昔よく聴いた曲を耳にして、当時のことが鮮明に思い出される。　そんな経験はありませんか？音楽には、記憶や感情をよみがえらせる力があります。https://yumikosato.com/

1. 音楽は記憶をつなぐ
佐藤由美子（米国認定音楽療法士）

2. 今日の予定
▪ 音楽療法とは？
▪ 音楽回想法
▪ 認知症の人との音楽療法
▪ 質問

3. 音楽療法とは？
▪ 第2次世界大戦中の欧米で発達
▪ 米国認定音楽療法士は7000人、
日本音楽療法学会認定音楽療法士
は2700人ほどいる
▪ 音楽療法士は、出生前から終末期
を含めた、人生すべての段階で
人々をサポートする

4. 音楽療法とは？
▪ 臨床的かつエビデンスに基づく臨
床診療
▪ セラピストとクライアントの治療
関係の中で、個人の目的を達成す
るために音楽を利用する
▪ 音楽療法は確立された専門職で、
トレーニングを積み、資格をもっ
た音楽療法士によって行われる
米国音楽療法学会（ＡＭＴＡ）の定義

5. 音楽療法士になるには？
▪ 音楽療法の資格の内容や制度は、国によって異なる。
▪ 米国認定音楽療法士になるには、承認された大学の音楽
療法のカリキュラムを終了しなければならない。
▪ ピアノ、ギター、歌。
▪ 音楽療法理論、音楽史、音楽理論、心理学、解剖学など
を勉強し、臨床経験を積む。
▪ その後、フルタイムで6ヶ月以上のインターンシップを
実行すると、試験を受験する資格が与えられる。

6. 音楽療法士はどこで働く？
▪ 音楽療法士は様々な場所で仕事をする
▪ 精神病院、リハビリ施設、医療病院、
学校、発達障害者にサービスを提供す
る機関、薬物やアルコール依存症治療
のプログラム、刑務所、高齢者セン
ター、老人ホーム、がん患者や家族に
サービスを提供する機関,ホスピスな
ど

7. 終末期医療における音楽療法とは？
《研究結果》
▪ モルヒネを主とする薬物の投与
量が減少
▪ 不安、痛みからくるうつ状態が
軽減
▪ 吐き気、嘔吐の緩和
▪ QOL(生活の質)の向上
症状を治療 ➡ 全人的なケア

8. 音楽療法のセッションとはどんなもの？
▪ 音楽を聴く
▪ 一緒に唄う
▪ 楽器をつかった即興
▪ 曲作り
▪ 歌詞のディスカッション
▪ 音楽回想法

9. 日本における音楽療法
▪ 「音楽療法」は聞いたこと
があっても「音楽療法士」
は聞いたことがない人が多
い…
▪ 日本音楽療法学会認定音楽
療法士の存在
▪ 専門職として確立させるた
めには？

10. 音楽療法について
もっと知りたい・・・
Blog「佐藤由美子の音楽療法日記」

11. 吉田さん
▪ 緩和ケア病棟に3ヵ月滞在
▪ リハビリ、アロマセラピー、
音楽療法
“ここに来て、すべてが違った”
つづきは、「テレメンタリーラストソング～病室に響く歌」をご覧ください

12. ライフ・レビュー（回想）
• 回想とは昔を振り返り内省す
ること
• 人生の危機に接したときに起
こる
• 死に逝く人に必ず起こる現象
• なぜ音楽を使うのか？

13. 荒井さん
戦争のつらい思い出…
バイオリニストだった父親の記憶
愛する人を近くに感じる
➡今を乗り越える力に
“死ぬ前に『トロイ・メライ』が聴きたい”
詳しくは、「死に逝く人は何を想うのか」を参照ください。

14. 長塚さん
▪ 77歳、COPD
▪ 外来に通えなくなり、在宅へ
▪ 奥さんと犬と暮らしている
▪ 昔ジャズバンドでドラムを弾いて
いた
音楽が過去と現在をつなぐ

15. 時子さん
▪ 79歳、心臓病
▪ アメリカの老人ホームでホスピスケア
を受けている
▪ 会話をすることも食べることにも興味
を失い、うつ病と診断される
▪ 沖縄戦の記憶
“なぜ自分だけ生き残ったのだろう”

16. 浜辺の歌
あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ しのばるる
風の音よ 雲のさまよ
よする波も かいの色も
ゆうべ浜辺を もとおれば
昔の人ぞ 忍ばるる
寄する波よ かえす波よ
月の色も 星のかげも

17. “I’m a survivor. 私は生き抜いたのよ”

18. ラスト・ソング～人生の最期に聴く音楽
１０人の患者さんとのストーリー
 聴覚は最期まで残る感覚
 言葉にできない想い
 死という鏡
 生きるということ

19. 音楽回想のプロセス
▪ 写真、アート、映像、詩、などを用いることで
回想がより鮮明になることもある。
▪ 主なテーマ（人生の大きな出来事、仕事、人間
関係、スピリチュアリティ－）
▪ 回想によってよみがえる記憶は必ずしも楽しい
ことばかりではない。
▪ 音楽によって記憶を刺激するだけでは不十分で、
患者さんがつらい過去と向き合う時、安心して
気持ちを表現できる環境をつくることが大切。

20. 音楽回想法のアプローチ
パーソンセンタード・アプローチ
Ｂｙ カール・ロジャース（心理学者）
▪ 共感 (empathic understanding)
▪ 受け入れること (acceptance)
▪ 正直さ (genuineness)
大切なことは、テクニックではなくクライエントとの関係性。

21. 回想の役割
▪ 人生の意味を理解する
▪ やり残したことに気づく
▪ 今を乗り越える力
▪ レガシー《生きた証》を記録する
▪ 患者さんの希望を支える
▪ 気分の向上
▪ 患者さんと家族が有意義な時間を過ごすサポートをする

22. 回想で使用する質問の例
▪ どんなことを思い出しますか？
▪ この曲が流行っていた頃、どんな生
活をしていましたか？
▪ なぜ、この曲を選んだのですか？
▪ なんでこの音楽が好きなのですか？
▪ この歌を最初に聴いたのはいつ頃で
すか？
オープン ・エンディ ッ ド ・ クエスチョン

23. 認知症の人との音楽療法
《研究結果》
▪ 音楽は脳のさまざまな部分に働きかける
▪ うつ状態を軽減
▪ 言語力や記憶力をサポート
▪ 社会性を高める
▪ 攻撃的な行動を軽減
▪ 末期の患者でも音楽療法に反応
思考能力がなくなった人にも感情はある

24. 思考能力は衰えても感情はある
不安、苛立ち、恐怖、孤立

25. 水上さんとの音楽療法
• 言葉によるコミニケーションが
難しい状態
“何が何だかわからない！”
• 馴染み深い曲がもたらす安心感
• 歌に集中することで、痛みの感
覚が和らぐ

26. 脳と音楽の関係
▪ 音楽は脳のさまざまな部分に働き
かける
▪ 失語症でも歌は唄える
▪ 認知症でも馴染みのある音楽を認
識する部分は、比較的影響を受け
ていない

27. 彼らにとって音楽は贅沢ではなく、必要不可欠なもの
だ。音楽は他の何よりも彼らを回復させる力がある。
～オリバー・サックス（神経学者）

28. ライフ・レビュー（回想）VS レミニセンス
《ライフ・レビュー》
▪ 内省の過程が必要
《レミニセンス》
▪ 楽しい記憶を思い出すことが目的
▪ 内省を必要としない
認知症の人の場合は？

29. 家族の心のケア
The Long Goodbye (長いさようなら)

30. 音楽は人と人をつなぐ

31. 死に逝く人は何を想うのか ～遺される家族にできること
1章 死に直面した人の心の変化
2章 大切な人のために家族ができること
 ライフ・レビュー
 さまざまな音楽の使い方
3章 グリーフについて――悲しいのは、当
たり前のこと
24のケースを紹介

32. ホームページ: 佐藤由美子の音楽療法日記
Facebook: 佐藤由美子 音楽療法
Twitter: YumikoSatoMTBC
Email: yumi.aomori@gmail.com