
10~11
個の細菌が存在するが、そのほとんどが
Bacteroides を主とする偏性嫌気性菌である。
• E.coli を含む腸内細菌科の菌は、糞便1g中に10
6~8
個と全体の1%
にも満たないのが実際である。
• 前述の PEK と SCE が腸内細菌科で HaM は腸内細菌科ではない。
• SCE は腸内細菌科だが、健康なヒトにほとんど定着していない。
菌種 1g中の菌数
Bacteroides 1010
−1011
Bifidobacterium 109
−1010
Eubacterium 109
−1010
Peptostreptococcus 109
−1010
腸内細菌科 106
−108
Streptococcus 105
−108
Clostridium 105
−108
Lactobacillus 104
−108
Veillonella 104
−108
Staphylococcus 103
−105
Corynebacterium 103
−105
Candida 102
−104
総菌数 1010
−1011
ヒト成人の糞便中の細菌叢
Peptostreptococcus
8%
Eubacterium
8%
Bifidobacterium
8%
Bacteroides
77%
腸内細菌科を含むその他の菌種
上位4菌種は偏性嫌気性菌で、腸管内の細菌叢もほぼ同様です
「SCE」の「S」
Serratia marcescens
• 環境菌で、湿った場所(シンクなど)に生息している。院内感染/
医療関連感染の起因菌の一つで、セラチア感染症のほとんどを
S.marcescens(90%~)が占める。
• 気道への定着、汚染された輸液を介して感染する。調製済み輸液か
らのセラチア感染が、まれに問題となり、コンタクトレンズからの
角膜炎も報告がある。水に関連したモノからの感染が一般的。
• SBT/ABPCと2世代までのセフェムに耐性を示す。PIPCと3世代セ
フェムには通常、感受性を示す。AmpC型βラクタマーゼを過剰産生
することがあるために、重症の Serratia 感染症には3世代セフェム
の使用は避ける。ESBL産生が問題となることは少ない(~5%)。
セラチア マルセッセンス
「SCE」の「C」
Citrobacter freundii
• 健康なヒトにはほとんど定着していない。院内感染/医療関連感染の
起因菌の一つで、尿路感染が50%程度を占める。
• C.freundii はSBT/ABPCと2世代までのセフェムに耐性を示し、治療
に3世代セフェムを用いるが、C.koseri は K.pneumoniae と同様に
SBT/ABPCにも感受性がある。
• しかし、まれにAmpC型βラクタマーゼを過剰産生することがあるた
めに、重症の Citrobacter 感染症には3世代セフェムの使用は避け
る。ESBL産生株が問題となることは少ない(~5%)。
• C.koseri は小児髄膜炎のまれな起因菌で、脳膿瘍を伴うことがある。
シトロバクター フロインディ
「SCE」の「E」
Enterobacter cloacae
• 健康なヒトにはほとんど定着していない。院内感染/医療関連感染の起
因菌の一つで、エンテロバクター感染症は E.cloacae (~75%)の他に
E.aerogenes(~20%)も知られ、E.cloacae はESBLを産生することがある
(~30%)。
• 3世代セフェムに元々は感受性だが、近年は耐性株が増加している。
AmpC型βラクタマーゼを過剰産生することがあるため、重症の
Enterobacter 感染症の患者には、3世代セフェムは避けるべきである。
• AmpC型βラクタマーゼは抗菌薬によって誘導されるため、試験管内の
感受性と異なる場合がある。
• AmpC産生型ではCFPM、カルバペネム系、キノロン系で治療できる。
エンテロバクター クロアカ
SCEの特徴と抗菌薬
細菌名 主な感染症 主な抗菌薬 注意
Serratia
marcescens
医療関連感染
人工呼吸器関連肺炎
カテーテル関連血流感染
カテーテル関連尿路感染
手術部位感染
基本的に院内感染
CTX or CTRX
重症ではCFPM
重症では
3世代セフェム
は避ける
Citrobacter
freundii
CTX or CTRX
C.koseri⇓
SBT/ABPC or CEZ
AmpC誘導型は
それほど多くな
いが、増加傾向
Enterobacter
cloacae
CFPM or CPFX
3世代セフェム
まで耐性を示す
ことが多い
「E.cloacaeは通常、3世代セフェムに感受性を示しますが、
近年の耐性株増加により3世代セフェムを第1選択薬としていません」
*SCEの感受性は施設によって異なるため注意
内服はキノロン系が用いられます
クラフォラン ロセフィン
シプロフロキサシン
*AmpC型誘導能 Enterobacter > Serratia ≫ Citrobacter
マキシピーム
腸内細菌科(PEKとSCE)への
ペニシリン系とセフェム系
菌名
主な
感染症
ペニシリン系 セフェム系(セファロスポリン)
ABPC
SBT/
ABPC
PIPC
1st
CEZ
2nd
CTM
3rd
CTX, CAZ
4th
CFPM
PEK
P.mirabilis
尿路感染
E.coli
K.pneumoniae 市中肺炎 通常耐性
SCE
S.marcescens
医療関連
感染症
通常耐性
通常耐性
C.freundii
通常耐性
E.cloacae
çç çç
çç çç
⇑βラクタマーゼ産生する株に注意。CEZ耐性もいる。
「PEK と SCE は同じ腸内細菌科の細菌ですが、
使用できる抗菌薬は全然違います」
çç
çç
3世代セフェム?
「詳しくは後述していますが…
簡単に言えば、”SCE”にまで抗菌力を得たセフェム系の
ことです。国内の注射抗菌薬ではもっともよく使用されています。
前述のように“SCE”は2世代セフェムまでに耐性を示します。
CTX、CTRX、CAZが3世代セフェムです。」
「さっきから出て来る3世代セフェムってなんですか?
セフェム系抗菌薬は世代毎になっているみたいだけど…」
AmpC型βラクタマーゼ
「AmpC型ってなんですか?あまり聞き慣れないのですが…」
①セフェム系を分解する酵素の遺伝情報(AmpC)が”SPACE”にある
②通常はその発現に抑制がかかっていて、多くの酵素は作られない
③抗菌薬の投与や突然変異によって、抑制が外れることがある
④すると酵素が多量に産生され、3世代セフェムに耐性を示す
⑤3世代セフェムの投与継続で野生型が駆逐され、耐性株が選択される
⑥”SPACE”のAmpC型は通常は他のGNRに伝播しない
「PA」
「細菌検査で、たまに『GNR:非発酵菌』って
 見かけませんか?」
「そうね。GNRは中間報告では
 『腸内細菌』か『非発酵菌』ね」
「PA は非発酵菌=ブドウ糖非発酵菌で、
 定着のことが多いですが、感染したときは要注意です」
*ブドウ糖非発酵菌とは偏性好気性菌(酸素がないと生息できない細菌)で
少ない栄養(アミノ酸)でも増殖可能な細菌。好気性菌と呼ぶこともあります。
緑膿菌、アシネトバクター
「PA」の「P」
Pseudomonas aeruginosa
• 土の中、水の中など様々な環境に生息するグラム陰
性のブドウ糖非発酵の偏性好気性菌
• ヒトや動物の腸管内にも生息している
• 様々な環境中で生息可能なことから、抗菌薬が効き
にくく、耐性を獲得しやすい特徴がある
• 抗菌薬はいわゆる「緑膿菌用」を使用する
「ブドウ糖非発酵の偏性好気性菌とは
発酵は行わず酸素による呼吸で生活する細菌です。
基本的に酸素があれば低栄養でも増殖するので注意です」
シュードモナス エルギノーサ
「PA」の「A」
Acinetobacter baumannii
• 緑膿菌と同様に様々な環境に生息し、乾燥にも比較
的強いグラム陰性のブドウ糖非発酵の偏性好気性菌
• 基本的に「緑膿菌用」抗菌薬に感受性

耐性菌には注意。できるだけ併用で。SBT/ABPCのSBTも効果を示す。
• 健康なヒトには感染症を起こさない弱毒の細菌

免疫力の低下した患者には肺炎等の感染症を起こすことがある。
• もともと遺伝子上にカルバペネマーゼ(OXA)を所持

プロモーターがないために産生していない。しかし、外因的にそのプ
ロモーターや他の抗菌薬分解酵素を得ると薬剤耐性を示す。

そしてカルバペネム系を使用することで耐性菌のみ選択される。
アシネトバクター バウマニ
PAの特徴と抗菌薬
細菌名 主な感染症 主な抗菌薬 注意
Pseudomonas
aeruginosa
医療関連感染
人工呼吸器関連肺炎
カテーテル関連血流感染
カテーテル関連尿路感染
手術部位感染
熱傷部感染
基本的に院内感染
PIPC,CAZ,CFPM等の
抗緑膿菌作用のある
抗菌薬を使用する。
必ず感受性を確認!
耐性株では
作用機序の違う
抗菌薬の併用を
考慮する
Acinetobacter
baumannii
AZTには
もともと耐性
「近年、多剤耐性株が問題となっています。PAの感染症の場合は
必ず感受性を確認し、抗菌薬を最適化しましょう」
*重症の感染症では、重症化/耐性化の予防目的で
アミノグリコシドを短期間併用することがある
PAの主な獲得耐性遺伝子
細菌名 遺伝子の変異による耐性 影響を受ける抗菌薬
Pseudomonas
aeruginosa
AmpC型の高度発現 PIPC, CAZ, AZT
ポーリン孔の減少/消失 βラクタム系(含カルバペネム)
排出ポンプの発現 βラクタム系(含カルバペネム) キノロン系
アミノグリコシド系
トポイソメラーゼの変異 キノロン系
LPSの変異 ポリミキシン類
Acinetobacter
baumannii
上記の耐性遺伝子に加えて…
カルバペネマーゼの発現 カルバペネム系
PBPの変化 βラクタム系
「この耐性機序は、抗菌薬の投与によって発現することがあります。
ESBLやAG不活化酵素はプラスミドで獲得することがあります」
アミノグリコシド
その他のブドウ糖非発酵菌
非発酵菌となったら『ドキッ』とする → 使える抗菌薬が限られる!
「STの注射剤、感受性によってはキノロン系、MINO

もしくはキノロン+CAZ+GM等の併用で治療します」
P(緑膿菌)、A(アシネトバクター)以外にも注意すべき非発酵菌がいます
Stenotrophomonas maltophilia
ステノトロフォモナス マルトフィリア
Burkholderia cepacia
バークホルデリア セパシア
共に弱毒菌なのですが、感染したら注意です!
!特に S.maltophilia はカルバペネム系に自然耐性!
バクトラミン
ブドウ糖非発酵菌の見分け方
「細菌検査で『非発酵菌』と中間報告され、抗菌薬の選択や
 治療を急ぐ場合には細菌検査室に確認しましょう」
ブドウ糖
非発酵 発酵
オキシダーゼ
陽性
P.aeruginosa
Burkholderia spp
Aeromonas spp
Vibrio spp
陰性
Acinetobacter spp
S.maltophilia
腸内細菌属
PEK, SCE
「オキシダーゼテストを確認すれば緑膿菌かそれ以外を区別できます」
グラム陰性桿菌の分類
緑膿菌に効果がある薬
系統別のボーダーライン
PCG(ペニシリン)
ABPC(ビクシリン)
SBT/ABPC(ユナシン)
PIPC(ペントシリン)
TAZ/PIPC(ゾシン)
CEZ(セファメジン)
CTM(パンスポリン)
CTX(クラフォラン)
CAZ(モダシン)
CFPM(セフェピム)
PAPM/BP(カルベニン)
IPM/CS(チエナム)
DRPM(フィニバックス)
MEPM(メロペン)
ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系
抗緑活性
なし
抗緑活性
あり
「あと、キノロン系、アミノグリコシド系が抗緑活性ありです」
CPFX、LVFX、MFLX GM、TOB、AMK
抗緑膿菌薬のまとめ
系統 略号 商品名 投与量
ペニシリン
PIPC ペントシリン 4g x4
TAZ/PIPC ゾシン 4.5g x3-4
セフェム
CAZ モダシン 2g x3
CFPM マキシピーム 2g x3
カルバペネム
IPM/CS チエナム 1g x4
DRPM フィニバック 1g x3
MEPM メロペン 1g x3
キノロン CPFX シプロキサン 400mg x2-3
アミノグリコシド
TOB トブラシン 5mg/kg x1
AMK アミカシン 15mg/kg x1
「太字だけでも最低限、知っていてください」
「アミノグリコシド系はβラクタム系と併用すると強力です」
抗緑膿菌薬の誤解
日本の投与量では無効な薬剤がある
耐性獲得の危険性
SBT/CPZ
1g x4
ワイスタール
IPM/CS
0.5g x4
チエナム
CPZとして
4-6g x4
1g x3-4
治療不可と
考える
DRPM, MEPM
で代用する
ここまでのまとめ
代表的なGPCとGNRを中心に
グラム陽性球菌 グラム陰性桿菌
Staphylococcus sp.
Streptococcus sp.
Enterococcus sp.
S.aureus
S.epidermidis
S.pyogenes
S.agalactiae
S.pneumoniae
E.faecalis
E.faecium
PEK
HaM
P.mirabilis
E.coli
K.pneumoniae
H.influenzae
M.catarrhalis
S.marcescens
P.aeruginosa
A.baumannii
C.freundii
E.cloacae
SPACE
「ここまでの細菌をまとめます」
ストレプト
エンテロ
S.aureus
S.epidermidis
S.pyogenes
S.agalactiae
S.pneumoniae
E.faecalis
E.faecium
スタフィロ
ストレプト
エンテロ
S.aureus
S.epidermidis
S.pyogenes
S.agalactiae
S.pneumoniae
E.faecalis
E.faecium
スタフィロ「すたふぃろ:ブドウ球菌」
皮膚常在菌で血流/皮膚感染の起炎菌
MRSAには注意!
「すとれぷと:レンサ球菌」
上気道の常在菌で咽頭炎/肺炎/壊死性筋膜炎
と多彩な感染症を起こす
「えんてろ:腸球菌」
弱毒菌だが感染性心内膜炎を起こす
P.mirabilis
E.coli
K.pneumoniae
PEK
HaM H.influenzae
M.catarrhalis
S.marcescens
P.aeruginosa
A.baumannii
C.freundii
E.cloacae
SPACE
P.mirabilis
E.coli
K.pneumoniae
PEK
HaM H.influenzae
M.catarrahlis
S.marcescens
P.aeruginosa
A.baumanii
C.freundii
E.aerogenes
SPACE
「PEK」
腸内細菌の代表で尿路感染の3大起因菌
ESBL産生に注意が必要
「HaM」
中耳炎/副鼻腔炎/COPD増悪の起因菌
「SPACE」
環境にも生息し医療関連感染の起因菌
耐性菌増加中!
抗菌薬の話①
セフェム系抗菌薬を中心に
セフェム系抗菌薬
「先ほどのグラム陰性桿菌の分類と合わせて整理すると

いいと思います。世代毎に効果のある細菌が異なります」
「セフェム系の抗菌薬はいろいろありすぎて

よくわからなくなるわ。混乱します…」
第1世代 第2世代
第3世代
第4世代
「このような世代にわかれています。

世代毎にスペクトラムは異なります」
CEZ CTM CMZ FMOX
CTX CTRX SBT/CPZ CAZ
CFPM CZOP
セフェム系のポイント
• ペニシリナーゼで分解されない。
• グラム陰性菌の外膜を通過できる。ただし緑膿菌の外膜は専
用のセフェム系でないと通過できない。
• 世代を追う毎にグラム陰性桿菌の抗菌スペクトルは拡大した
が、逆に陽性菌へのスペクトルは縮小した。
• しかし第4世代は、グラム陽性球菌にも陰性桿菌にも効果を発
揮する。
• ESBLで分解される。腸球菌にはもともと効かない。
セフェム系の世代➾ 1st 2nd 3rd 4th
セフェム系抗菌薬➾ CEZ CTM
CMZ
FMOX
CTX
CTRX
SBT/
CPZ
CAZ
CFPM
CZOP
グラム陽性球菌
(MRSAと腸球菌は除く)
グラム
陰性桿菌
ESBL産生菌
は除く
PEK
HaM
SCE
PA
嫌気性菌
セフェム系の抗菌スペクトル
1st→4thと世代が上がると、グラム陰性菌への抗菌スペクトルが拡大
近年、3世代セフェムへの耐性菌が増加
B.fragilisのCMZ耐性が増加
「やっぱり、セフェム系は覚えにくいですね…
世代順に効果のある細菌が増えていくのはわかりますが、
似たような名前で混乱しますね」
「世代」はあくまで誕生した順であって、あまり重要ではない。
ただ「世代」で一括りにできるため、知識としてあった方が良い。
「まずは効果のある細菌毎に分類すると良いです。
①ブドウ球菌用 ②緑膿菌用 ③嫌気性菌用 ④その他用
なんて分けてもいいです」
セフェム系抗菌薬
第1世代 第2世代
第3世代
第4世代
CEZ CTM CMZ FMOX
CTX CTRX SBT/CPZ CAZ
CFPMCZOP
「この抗菌薬をわけていきます。
10個➾6個に減るので覚えやすいかなと」
①ブドウ球菌用
CEZ:セファゾリン
MRSA以外のブドウ球菌に使用する薬剤で
周術期の抗菌薬といえば基本はコレ
MSSAに最も効果のある薬剤で、
感受性があれば PEK にも使える
ただし、髄液移行性は悪い
一般名
②緑膿菌用CAZ:セフタジジム
CFPM:セフェピム
CAZ は緑膿菌を含むグラム陰性菌にのみ効果的で
緑膿菌専用のイメージで良い。
一方で、CFPM は CAZ が更にグラム陽性菌にも
効果を広げた様な広域な抗菌薬で、重症な SCE の
感染症の第1選択薬として用いられる。
ともに髄液移行性は良好で細菌性髄膜炎に使用できる。
ちなみに CAZ は第3世代、CFPM は第4世代
一般名
一般名
③嫌気性菌用
横隔膜より下の感染症の原因となる
B.fragilis をカバーし、腹部外科や婦人科系OPEの
予防投与に使用される事が多い。
ESBL産生腸内細菌による尿路感染症では、
カルバペネム系と遜色のない効果を示すと
報告されている。CMZ は第2世代の薬剤で、
セファマイシン系と呼ばれる。CMZ:セフメタゾール
一般名
④その他用
SPACEの中でPA以外のSCEに効果を示し、PEKにも使える。
また、BLNAR型H.influenzaeにも効果を示す。
グラム陽性球菌にも効果があるが、
ペニシリン系や CEZ と比較すると劣る。
市中肺炎や尿路感染症の第1選択薬として
使用されることが多い。また髄液移行性が良好である。
ESBL産生菌には無効
CTX、CTRXともに第3世代
CTX:セフォタキシム
CTRX:セフトリアキソン
(腸内細菌科+グラム陽性球菌用)
一般名
一般名
セフェム系の世代➾ ①ブ菌用 ②緑膿菌用 ③嫌気性菌 ④その他
セフェム系抗菌薬➾ CEZ CAZ CFPM CMZ
CTX

CTRX
グラム陽性球菌
(MRSAと腸球菌は除く)
グラム
陰性桿菌
ESBL産生菌は除く
PEK
HaM
SCE
PA
嫌気性菌
セフェム系の抗菌スペクトル
SCEは耐性菌増加
B.fragilisのCMZ耐性が増加
ものすごく簡略化するとこのような感じになります。
「なるほど。6つのセフェム系薬剤であれば、
それほど覚えるのも難しくないですね。
基本的な事項を押さえておきます!」
細菌⇔抗菌薬 を単純化して結びつけると
それほど記憶するのも難しくないです
「セフェム系を一気に覚えようとすると、混乱しますし
大抵の場合、勉強そのものが嫌になってしまいます。
前述のように、分けて覚えるとそれほど難しくないと思います」
経口3世代セフェム
「CFDN、CFPN-PIとCDTR-PIはよく処方される薬剤ですが
吸収も悪く第一選択にはなりにくいです」
「さのさん、フロモックスとかメイアクトは?」
フロモックス メイアクトセフゾン
抗菌スペクトルは広いですが、投与量も少なく、吸収も悪いために
あえてこれらを投与する理由はあまり無い
「ちなみに、吸収率やバイオアベイラビリティーが
インタビューフォームにも未記載なものがおおいのです」
CEX CCL CTM-HE CXM-AX CFDN CPDX-PR CFTM-PI CFPN-PI CDTR-PI
16%
25%
20%
46%
25%
52%
69%
93%95%
CEX/CFDN/CPDX-PR/CDTR-PI:サンフォードガイド2015より
CFTM-PI : 尿中排泄率より推測
各薬剤インタビューフォームより
単回投与の結果
吸収率
250mg 250mg 200mg 100mg 100mg 100mg 100mg 100mg
ケフレックス ケフラール パンスポリンT セフゾン バナン トミロン フロモックス メイアクト
250mg
オラセフ
経口セフェム
• 注射剤と同様に第1~3世代まで分類
• 世代毎のスペクトルは注射剤と類似する
• 第3世代経口セフェムは腸管吸収が悪く、十分な血中濃度を確
保できない
• サンフォードには、CFDN:300mgx2、CPDX-PR:200mgx2、
CDTR:400mgx2の表記有り
• PRSPの増加は第3世代経口セフェムの乱用が一因との報告も
ある
ペニシリン耐性肺炎球菌
1st:CEX 2nd:CCL, CTM-HE, CXM-AX 3rd:左記以外
(CPDX-PR以外は国内未承認用量)
セフゾン バナン
メイアクト
• 国内のPRSPの初報告は1988年で、それ以降、急速に全国的に増加した
• 欧米と異なりセフェム系の抗菌力を低下させる変異が見られる
• 国内で開発された経口セフェム系(第3世代全て)はプロドラッグ化の薬
剤が多く、吸収も悪く、吸収に個人差を生じる
• 通常投与量でのCmaxは1μg/mL前後で組織移行性も高くない
• 上咽頭の常在菌叢に選択圧を加え、PRSPが増加し、乳幼児が集団生活
している場から市中に広がった可能性がある
当時のPRSP:PCG MIC≧0.12
-PI ピボキシルに注意
「経口第3世代セフェムの吸収を改善するために
抗菌薬に付けられている側鎖ですが、乳幼児では注意です」
「トミロン、フロモックス、メイアクトは
このピボキシル基がついています」
https://www.pmda.go.jp/files/000143929.pd
抗菌薬の話②
ペニシリン系抗菌薬を中心に
ペニシリン系抗菌薬
「PCG➾ABPC➾PIPCの順にスペクトルが拡大します。
PCGは基本的にグラム陽性菌専用と思ってください。」
「ペニシリン系抗菌薬はセフェム系よりも種類が少ないですが、
スペクトルはどう理解すればいいですか?」
PCGはグラム陰性球菌の N.meningitidis には、例外で効果を示します。

この菌の細胞壁外膜はGNRの外膜と異なり、PCGを通過させます。
ペニシリン系の抗菌スペクトル
ペニシリン系抗菌薬➾ PCG ABPC PIPC
SBT/
ABPC
TAZ/
PIPC
グラム

陽性球菌
S.aureus
MRSA
MSSA
Streptococcus属
腸球菌属
E.faecalis
E.faecium
グラム

陰性桿菌



ESBL産生菌は除く
PEK
P / E
K.pneumoniae
HaM
H.influenzae
M.catarrhalis
SPACE
SCE
PA
ABPCとPIPCにβラクタマーゼ阻害剤(SBTとTAZ)が配合されるとスペクトルがさらに拡大
抗MRSA薬でのみ治療可能
基本的に耐性
通常は抗MRSA薬を使用する
ペニシリナーゼ+
ペニシリナーゼ+
Acinetobacterに

SBTが有効
感受性があれば、GPCには
第1選択薬となる
PCG
ABPC SBT/ABPC
PIPC TAZ/PIPC
PCGのスペクトルをE.coli/
P.mirabilisまで拡大
ペニシリナーゼで壊れる
SBTの配合でABPCのスペク
トルを”HaM”まで拡大
ABPCのスペクトルを

”SPACE”まで拡大
ペニシリナーゼに安定
TAZの配合でB.fragilisにま
で効果を示すため、
カルバペネム系に迫るスペ
クトルの広さ
改良版
改良版
*BLI:βラクタマーゼ阻害剤, SBTとTAZ
+BLI
+BLI
「ペニシリン系は改良版とそのBLI配合剤として
整理すれば良いと思います。

内服薬はそれぞれ、AMPC≒ABPC

CVA/AMPC≒SBT/ABPCとみなせます」
スルバクタム
タゾバクタム
オーグメンチン
サワシリンorアモキシシリン
嫌気性菌
「未来の子どもたちのためにも、経口第3世代セフェムや
それ以上に広域な経口抗菌薬の安易な処方は控えましょう」
「CVA/AMPC+AMPC なんかはお勧めです。
採用のない施設では SBTPC での代用でOKです。
ただしブドウ球菌や大腸菌を狙うのであれば、
CEXやCCLで必要十分とも言えます。」
オーグメンチン
サワシリンor
アモキシシリン
ユナシン錠
「国内のオーグメンチン(CVA/AMPC=125/250)は
海外のCVA/AMPC(=125/500)製剤と比率が異なります。
オーグメンチンを1回2錠で処方するとCVAによる
消化器系の副作用が出現しやすくなります。
そのため、オーグメンチン+アモキシシリンの様な併用処方を
する場合があります。」
ケフレックス ケフラール
抗菌薬耐性の話
βラクタマーゼを中心に
ここでもう一度
Pseudomonas aeruginosa
「緑膿菌はどうして耐性を獲得しやすいの?」
緑膿菌はもともと薬剤耐性の菌で、抗菌薬を使用することで
さらに耐性遺伝子が発現する
「緑膿菌には以下の耐性が元来備わっています。
 ①外膜の透過性の低下、②排出ポンプの発現、
 ③分解酵素の発現、④薬剤作用点の変化」
緑膿菌の耐性機構
ポーリン孔の減少
βラクタマーゼの産生
PBP、標的酵素の変異
抗菌薬の透過性減少
排出ポンプの増加
βラクタム系抗菌薬の分解
抗菌薬作用の減弱
菌体内抗菌薬のくみ出し
「他のグラム陰性桿菌も同様な機構を持っていますが、

特に緑膿菌は耐性が顕著に発現します」
MDRP:多剤耐性緑膿菌
「2種類います。MBLを持つタイプと持たないタイプ
 他の緑膿菌にも耐性が伝播するMBLを持ったMDRPが最も危険!」
MBL
AMK不活化
ポーリン変異
キノロン耐性
プラスミド プラスミド
染色体 染色体
「MBL、AMK不活化遺伝子はプラスミドで

獲得しなければ緑膿菌でも発現しない。」
カルバペネム系耐性
LVFX MIC≧4 or CPFX MIC≧4 且つ IPM or MEPM MIC≧16 且つ AMK MIC≧32
カルバペネム系耐性
MBL:メタロβラクタマーゼ➾カルバペネム系も分解する酵素
MDRP確定にAMK耐性?
「カルバペネムとキノロンが耐性だったら十分だと思うし
 AGsならGMやTOBでもいいのでは?」
AMKの抗緑膿菌作用はGMやTOBよりも弱いが
AGs不活化酵素にはもっとも安定
「AMKはGM耐性緑膿菌用として開発されました。
 AMK耐性はプラスミド、GMとTOB耐性は染色体性と言われてます」
緑膿菌以外のグラム陰性菌にも
生まれつき効果のない抗菌薬がある
「緑膿菌だけが特別ではないのですか?
そういえば、”SCE”も”PEK”とは違っていましたね」
グラム陰性菌はその外膜のポーリンや抗菌薬の不活化酵素、

PBPの違いなどから生まれ持った薬剤耐性を持っています
「近年は抗菌薬の使用によって、さらなる耐性機構を獲得した
細菌が増加しています。次のスライドには Inrinsic resistance を
まとめました。現場では実際の感受性を参考にしてください」
生まれつき耐性(自然耐性)
抗菌薬➾ ペニシリン系 セフェム系(セファロスポリン)
カルバ
ペネム
系
ニュー
キノロ
ン系
アミノ
グリコ
シド系
ポリミ
キシン
系
グラム陰性菌⇓ ABPC PIPC
SBT/
ABPC
TAZ/
PIPC
1st
CEZ
2nd
CTM
3rd
CTX
3rd
CAZ
4th
CFPM
IPM
MEPM
CPFX TOB CL
PEK
P.mirabilis R
P.vulgaris R R R R
E.coli
K.pneumoniae R
HaM
H.influenzae R データ
なしM.catarrhalis R
SCE
S.marcescens R R R R R
C.freundii R R R R
C.koseri R R
E.cloacae R R R R
E.aerogenes R R R R
PA
P.aeruginosa R R R R R
A.baumannii R
SBT感受性
ABPC耐性 R R R
SB
S.maltophilia R R R R R R R R R
B.cepacia R R R R R R R R R R
主なグラム陰性桿菌の自然耐性*実際には他の耐性機構により細菌によって耐性が拡大しているものもある。参考:EUCAST Expert Rules Ver.3.1
3rd
2つの重要なβラクタマーゼ
グラム陰性桿菌での主なβラクタマーゼとは
ESBL:基質拡張型βラクタマーゼ
ペニシリナーゼが変化してセファロスポリナーゼに!
E.coli や Klebsiella属 に多い
ペニシリン・セフェム系が無効→カルバペネム系で治療
MBL:メタロ-βラクタマーゼ
カルバペネム系も分解する最強のβラクタマーゼ!
すべてのβラクタム系抗菌薬が無効
→キノロン系、STで治療
一番の問題は、ほかのGNRに伝播すること!
スタンダードプリコーション、一行為一手洗い、が重要!
S.maltophilia のMBLは染色体性のため伝播しない
βラクタマーゼ?
「ESBL も MBL も βラクタマーゼ?」
「細かく分類するとキリがないのですが、大まかに4つに分類されています」
βラクタマーゼと一口に言っても、色々種類があり、
現在では約1500種類もあると言われています。
βラクタマーゼもPBPの一種で、βラクタム系の薬剤と
結合します。PBPはその結合(ついたら離れない)で
失活しますが、βラクタマーゼは次々にβラクタムを分解します。
Amblerの分類
Class 名前 所在 産生菌 活性中心
A ペニシリナーゼ プラスミド PEK セリン
B
カルバペネマーゼ

(メタロβラクタマーゼ*)
染色体

プラスミド
S.マルトフィリア
緑膿菌
亜鉛
C
セファロスポリナーゼ
(AmpC)
染色体 SCE セリン
D
オキサシリナーゼ
(OXA)
プラスミド
染色体
SPACE セリン
ESBL:Extended-Spectrum β Lactamase:基質拡張型βラクタマーゼ
Class A が突然変異してセファロスポリナーゼに変化したもの
AmpC型βラクタマーゼ
Class C のこと。特にEnterobacter属、Serratia属、Citrobacter属で発現しやすい。E.coli、
P.aeruginsosaでも確認されている。βラクタム系抗菌薬で誘導される。CFPMでは効果あり。
通常は3世代セフェムは感受性を示すが、多量に産生されると耐性となる。
*活性中心が金属(Zn)なので”メタロ”
Amblerの分類とグラム陰性桿菌の
主なβラクタマーゼ
Class A
ペニシリナーゼ
Class B
メタロβラクタマーゼ
Class C
セファロスポリナーゼ
Class D
オキサシリナーゼ
ペニシリナーゼ
”PCG,ABPC,1Cep耐性”
Klebsiella pneumoniae
Klebsiella oxytoca
Citrobacter koseri
SBT, TAZ, CVAで阻害
誘導型AmpC
”PCG,ABPC,1-2Cep耐性”
Serratia marcescens
Citrobacter freundii
Enterobacter aerogenes
Enterobacter cloacae
P.aeruginosa, A.baumannii
カルバペネマーゼ
”カルバペネム耐性”
Stenotrophomonas
maltophilia
オキサシリナーゼ
”カルバペネム耐性”
A.baumannii
抑制解除型
AmpC
”ABPC,PIPC,1-3Cep耐性”
プラスミド型
AmpC
”ABPC,PIPC,1-3Cep耐性”
E.coli
Klebsiella pnuemoniae
カルバペネマーゼ
”カルバペネム耐性”
ニューデリーメタロ
ベータラクタマーゼ
(NDM1)
ESBL
”ABPC,PIPC,1-4Cep耐性”
P.mirabilis, E.coli
Klebsiella pnuemoniae
カルバペネマーゼ
”カルバペネム耐性”
Klebsiella pnuemoniae
(KPC)
カルバペネマーゼ
”カルバペネム耐性”
PEK, SCE
染色体遺伝子プラスミド性
自然耐性獲得耐性
E Ruppe et al. Ann. Intensive Care 2015; 5: 21 改変
1世代セフェム
Amber
Class
β
ラクタマーゼ
名称
ペニシリン系 セフェム系(セファロスポリン)
セファ
マイシン
カルバ
ペネム系
モノ
バクタム
ABPC
SBT/
ABPC
TAZ/
PIPC
1st
CEZ
2nd
CTM
3rd
CTX
4th
CFPM
CMZ
IPM/CS
MEPM
AZT
A
ペニシリ
ナーゼ
ESBL
B MBL
C AmpC
D OXA
すべてのβラクタム薬を分解するOXAとそうでないものがある⇑
⇑TAZで阻害されるESBLもあるが臨床での成績はあまり良くない(MIC≦1では使用できるという報告もある)
⇑AmpC大量産生では3rdセフェム/CMZに耐性を示す
βラクタマーゼと
βラクタム系抗菌薬の関係
⇑グラム陰性菌のペニシリナーゼは1stセフェムも分解する場合がある
石井良和 日本臨床微生物学雑誌 2014; 24: 172
*着色は効果のある抗菌薬
問題となっている耐性菌
ESKAPE
抗菌薬の作用を『避けている(escape)』細菌!
エスケープ
E:E.faecium → VRE
S:S.aureus → MRSA, VRSA
K:K.pneumoniae → ESBL産生, KPC産生
A:A.baumannii → MDRAB
P:P.aeruginosa → MDRP
E:Enterobacteriaceae → ESBL産生
「近年、βラクタマーゼの基質が拡張し、GNRの高度耐性が問題。
 新規GNR用薬剤も減少傾向。耐性菌を出さない、拡散させないこと!」
抗菌薬の話③
カルバペネム系抗菌薬を中心に
カルバペネム最強か?
「MBL産生菌は無効、もちろんMDRPにも無効です」
「もし、MDRP や MDRAB の感染が
起こった場合はどうするの?」
「コリスチンで治療できます。感受性試験の結果では、

AZT + ABK等の併用で治療します」
MDRP用の薬剤併用プレート(BCプレート)が販売されています。

細菌検査室に確認してみてください。
多剤耐性アシネトバクター
カルバペネム系は最強でない
「最強の抗菌薬でどんな細菌にも効果があると思っていると
痛い目にあいます…」
カルバペネム系が効果を示さない菌とは
レジオネラマイコプラズマクラミジア
S.epidermidis
表皮ブドウ球菌
E.faecium
腸球菌の仲間
S.maltophilia
ステノトロフォモナス
C.difficile
クロストリジウム
MRSA
C.albicans
カンジダ
効かない細菌もいることを念頭に置いてください
カルバペネム系は違う
 
PAPM/BP

カルベニン
IPM/CS

チエナム
BIPM

オメガシン
DRPM

フィニバックス
MEPM

メロペン
グラム陽性菌 ◎ ◎ ○ ○ ○
S.pneumoniae

(PRSP含む)
◎ ○ ○ ○ ○
グラム陰性菌 △ ○ ○ ◎ ◎
H.influenzae

(BLNAR含む)
× × × ○ ◎
P.aeruginosa × ◎ ○ ◎ ◎
嫌気性菌 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
「緑膿菌に PAPM/BP を投与しても無効です!
 でもPRSPによる化膿性髄膜炎にはPAPM/BP!」
カルバペネム系抗菌薬
• 国内にある抗菌薬では、最もカバーする細菌が多い
• ただし、広域 = 強力 ではない!
• Focusの絞れない感染症、特に、耐性を獲得してい
るような SPACE による感染を疑う場合
• 普通に考えれば、カルバペネム系が1stに使用され
る状況は少ない
こんな状況なら…
• 院内発症の腹腔内感染
• 起因菌不明の壊死性筋膜炎
• 起因菌不明の急速に進行する敗血症
• 細菌性髄膜炎の初期治療
• 耐性菌検出が多い施設での発熱性好中球減少症
「Focusの絞り切れない、耐性菌の可能性のある場合等で

カルバペネム系で投与開始は良いと思います」
「細菌培養で、細菌と感受性が確定したら、カルバペネム系から
それをカバーできる狭域の抗菌薬へ変更すべきです」
「先にも書きましたが、カルバペネム系の使いすぎでそれらに
耐性を示す細菌がでたらどうしますか?」
「近年、NDM-1等のMBLの発現が問題視されています。

これは、耐性菌問題が院内から院外へ移ることを予測させます」
「まだ、間に合います。抗菌薬の投与の際にはよく考えましょう。
これは医療者だけでなく、患者にも言えることです」
カルバペネム系の
効果が無かったら
どうするのですか?
耐性菌になったら
1980- 1990- 2000- 2010-
2
7
10
33
新しい抗菌薬は減少している
「特にグラム陰性桿菌に対する抗菌薬の新発売は
ほとんどありません」
Animals get
antibiotics and
develop resistant
bacteria in their guts.
Drug-resistant
bacteria can
remain on meat
from animals.
When not handled
or cooked properly,
the bacteria can
Examples of How A
infection.
ALL NEW!
1980- 1990- 2000- 2010-
2
7
10
33
FDAのGAIN Actで新抗菌薬は
いくつか開発されています
「既存の抗菌薬の改良版が多く、いわゆる新クラスの
抗菌薬はまだまだ市場にはでていません。
そして、これらの新薬は高価です」
8
2010-2015新抗菌薬
D Deak et al. Ann Intern Med. Published online 31 May 2016
キノロン系抗菌薬
• 内服の抗菌薬では、最もカバーする細菌が多い
• 全身への移行性(精巣や骨など)が良好なのが特徴
• そのために乱用されている
• これが必要な感染症はそれほど多くないはず
• にも関わらず乱用のため E.coli の耐性度が上昇
している
E.coli の LVFX 感受性率
2008
2009
2010
2011
2012
2013
0 25 50 75 100
S I R
JANIS調べ 2013年→1-3月
27%72%
27%71%
30%69%
31%67%
34%64%
35%63%
クラビット
抗生剤は『限りある資源』
抗菌薬を適正に使用するために
全ての医療従事者が協力を
細菌の話③
嫌気性菌を中心に
そういえば・・・
「嫌気性菌って?どこにいるの?常在菌?」
「口腔内、下部消化管がおもな生息地で、
 常在菌とそうでないのがいます。
下部消化管ではBacteroides属がメインです。
土の中にもいますね」
意外と『嫌気性菌』とひとくくりにしがち
偏性嫌気性菌(酸素があると生息できない)を示します
横隔膜の上と下で分ける
横隔膜 代表菌 関与する疾患 !注意!
『上』
Prevotella(GNR)
Peptostreptococcus(GPC)
誤嚥性肺炎、肺膿瘍
など
ペニシリナーゼ
産生
『下』 Bacteroides fragilis(GNR)
肝膿瘍、腹膜炎
など
セファロスポリナーゼ
産生
「Bacteroides属は腸管内細菌叢で最も多い細菌です。
そのため腸管穿孔ではカバーしなくてはなりません。
E.coliを含む腸内細菌属は1%もいません」
嫌気性菌感染の特徴
• 慢性/亜急性の経過で難治性である
• 組織の壊死を伴う
• 悪臭のある分泌物が多い
• 膿瘍形成傾向が強い
• ガス産生性である
• 単独感染より混合(複数菌)感染が多い
嫌気性菌感染の第一選択薬
膿瘍形成の場合には外科的ドレナージがまず大事!
横隔膜 菌群 単剤 併用
『上』
プレボテラ

ペプトストストレプトコッカス
SBT/ABPC or
CTRX or CTX
嫌気活性ない薬剤
+
CLDM or MNZ『下』 B.fragilis TAZ/PIPC or MNZ
ゾシン アネメトロ
ダラシン
「B.fragilisのCMZ、CLDMへの感受性は低下傾向にあります。

当院でもCMZ<70% CLDM<50%です」
「MNZの注射剤が承認されましたので、3rdセフェム+MNZが
B.fragilisの関与する感染症にはいいかもしれません」
嫌気性菌は培養困難
• 嫌気性菌は酸素があると増殖できない
• そのため細菌培養では検出されにくい
• 嫌気性菌による感染を疑ったらカバーする
• 腸管、女性生殖管、口腔等の粘膜の感染、膿
瘍の形成、異臭/ガスの産生では嫌気性菌の感
染を疑う。
Clostridiumも嫌気性菌
「偽膜性腸炎の原因菌ね」
Clostridiumは芽胞を形成する嫌気性菌
「C.difficileの他にも臨床的に重要な仲間がいます」
Clostridiumの仲間達
菌名 代表的疾患 治療 備考
C.difficile 偽膜性腸炎 フラジール500mgx3 10日間
Toxin A, Bを産生

Toxinの存在で治療
C.perfringens
食中毒
ガス壊疽
PCG or ABPC + CLDM
CLDMは
外毒素産生抑制
C.tetani 破傷風 PCG + テタノブリン + 破トキ 早めの投与を!
「Clostridiumはグラム陽性桿菌です。
 いまのところ国内では耐性は問題になっていません」
*PCG:300-400万x6
C.difficile
• 欧米では、外来でのCDIも問題となっている
• 一番のリスクは抗菌薬
• 手指衛生が重要(医療者も患者も)
• PPIもリスクだろうと言われている
• 再発を繰り返す症例では便移植(FMT)が有効と報
告されている(冷凍便でもOK!!)
抗菌薬のCDIリスク
種類 投与期間
Low Risk
単剤ペニシリン
1stセフェム アミノグリコシド
マクロライド テトラサイクリン
投与後90日以降
High Risk
上記以外
2-4thセフェム キノロン
クリンダマイシン カルバペネム
特に
投与中と
投与後30日間
同室内での抗菌薬の使用もリスクの可能性
24時間以内に3回以上の無形便
(3回以上/日が2日継続or48時間以内に8回以上の無形便)
(入院72時間以降に発症)
CD抗原/CD毒素検査
便培養提出
上記症状の有無
抗原 + + −
毒素 + − −
毒素産生CD+
毒素産生CD−
便培養からCD毒素再確認
CDI
可能な限り抗菌薬とPPIを中止する
Mild-to-moderate
軽中等症
Severe
重症
Severe/Complicated
重症かつ複雑性
下痢便
+
右記の徴候症状のないもの
ALB < 3g/dL
+
WBC≧15,000 or 腹部圧痛
ICU管理 低血圧 BT≧38.5
イレウス or 著明な腹部膨満
意識状態の変化 臓器不全
WBC≧35,000 or <2,000
乳酸値>20mg/dL
内服治療
メトロニダゾール錠
500mgx3 10日間
5-7日間投与後も症状改善ない

場合にはVCM散へ変更
MNZアレルギー、妊婦授乳婦
脳に器質的疾患のある患者は
VCM散125mgx4 10日間
内服治療
バンコマイシン散
125mgx4 10日間
VCM散は苦味があり服用しにくい。

1V(500mg)を8mLの水で溶解し、

1回2mLを単シロップ5mLと共に服用
OPEの検討を行う
✓著明な腹部膨満のない場合
VCM散125mgx4
+ MNZ注500mgx3
✓イレウスor中毒性大腸炎
(腹部膨満の有無は問わない)
VCM散500mgx4
+ MNZ注500mgx3
+ VCM注腸500mgx4
治療不要
毒素−
毒素+
無し
有り
CDIが強く疑われるような場合や、
便(酸味のある匂いで緑色等)では治療開始
種類 投与期間
低
リスク
単剤ペニシリン
1stセフェム アミノグリコシド
マクロライド テトラサイクリン
投与後
90日以降
高
リスク
BL阻害剤配合ペニシリン

2-4thセフェム キノロン
クリンダマイシン カルバペネム
投与中と
投与後30日間
抗菌薬リスク
同病室内の抗菌薬使用も注意する
*BL = βラクタマーゼ
*CD = Clostridium difficile
前スライドより続く
下痢等の症状を確認
回数の少ない下痢はIBSの可能性もある
治癒効果判定のための抗原/毒素検査をしない
Follow
再発CDI
Recurrent
再発
前治療から8週以内の再発
再発の場合でも重症度を確認
✓VCM Pulse 療法
VCM散125mgx4 10日間
引き続き3日毎に125mgx1を10回
✓VCM Taper 療法
下記のように漸減していく
VCM散125mgx4 1-2週間
125mgx3 1週間
125mgx2 1週間
125mgx1 1週間
125mg 2日に1回 1週間
125mg 3日に1回 1週間
✓1回目の再発
前回と同様の治療
重症or重症/複雑性へ変化した場合は
その治療法に従う
✓2回目の再発
VCM Pulse or Taper療法(右記)
✓3回以上の再発
FMTの検討
症状の再燃なし
8週以内の症状の再燃あり
治癒
可能な限り抗菌薬とPPIを中止する
CD抗原/CD毒素検査
便培養提出
フラジール錠250mg ¥35.5
バンコマイシン散500mg ¥2924.8Am J Gastroenterol 2013; 108:478-498より作成
下痢でない入院患者のルーチンでのCDIスクリーニン
グは行わない。また、無症候の患者は治療しない。
CDI疑いの場合は、出来る限り個室管理とする。もし
くはCDI確定患者との相部屋とする。
CDI確定/疑いの患者の病室に入るときには、すべての
医療従事者と訪問者が、手指衛生と手袋/ガウンの装
着をすべき。
環境表面は0.5%次亜塩素酸で清潔にする。患者に用
いるものは出来る限りシングルユース/ディスポにす
る。
CDI患者への接触予防策は下痢が改善するまで行う。

(下痢が止まってから48時間後までとの提案もある)
感染制御
薬価
IBS = 過敏性腸症候群
細菌?の話④
細胞内寄生性菌を中心に
細胞内寄生菌
「細胞内寄生菌?あまり聞かない菌の名前ですね。
ウイルスとかそんなのですか?」
「呼吸器感染を起こすものが主ですが、
他にもQ熱の Coxiella burnetii や
紅斑熱やツツガムシ病の Rickettsia もいます。
ウイルスも細胞内寄生菌です」
Mycoplasma、Chlamydophila、Legionella が代表的
マイコプラズマ クラミドフィラ レジオネラ
コクシエラ
リケッチア
M.pneumoniae C.pneumoniae, C.psittaci L.pneumophila
オウム病
細胞内寄生菌
細胞壁
大きさ

μm
ヒト-ヒト
感染
宿主
分離

頻度*
検査
呼吸疾患

治療薬
Mycoplasma

pneumoniae
なし 0.2-0.3 あり
脊椎
動物
5-11%
PCR

寒冷凝集
CAM

AZM
Chlamidophila
pneumoniae
あり

(PGを欠く)
0.2-1 あり
ヒト

鳥
3-6%
PCR

抗体
CAM

AZM
Legionella

pneumophila
なし

(外膜あり)
2-5 なし
水環境
アメーバ
1-4%
尿中抗原

ヒメネス染色
LVFX

AZM
Coxiella

burnetii
あり 0.2-0.4
人畜
共通
家畜 0.5-1%
PCR

抗体
MINO

LVFX
*成人市中肺炎での起因菌としての頻度
「細胞壁がなく、細胞内に寄生するためβラクタム系抗菌薬は、
効果がありません。マクロライド系、キノロン系が主な治療薬と
して使用されます」
*PG=ペプチドグリカン
クラリス
ジスロマック
クラビット
非定型肺炎
「非定型肺炎の起因菌が多いですね。
細胞壁がないのが特徴ね」
他の細菌と異なり、培養が難しく、菌自身を特定することが困難
「成人市中肺炎ガイドラインでは細菌性肺炎と
非定型肺炎の鑑別方法があります」
細菌性と非定型肺炎の鑑別
1. 年齢60歳未満
2. 基礎疾患がない、あるいは、軽微
3. 頑固な咳がある
4. 胸部所見上所見が乏しい
5. 痰がない、あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない
6. 末梢白血球数が10,000/μL未満である
上記6項目中4項目以上 or 上記1-5の5項目中3項目以上の合致
➾非定型肺炎の疑い
「マイコプラズマ肺炎では感度、特異度共に良好ですが、
クラミドフィラ肺炎では感度に問題があります。
結核が除外できないことと、レジオネラ肺炎は含まれてないことに注意」
レジオネラ肺炎はどうするの?
「レジオネラ肺炎は鑑別できないってこと?
他の非定型肺炎と違って、重症の肺炎になると
聞いているのですが…」
尿中抗原が陰性であってもレジオネラ肺炎は除外できません
「レジオネラ尿中抗原は約70種ある血清群のうち
80%程度占める”1”にしか反応しません。そのため、
特異度は高いものの、実際の感度は50-70%程度
と言われています。疑っている場合には細菌検査室に
喀痰のヒメネス染色とレジオネラの培養をお願いしてください」
肺炎の症状+肺以外の症状がある
・体温 >39.4℃
・痰がない
・血清Na <133mEq/L
・LDH >255U/L
・CRP >18.7mg/dl
・血小板数 <17.1万
で各1点として
・0~1点でレジオネラ肺炎の確率は3%
・4点以上でレジオネラ肺炎の確率は66%
「文献的に以下のような予測法も報告されています。
以下に加えて、比較的徐脈というのも有名です」
R Fiumefreddo et al. BMC Pulm Med. 2009; 9: 4
肺以外の症状は先行することが多い
「自験例(n=3)では、感冒様症状(頭痛、発熱、嘔吐、下痢等)が
先行し、その後、急速に呼吸状態が悪化し当院へ搬送されました。
全例に共通していたのは39度以上の発熱、低Na、高LDH、高CRPで、
全例ともにヘビースモーカーでした」
• 温泉施設がリスクと言われているが、車のエアコン、水たまり、給水塔など水のあるところはど
こにでもいると言われている。水場によって増殖する血清型は異なるとも報告されている。
• DM等の免疫障害はリスクであるが、多量の喫煙もリスク因子とされている。
• 治療の第1選択薬はAZMもしくはLVFXであるが、薬剤での死亡率に差はないと報告されている。
• 上記のように初期症状は感冒様症状で、疑わなければ疑えない感染症である。重症肺炎に他の症
状が併発していれば積極的に疑うべきと思われる。
マクロライド系の相互作用
「非定型肺炎やカンピロバクター、百日咳の治療等に
使用されるML系抗菌薬は、薬物相互作用が多いことでも
知られている薬剤です」
「EM、CAM、AZMが主な抗菌薬ですね。
外来で処方されるイメージが強いです」
「EM はほとんど処方されず、CAM, AZM が良く処方されます。
EM, CAMは肝臓の薬物代謝酵素 CYP3A4 を阻害します。
これにより、この酵素で代謝される薬剤の
作用が強くでる場合があるのです」
EM, CAMでは特に注意が必要
• CAM はレセプトのデータ上で最も外来で処方されている抗菌
薬。(H26年度で約3億5千万錠!)
• CAM を処方するとき/調剤するときには、併用薬に注意が必要
• 併用禁忌薬もあるため注意!(C型肝炎治療薬:バニプレビル/アスナ
プレビル、睡眠薬:スボレキサント が最近追加になっている)
• アトルバスタチン/シンバスタチン/テオフィリン/カルバマゼ
ピン/トリアゾラム/クエチアピン/SU剤/ジゴキシン/ワルファ
リン/DOAC は作用増強に注意!
CAM の添付文書を見直しておきましょう!
まとめます
まとめに抗菌薬のスペクトルを
組み合わせると…
⇓詳細はこちらで閲覧できます
http://www.slideshare.net/kuniakisano9/ss-43776202
抗菌薬の話④
用法用量や作用機序を中心に
抗菌薬の用法用量
「細菌⇔抗菌薬の組み合わせは、何となく分かったわ。
 でも、1日に何回も投与したり、1回しか投与しなかったり
よくわからないわ」
「ややこしくて、眠くなるので簡単に
まとめてみますね」
PK/PD という考え方と抗菌薬の半減期が関与しています
抗菌薬の薬理を整理
抗菌薬の作用機序をざっくりと3つに分けてみる
βラクタム系
キノロン系
アミノグリコシド系
マクロライド系
抗MRSA薬
クリンダマイシン
*抗M薬:VCM TEIC:壁阻害
*抗M薬:LZD ABK:タンパク阻害
細胞壁合成の阻害
DNA合成酵素の阻害
タンパク質合成の阻害
作用点の簡単な図解
PBP
染色体
mRNA
30sリボソーム
50sリボソーム
βラクタム系
アミノグリコシド
キノロン
マクロライド
クリンダマイシン
壁合成阻害
タンパク合成阻害
タンパク合成阻害
DNA合成阻害
PBPは細胞膜と壁の間に存在
CDNA複製
DNAジャイレース
RNA合成
タンパク質
30Sリボソーム
50Sリボソーム RNA
PBP PBP
DNA
βラクタム系 βラクタム系
キノロン系 マクロライド系
アミノグリコシド系
ポーリン
グラム陽性菌では細胞壁の間隙を

通って抗菌薬は細胞質へ到達する
グラム陰性菌では親水性の薬剤はポーリンを通る
抗菌薬
タンパク合成
細胞壁合成
どこに作用するのか
「さっき分類した作用を引用してみます」
細胞壁合成阻害
DNA合成酵素阻害
タンパク合成阻害
細胞膜の外側か内側か?
外側
の壁を作らせない
内側
を乱す
βラクタム系
βラクタム系 以外
分裂段階にある細菌の

壁合成を阻害し続けるため、
細菌の周りに常に薬が必要
細菌の中へ入り込むため、
大量の薬が必要
「内側作用の代表、アミノグリコシドは
 1日1回、ガッツリが基本投与です」
投与回数と間隔
「βラクタム系を1日4~6回も投与するのはなぜ?」
「βラクタム系は半減期が短く、菌体の外側で

作用(壁壊し)するため、頻回な投与が必要です」
βラクタム系 半減期(hr) 1日の投与回数
ペニシリン系 0.5~1.0 4回(PCGは6回)
セフェム系
1.0~1.5 3~4回
カルバペネム系
半減期を1hrとすると5hrで体内から消える!
→1日2回だと・・・7hrも薬がない!
→細菌が増殖できちゃう!
*CTRX(セフィローム)の半減期は
7hrだから1日1~2回投与でも
OK!
投与方法と添付文書
• 公知申請等で適応症、用法用量が欧米諸国に
追い付いてきた(ご尽力された先生方に感謝です)
• 特にペニシリン系は改善している
• 適宜増減の範囲内で最大量を用いる
• 添付文書記載以外にも保険上認められる適応
症、用法用量がある
添付文書未記載でも保険OKな
対象疾患、用法用量を調べる
• http://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/
teikyojirei/yakuzai/no600/index.html
• 社会保険診療報酬支払基金➾審査情報

➾審査情報提供事例➾薬剤

➾病原生物に対する医薬品
• ”保険 薬剤 審査情報” で Google検索
• リンクもしくは上記にて検索
抗菌薬と細菌について改訂版
投与量は最初から最大?
「賛否両論はあるのですが・・・」
最初から『最大投与量』が適当
「もし、投与量少なめで効果がなかったときに
 スペクトルを外しているのか、投与量が足りないのか、
 わからなくなってしまいます」
抗菌薬の投与量
• 近年、国内の抗菌薬の用法用量が改善
• 欧米量に近似している(例外もあり)
• 腎機能に合わせて、最大投与量が基本
• TDM対象の薬剤は、積極的に測定する
投与量に困ったら…
「薬剤師に聞いてください」
そして抗菌薬の選択に悩んでも聞いてください
「一人で悩まず、まわりの医療者に相談して
患者さんのために、より良い感染症治療を
選択してください」
抗菌薬の主な副作用
βラクタム系
アレルギー(1-4%) 薬剤熱 伝染性単核球症にペニシ
リン系の使用は皮疹/粘膜疹の出現/増悪のため禁忌
キノロン系
小児/妊婦/授乳婦は禁忌 腱断裂 血糖異常
めまい 不眠 網膜剥離 QT延長
アミノグリコシド系 腎障害(可逆的) 聴覚障害(不可逆的)
マクロライド系 下痢 静脈炎(注射時) QT延長(相互作用)
CLDM 下痢 CDI
MNZ 消化器症状 中枢神経障害 味覚異常
ST 消化器症状 偽性Scr上昇 高K血症
VCM レッドマン症候群 TAZ/PIPC併用で腎障害
LZD 消化器症状 骨髄抑制
DAP 横紋筋融解症
抗菌薬の話⑤
ペニシリンアレルギーを中心に
ペニシリンアレルギー
• 約10%の患者がペニシリンアレルギーと自己申告する。
• しかし、そのうちの大部分の患者はペニシリン系抗菌薬が使用でき
ると報告されている。(85-90%の患者は皮膚テストに陰性)
• 嘔気/嘔吐/下痢のような副作用とペニシリンアレルギー(I型IgE関連
アレルギー)を混同しているため、不一致が起きている。
• また、Ⅰ型であっても10年を経過すると、70-80%の患者でアレル
ギー反応を失うと報告されている。
• ペニシリンアレルギー自己申告の患者への代替え抗菌薬の使用は、
コスト増加/副作用増加/無用な広域化等の負担増加へとつながる。
ペニシリン(抗菌薬)アレルギー
と聞いたら…
1. 症状 :アナフィラキシー/重症薬疹/嘔吐/下痢
2. 時間 :薬剤使用から症状出現(分or時間or日or週)
症状が起きた時期(1年/5年/10年/それ以上前)
3. 経過と治療 :救急搬送/入院治療/自然に改善
4. 併用薬 :同時期に使用していた他の薬剤
5. その後 :抗菌薬使用歴/症状再燃の有無
「まずは病歴等々の情報収集が重要です」
分類 Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型 Ⅳ型
同義語
即時型

アナフィラキシー
細胞傷害型

細胞融解型
免疫複合体型

アルサス型
遅延型

ツベルクリン型
抗体 IgE IgG/IgM IgG/IgM T細胞
発症

時間
数分~1時間 >72時間 10-21日
2-4日

(4-21日)
代表

疾患
蕁麻疹

血管浮腫

喉頭浮腫

消化器症状
溶血性貧血

血小板減少症

顆粒球減少症
血清病

薬剤熱

血管炎

糸球体腎炎
接触性皮膚炎

斑状丘疹

SJS/TEN

DIHS AGEP
試験
皮膚テスト

(プリック/スクラッチ)
なし なし パッチテスト
アレルギー型の分類
アナフィラキシーのⅠ型、重症薬疹のⅣ型が特に重要
厚生労働省資料「アレルギー総論」, C Chnag et al. Clin Rev Allerg Immunol. 2012; 43: 84
アナフィラキシー
• 皮膚 or 粘膜症状

+

呼吸器症状(呼吸苦)

循環器症状(血圧低下)

消化器症状(下痢/嘔吐)
皮膚症状(蕁麻疹/顔面紅潮):90%

呼吸器症状(喘鳴/喉頭浮腫):60%
循環器症状(めまい/血圧低下):35%
消化器症状(嘔気/下痢/腹痛):30%
日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン/PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル
薬疹
• ほぼすべての薬剤で、1000人に新たに使用すると10例に見られる。
• 80%< が発疹(斑状丘疹性or麻疹様)で、5-10% が蕁麻疹である。
• 発疹は広範囲に左右対称にピンクから赤色の斑状/丘状で融合し斑点
となり、粘膜が侵されるのはまれである。
• 蕁麻疹はほとんどの薬剤で即時型反応(Type:Ⅰ)である。
• 重症薬疹の "SJS" "TEN" "DIHS" "AGEP" は遅延型反応(Type:Ⅳ)で
ある。
PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル, RS Stern. N Engl J Med. 2012; 366: 2492
DIHS SJS TEN* AGEP
Drug-induced Hypersensitivity
Syndrome
Stevens-Johnson Syndrome

Toxic Epidermal Necrolysis
Acute Generalized
Exanthematous Pustulosis
薬剤性過敏症症候群
スティーブンス・ジョンソン症候群

中毒性表皮壊死症
急性汎発性発疹性膿疱症
皮膚

症状
上半身の斑状丘疹から始まり、体
表面50%以上の広範囲に拡がる。
皮疹の炎症が強い。顔面浮腫/紅
斑が見られる。粘膜病変はない。
初期は体幹に斑状の紅斑様皮疹が
出現し、粘膜病変が見られる。

皮疹は平坦/二重斑で、その後、
水疱を形成し表皮剥離を伴う。
数時間の短期間で、紅斑が急速に
拡大する。紅斑上には無菌性の非
毛孔性小嚢胞が多数出現する。

粘膜病変はまれ。
その他

症状
発熱:38.5℃<

倦怠感, リンパ節腫脹

最低1臓器の障害

(>80%:肝臓, 他に腎, 筋肉, 肺,
心臓, 膵臓)
発熱:38.5℃<
倦怠感, 咽頭痛, 嚥下困難,
排尿困難, 羞明感
発熱:38.5℃<
発症

時期
抗てんかん薬:14日<

その他の薬剤:4-21日
4-21日目
抗菌薬:<3日

その他の薬剤:3日<
薬剤

関連
100%(定義上) 80% 50%
*表皮壊死<10%:SJS, 10-30%:SJS-TEN, 30%<:TEN
PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル, RS Stern. N Engl J Med. 2012; 366: 2492
重症薬疹
ペニシリン系の交差アレルギー
Type* 交差率** 備考
ペニシリン系
Ⅰ 60%
PCGがOKな場合もある
Ⅳ 50%
セフェム系
Ⅰ <10% CEZ<1%, 同一/類似側鎖<40%
Ⅳ 20% CEX, CCLは避ける
カルバペネム系
Ⅰ 1%
代替え薬として使用可能
Ⅳ <1%
アザクタム
Ⅰ <1%
Ⅳ <1%
*TypeⅠ:即時型反応, TypeⅣ:遅延型反応
A Romano et al. Curr Allergy Asthma Rep. 2016; 16: 24
セフェム系⇔セフェム系:30-40%, ⇔カルバペネム系:1%, ⇔AZT:3%(CAZでは避ける)
**ペニシリン系抗菌薬との交差反応率
側鎖の即時型アレルギーの影響
• ペニシリン系のβラクタム環とタンパク質のアミノ基
は、容易に反応し安定した化合物を形成する。
• セフェム系のβラクタム環は安定しており上記のよう
な反応は起こりにくく、起こったとしても、不安定
で様々な分解産物が生じる。
• そのため、ペニシリン⇔セフェム、セフェム⇔セフェ
ムの交差アレルギー反応にはその”側鎖”が関与して
いると考えられている。
A Romano et al. Curr Allergy Asthma Rep. 2016; 16: 24
ペニシリン系とセフェム系の
主要構造
デヒドロ
チアゾリジン環チアゾリジン環
βラクタム環 ペニシリン系 セファロスポリン系
6位側鎖 7位側鎖
3位側鎖
ペニシリン系の6位側鎖とセフェム系の7位側鎖の構造が
同一/類似してると交差アレルギー反応を示しやすい。
セフェム系の3位側鎖は、通常、デヒドロチアゾリジン環の開裂によって排除されてしまうが、同一側鎖による
セフェム系同士のアレルギー反応が報告されている。
PI Ezequiel et al. Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2005; 5: 323
ペニシリン/セフェム系の側鎖の類似性
Pediatrics 2005;115:1048-1055, J. Am. Pharm. Assoc. 2008;48:530-540, Clinic Rev. Allerg. Immunol. 2013;45:131-142
同一/類似側鎖の例
AMPC
ABPC CEX
CCL
ペニシリン系 セフェム系
⇔
CAZ AZT
⇔
構造式はKEGGより引用
アレルギー

Type
主な症状 原因抗菌薬
対応策

全てにβラクタム系以外の抗菌薬を使用可*
重症Ⅱ-Ⅳ型

アレルギー
溶血性貧血
血清病
急性間質性腎炎

溶血性貧血
DIHS/SJS/TEN/AGEP
ペニシリン系
PCNs/CPNsともに避ける
CBPNsを含む代替え抗菌薬を使用
1st/2nd

セフェム系
3rd/4th

セフェム系
重症 Ⅰ 型

アレルギー
アナフィラキシー

喉頭浮腫/蕁麻疹

血管浮腫
or

粘膜病変/皮膚落屑/臓器障害
のない曖昧な病歴
ペニシリン系
3rd/4th CPNsのTestDose or

CBPNsのTestDose
1st/2nd

セフェム系
異側鎖 3rd/4th CPNsのTestDose

or CBPNs
3rd/4th

セフェム系
異側鎖 PCNs or CPNsのTestDose

or CBPNs
軽度の

アレルギー
蕁麻疹でない皮疹

斑状丘疹状皮疹

(軽度のⅣ型)
ペニシリン系 3rd/4th CPNs or CBPNs
セフェム系 異側鎖/異世代 CPNs or CBPNs
*原因抗菌薬がCAZの場合はAZTを避けるPCNs=ペニシリン系 CPNs=セフェム系 CBPNs=カルバペネム系
KG Blumenthal et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015; 115: 294 より改変
*あくまで文献として報告されている方法のため実施する場合には施設のコンセンサスを得る必要がある
ペニシリン/セフェム系抗菌薬

アレルギー患者への対応
• 重症Ⅱ-Ⅳ型アレルギーの既往ではPCNs/CPNsは避ける。Ⅰ型アレル
ギーの場合には、TestDose により抗菌薬の忍容性を確認した上
で投与が可能となる。
• TestDose とは…

*緊急対応の準備を必ず行った上で(+βブロッカーとACE阻害剤の中止)

①通常量の1/10(点滴)1/4(内服)量を投与

②投与直前/30分後/60分後にバイタル/皮膚所見/患者状況を観察

③異常がない場合に限り治療量を投与し②と同様に観察

④異常がない場合に限り通常通りの抗菌薬治療を開始
*あくまで文献として報告されている方法のため実施する場合には施設のコンセンサスを得る必要がある
KG Blumenthal et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015; 115: 294
Test Dose
PCNs/CPNsアレルギー患者へ

抗菌薬を投与するまで
ペニシリン/セフェム系抗菌薬アレルギー疑いの患者
アレルギー/副作用についての病歴を聴取
アレルギー反応が否定的
単回の嘔吐/悪心/下痢
アレルギー反応の可能性あり
病歴より Type を分類
曖昧な病歴

臓器障害等を伴わない
Ⅰ 型 重症 Ⅱ-Ⅳ 型 軽症 Ⅳ 型
CBPNs/代替え抗菌薬 or

異側鎖 CPNs TestDose
PCNs CPNs を避ける
CBPNs/代替え抗菌薬
異側鎖 CPNs or
CBPNs
PCNs CPNs

投与可能
*あくまで文献として報告されている方法のため実施する場合には施設のコンセンサスを得る必要がある
C Chang et al. Clinic Rev Allerg Immunol. 2012; 43: 84, KG Blumenthal et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015; 115: 294 改変
PCNs/CPNsアレルギーでの

代替え抗菌薬
グラム陽性菌 グラム陰性菌 嫌気性菌
CLDM
VCM
ST
LVFX
DOXY / MINO
カルバペネム系*
CPFX

GM / TOB / AMK
ST

FOM
AZT
カルバペネム系*
CLDM
MNZ
カルバペネム系*
• 肺炎:LVFX(点滴/内服)
• 尿路感染:ST(内服), CPFX(点滴/内服)
• 血流感染:VCM+AZT(点滴)
• 皮膚軟部組織感染:ST(内服), CLDM(点滴/内服)
感染症別の代替え抗菌薬の例 起因菌に応じて抗菌薬を選択する
*カルバペネム系は約1%の交差反応が報告
真菌の話
カンジダと抗真菌薬を中心に
「さのさん、グラム染色で酵母様真菌という
結果が帰ってきたんですけど…」
真菌
酵母様真菌≒カンジダ属
「いわゆる真菌の仲間です。真菌の感染を考える場合にも

どんな患者のどの培養から検出されたかが重要です。

真菌とは、酵母、糸状菌(カビ)、キノコの総称です」
抗菌薬と細菌について改訂版
抗菌薬と細菌について改訂版
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