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総合PBRガイド
by Allegorithmic - vol. 2
光と物質:PBRのテクスチャを作成するための実用的なガイドライン
カバー:Gaëtan Lassage、著:Wes McDermott
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 1
目次
技術編集:Nicolas Wirrmann および Jeremie Noguer
コピー:Alexandre Bagard
●PBRとは何か? - 3
 どんな利点があるか? - 3
 アーティストにとってどんな意味があるか? - 3
●メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフロー - 3
 不導体F0値 - 5
 ベースカラー - 5
  作成のガイドライン - 6
 メタリック - 7
  作成のガイドライン - 8
   生の金属(ローメタル) - 8
   腐食もしくは不導体の層(レイヤー) - 9
 ラフネス(粗さ) - 10
  作成のガイドライン - 11
 解像度とテクセル密度 - 11
  作成のガイドライン - 12
 メタル/ラフネスワークフロー
 の長所と短所 - 12
●スペキュラ/グロッシネスワークフロー - 13
 ディフューズ - 13
  作成のガイドライン - 13
 スペキュラ(鏡面反射) - 14
  作成のガイドライン - 14
   生の金属(ローメタル) - 14
   不導体 - 15
 グロッシネス(光沢度) - 16
  作成のガイドライン - 16
 解像度とテクセル密度 - 16
  作成のガイドライン - 17
 スペキュラ/グロッシネスワークフロー
 の長所と短所 ‒17
●両方のワークフローに共通するマップ - 18
 アンビエントオクルージョン - 18
  アンビエントオクルージョンの作成 -18
 ハイト - 19
  ハイトの作成 - 19
 ノーマル(法線) - 21
  ノーマル(法線)の作成 - 21
●Substance PBRユーティリティ - 22
 マテリアル - 22
  Bitmap2Material3 - 22
  PBRベースのマテリアル - 22
  PBR Substance マテリアル - 23
 反射率値 - 23
  不導体F0値 - 23
  金属反射率 - 23
 コレクション(補正) - 24
  PBR メタル/ラフネス検証 - 24
  PBRセーフカラー - 25
 コンバージョン(変換) - 25
  メタル/ラフネスの長所と短所 - 25
●付録 - チャート - 26
 サーフェイスはメタルか? - 26
 反射率値 - 27
 正しいもの/正しくないものの比較検討 - 28
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 2
光と物質
PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン
物理ベースレンダリング(PBR)は、厳しい基準というよりももっと方法論よりのものと考えてもよい。具体的な原則とガイド
ラインが存在するが、それは真のスタンダードと呼ばれるものでないので、様々な実装の仕方があり得る。特に使用され
ているマップのタイプ、すなわち、ワークフローやBRDF、ラフネス/グロッシネス(粗さ/光沢度)のデータの値の表し方など
にその違いが顕著に表れているが、それらは実装をカスタマイズすることでリマッピングできる程度のものだ。たとえマッ
プ名が変わってしまうような実装があったとしても、基本的な使い方は同様だ。
このガイドでは、図01に示されているメタル/ラフネス(金属/粗さ)とスペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)という、二つの最
も一般的なワークフローについて議論を進めていこう。Substance Designer、Substance PainterおよびBitmap2Material
3からなる、PBRマップをオーサリングするSubstanceツールセットは、両方のワークフローをサポートする。メタル/ラフネス
(金属/粗さ)およびスペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)のためのSubstance PBRシェーダはGGX BRDFを使用しており、
いかなるラフネス/グロッシネス(粗さ/光沢)値のリマッピングも利用しない。しかしながら、もしカスタムリマッピングが必要
な場合は、Substanceマテリアルを使うことで簡単に実現できる。さらにSubstanceツールセットの中ではカスタムシェーダ
がサポートされているから、どんなにカスタマイズされたパイプラインに対してもSubstanceを適応させることができる。	
ここで強調しておきたいのは、二つのワークフローにはその実装において各々長所と短所を持っているから、一方のワー
クフローが必ずしももう一方のものよりも遥かに優れているということではないということだ。本当に重要なことは、あなた
方自身がPBRの背後にある基本原則を十分に理解していることだ。コンセプトとガイドラインこそが、あなた方が作るPBR
マップを正確なものにするのであって、決してそのワークフローそれ自体ではないということだ。同じデータをあらわしてい
るワークフローでも、違ったやり方でそのデータを実装しているのだ。	
第一巻である「総合PBRガイド」においては、技術的、理論的な観点からPBRを定義した。この第二巻では、PBRテクスチャ
をオーサリングする際の現実的な適用応について議論し、第一巻で打ち立てた基礎に基づく一連のガイドラインを提供す
る。まずはアーティスティックな観点から、PBRを再定義することからはじめよう。そこから、メタル/ラフネス(金属/粗さ)
ワークフローを論じることで、その原則とガイドラインを導き出そう。その後で、スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)ワーク
フローのフォローアップを、オーサリング方法の違いという観点から詳しく述べてみよう。結果、両方のワークフローを通し
で読むことで、PBRテクスチャをオーサリングするための総合的なガイドラインの全体像をつかむことができる。
図01
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 3
メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフローは、PBR
シェーダーのサンプラーにテクスチャとしてセット
されるチャンネル群として定義される。図02に示
すように、メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフ
ローのために具体的に使われるマップは、ベー
スカラー、メタリックおよびラフネスである。私たち
は以下のサブセクションで、これらマップタイプの
各々について論じることにする。図03に示すよう
に視差(parallax)マッピングのために、PBR
シェーダはアンビエントオクルージョン、ノーマル
(法線)およびハイト(高さ)マップを使うこともある。
これらのマップタイプは、両方のワークフローに
共通するものだが、これらについては「両方の
ワークフローに共通マップ」で説明をしよう。	
PBRとは何か?
物理ベースレンダリング(PBR)とは、光とサーフェイスの相互作用のより正確な表現を提供するシェーディングおよびレンダリ
ング手法である。それは、物理ベースレンダリング(PBR)、または物理ベースシェーディング(PBS)と呼ぶことができる。パイプ
ラインのいずれの側面が論じられているかにもよるが、通常PBSといえば、シェーディング概念について特化した概念であり、
PBRといえばレンダリングおよびライティング面について特化した概念である。しかしながら、二つの用語が共に表現している
のは、物理的に正確という観点からアセットを表現するプロセスそのものである。
どんな利点があるか?
芸術的および生産効率的な考え方から、PBRの利点は以下のようにあげることができる。	
アーティストにとってどんな意味があるか?
アーティストとして私たちは、あるサーフェイスの属性を表現するマップについて違う方法で考える必要がある。従うべきルール
やガイドラインに沿った新しいタイプのマップがある。	
	
伝統的なレンダリングワークフローから、ディフューズ(拡散反射)とスペキュラ(鏡面反射)マップの概念を捨てる必要がある。こ
れらのマップは、マテリアルと光との相互作用を近似するために用いられてきた、ある種の回避策のようなものであるからだ。コ
ンピュータハードウェアとレンダリング技術の進歩の結果として、わたし達は今やより正確に光の物理現象をシミュレートするこ
とが可能となった。	
	
PBRでは、エネルギー保存の法則とBRDFに基づいて、シェーダーが重い物理学的リフティングを処理するので、わたし達アー
ティストは、物理学的な原理をガイドとしてマップを作成すればよい。それにはマテリアルの様々な値を推測するという作業が省
かれているので、わたし達はアーティストとして、テクスチャリング作業のもっとクリエイティブな面に時間を費やすことが可能と
なる。正しくガイドラインに沿って、マップを正確にオーサリングすることは重要であるが、だからと言ってわたし達のアーティスト
としての直感を無視せよという意味ではない。実際に、芸術的な視点こそが、入念に創り上げられた細部と表現を通じてマテリ
アルに個性を与え、それが内に秘めた物語を伝えてくれるのだ。重要なことは、必要以上に物理学に囚われないことだ。わたし
達がより物理的に正確な環境で作業しているからといって、わたし達がずっと培ってきたアートを行ってはいけないという意味で
はない。たとえば、ディズニーの物理ベース反射モデルは、厳密な物理的モデルにではなく、よりアートディレクション向けに作
業しやすいという意味で、「理にかなった」アプローチとして設計されている。同じように、わたし達も原則を知り、ガイドラインの
活用の仕方を知らねばならないが、決してその奴隷であってはならない。
図02
1.物理的に正確な数式に基づいて方法論とアルゴリズムが定義されているので、鏡面性のようなサーフェイスの属性
  をオーサリングする際に、推測を排除しつつ現実味のあるアセットをより簡単に作り上げることができる。	
2.アセットが、あらゆるライティング条件下で正確に見えるようになる。	
3.異なるアーティスト間においても、一貫性のあるアートワークを作成するためのワークフローを提供する。
アーティストとしてわたし達は、あるサーフェイスの属性を描写するマップについて今までとは
違った考え方をする必要がある。新しいマップタイプには、従うべきルールやガイドラインが
存在する。	
メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフロー
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 4
メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローにおいて、金属の反
射率の値は、絶縁体の反射色と、BRDFによって処理される
反射率と一緒にベースカラーマップ上に配置される。使われ
ているメタリック(金属)マップは、ベースカラーマップ上にある
金属部分と絶縁体部分のデータを区別するためのマスクとし
て機能する。不導体のF0値は、マニュアルではいじらず、
シェーダに処理させる。図04に示すように、メタルマップ中の
黒い部分をシェーダーは、ベースカラーマップ中の対応する
金属のための反射率の値は、絶縁体の反射色と一緒にベースカラーマップに配置
される
メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローでは、エネルギー
保存の法則を破ることはできない。ディフューズ(反射色)と
スペキュラ(鏡面反射)のバランスは、メタリックマスクを
使って調整できるが、それらのディフューズやスペキュラを
いくら組み合わせても、最初に受けた光よりも強力な反射
光や屈折光を設定することはできない。	
図04
図03
領域に対して、不導体かつ反射率の値が
4%(0.04)として解釈する。第一巻で論じ
たように、4%という値は、一般的な不導体
マテリアルのほとんどをカバーしている。
不導体F0値、金属反射率、アルベドカラー
の輝度のような全ての値が、実際に測定さ
れたデータから導き出されていることが重
要である。各々のマップタイプを見ていく際
に、測定データに基づくものとしてガイドラ
インは論じられることになる。	
	
  
第一巻で、わたし達はエネルギー保存の
概念について説明したが、それによれば
光は、あるサーフェイスに衝突する以前に
持っていた「強さ」以上の強さで、サーフェ
イスから反射することはない。実装面では、
エネルギー保存のコントロールは主に
シェーダーが制御するが、それは
Substanceの場合も同様である。
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 5
不導体F0値
SubstanceツールセットやUnreal Engine 4
に見られるような、ある種のメタル/ラフネス
(金属/荒さ)の実装にはスペキュラコント
ロールがあるが、それを使うことでアーティ
ストは不導体のコンスタントなF0値を変化さ
せることができる。Substanceでは、このア
ウトプットには「スペキュラレベル」
(specularLevel)のラベルが付いているが、
それはメタル/ラフネス(金属/荒さ)PBR
シェーダー内のテクスチャサンプラーが提
供するものだ。図05に示すように、それは
0.0から0.08までの範囲で表される。ある不
導体のF0を手動で設定する必要がある場
合は、図06に示すように、Substance
Designer内のSubstanceグラフ中の「スペ
キュラレベル」(specularLevel)の出力を
使って設定することができる。スペキュラ/
グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフローで
も、不導体のF0に関して詳しく検討すること
にしよう。
ベースカラーマップは、図07に示すように不導体の反射カラーと金属の反射率の値という2種類のデータを内蔵できる
RGBマップである。第一巻で説明したように、不導体が示す色は反射された電磁波を表している。反射率の値が含まれ
るのは、メタリックマップ中でメタル(金属)として示されている領域である。
もしある不導体のF0を手動で設定する必要がある時には、Substance Designer
内の 「スペキュラレベル」(specularLevel)の出力を使って設定することができ
る
図05
図06
ベースカラー(sRGB基準のRGB)
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 6
図09
図07
図08
ベースカラーマップは、色調の面でやや平坦
なもの、すなわち従来のディフューズマップよ
りも低いコントラストのものとして考えることが
できる。明るくしすぎてもいけなければ、暗くし
すぎてもいけない。色調という観点からいえば、
物体はわたし達が頭の中で思っているよりも、
はるかに淡いものである。この範囲を、石炭を
最も暗い材質とし、新鮮な白い雪を最も明る
い材質とすることで視覚化できる。例えば、確
かに石炭は暗いが、それは0.0の黒ではない。
わたし達が選ぶカラー値は、ある輝度の範囲
内に収まっている必要がある。輝度の範囲に
関しては、私は主に不導体の反射色を参照し
ている。図08では、ダート(dirt/汚れ)値が正
確な輝度の範囲を下回った例を見ることがで
きる。暗めの値に関して、sRGBで30〜50を下
回るような値をとるべきではない。	
作成のガイドライン
図09に示すように、アンビエントオクルージョンチャンネルのみ
に関してシェーダーがこの程度の詳細表示しかできないような
場合には、マイクロオクルージョンを足してもよいという例外は
ある。しかしマイクロオクルージョンがマップに足されている場
合でも、それは依然として輝度の範囲によって支配されている
必要がある。	
暗めの値の範囲としては、sRGB 30で比較的緩めの値であり、
sRGB 50でかなり厳しめの値となっている。明るい色に関して
は、全ての値がsRGBで240よりも上の値をとるべきではない。
ベースカラーは不導体マテリアルの反射光のデータを含んで
いるので、故にアンビエントオクルージョンのようなライティング
情報を欠いているべきであると述べた。	
	
http://seblagarde.wordpress.com/
2014/04/14/dontnod-physically-based-
rendering-chart-for-unreal-engine-4/
金属の反射率の値を示すマップの値は、現実
世界の測定データから得るべきである。これ
らの値は鏡面反射で70〜100%の範囲にあり、
sRGBで180〜255の範囲にマッピングすること
ができる。

Substance PBRユーティリティの章において、
よくあるマテリアルのプリセットF0値を提供す
るツールについて説明しよう。	
  
またSébastien Lagardeが提供している、メタ
ル/ラフネス(金属/粗さ)のチャートも同様にリ
ソースとしては非常に有用である。	
金属の反射率を示す値は、
現実世界の測定データ
から得るべきである
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 7
1.色は、非金属マテリアルのアルベドと金属の反射率の値で表現する。
	
2.ベースカラーは、マイクロオクルージョンの例外を除き、ライティング情報を欠いている必要がある。
	
3.暗い値は、sRGBで30(緩めのレンジ)〜sRGBで50(厳しめのレンジ)を下回ってはいけない。
	
4.明るい値が、sRGBで240を上回ってはいけない。
	
5.ローメタル(生の金属)の反射率は、鏡面反射で70〜100%という高い値をとり、sRGBで180〜255程度にマッピングできる。
	
後述するメタリックの章で読むことになるが、ベースカラーにはまた、金属の反射率の値を含めることができる。汚れや酸化
をベースカラーに追加する場合、これが金属の反射率の値を、生のままのメタルで想定している範囲を下回ってしまうことが
ありうる。汚れや酸化を加える場合は同時にメタリックマップについても考慮されなければならない。従ってこれらの領域は、
メタリックマップでは値が引き下げられなければならないが、それはもはや生のままのメタルであるとはみなされていないと
いうことを意味しているのである。例として図10では、錆びた金属が不導体として扱われていて、メタリックマップ中では黒に
設定されているのがわかるだろう。
同様にメタリックマップは、ベースカラー中のデータがどのように解釈されるべき
かシェーダーに指示するためのマスクとして動作する
メタリックマップは、生の金属(ローメタル)をマテリアルとしている領域を示すために定義するために使用する。メタリックマップ
はグレースケールマップである。同様にそれは、ベースカラー中のデータがどのように解釈されるべきかシェーダーに指示する
ためのマスクとしても動作する。メタリックマップ中のデータには、現実世界のデータは含まれておらず、それはそのままマテリ
アルの値として使用される。それはただ単に、ベースカラー中のどの領域が反射色(不導体)として解釈され、そしてどの領域が
金属の反射率の値として表されているのか、シェーダーに記述する。メタリックマップにおいて、0.0(黒、すなわちsRGBで0)は
非金属(ノンメタル)であることを示し、1.0(白、すなわちsRGBで255)は生の金属(ローメタル)であることを表している。ローメタ
ルとノンメタルを定義するという点で、このメタリックマップは、多くの場合、二値(黒または白、要するに、金属もしくは非金属)と
なる。実際に、シェーダーがメタルマップの白い部分を確認すると、図11に示すようにシェーダーは、金属の反射率の値を得る
ための場所として、ベースカラーマップ中の該当する領域をチェックする。	
図10
メタリック(リニア基準のグレースケール)
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 8
図12
図11
作成のガイドライン
テクスチャ作成に関して、メタルサーフェイスには二つの重要な側面がある。それはその反射率の値が鏡面反射で70〜
100%の範囲にまで高く及ぶということと、いくつかの金属は腐食されるということである。作成のガイドラインを議論する
際に、これらの二つの側面を個別に見ていくことになる。	
金属領域として指定される場所に関しては、反射による照り返しで70∼100%
の範囲内の反射率を持たねばならない
生の金属(ローメタル)
メタルマップは、0または1、すなわ
ち金属であるか否かに従ってオー
サリングされるべきであり、生の研
磨された金属の状態を定義するた
めに使用される。一般的な指針とし
ては、メタルマップ中において生の
金属を示すグレースケールの範囲
は、sRGBで235〜255の範囲で定義
される。この範囲内に入る金属領
域では、図12に示すように、反射
による照り返しで70〜100%の範囲
内の反射率を持たねばならない。
sRGB値でマッピングすると、180〜
255になる。再度強調するが、これ
らの値は、現実世界での測定デー
タに基づくものである。
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 9
Substance ツールセットを使用することで、ウェザリングエフェ
クトの作業が簡単になるだけでなく、マルチチャンネルサポー
トを通じて、各チャンネルにそのエフェクトがどのように伝播す
るか制御することができる。Substance Designer および
Substance Painter を使って、Substanceエフェクトのパラメタ
を変化させると、Substanceエフェクトによってコントロールさ
れているチャンネルが自動的に調整されるのである。	
例えばSubstance Designer では、マテリアルカラーブレンド
ノードを使うことで、複数のチャンネル間にまたがる汚れのよ
うなエフェクトを適用することができる。マテリアルカラーブレン
ドでは、図15で示すようにメタリック値のスライダーを調整す
ることで、金属上の汚れレイヤーの効果をコントロールするこ
とができる。	
図13
図14
酸化された金属は、不導体、すなわち
錆びた金属として扱う必要がある。
同じことが塗装された金属についても
当てはまる
腐食もしくは不導体の層(レイヤー)
サーフェイスが風雨にさらされることで、
金属はその表面が酸化されてしまったり、
ほこりや汚れの層といったその他の環境
的外見に埋もれてしまうかもしれない。酸
化された金属は、不導体すなわち、錆び
た金属として処理する必要がある。同じ
ことが塗装された金属にも当てはまる。
例として、図13に示すように、塗装され
た金属をみてみよう。その金属の塗装の
一部にはひっかき傷があり、塗装がはげ
落ちている。金属は「生のまま」のメタル
(メタリックマップで白で表示される)をむ
き出しにし、塗装部は不導体のレイヤー
(メタリックマップで黒で表示される)となっ
ている。	
メタリックマップは、マップ中で遷移するグレー値に
よって表されることによって、メタルとノンメタルとで
ブレンドされた状態として表すことができる。重要な
のは、メタリックマップがsRGBで235以下のグレー値
を持っている場合、続いてベースカラーにおける「生
の」金属反射率の値も低くする必要があるということ
である。例として図14に示すような、汚れの層を考
えてみよう。汚れの層の一部は生のメタルの部分に
よって不明瞭になっているものとする。汚れが不導
体であり、メタリックマップが全部白で塗りつぶされ
てしまっている場合には、ベースカラー中のこれら
汚れの領域を、金属の反射率の値として使うとよい。
汚れのカラー値は、磨かれた金属を表現するのに
必要な70〜100%の反射率の値よりもはるかに低
い。汚れが表示されている領域のメタリックマップの
値を下げることで、不導体と金属の反射率の値の
間で適切なブレンドを作り上げることができる。	
	
汚れ層の不透明度を使って、ベースカラーの反射
率の値をどの程度下げたらよいか示すことができる。
ここには揺るぎないルールはない。	
やっていることは、(導電
性の)高反射率のサーフェ
イスから、(誘電性の)低反
射率のサーフェイスに値を
動かしているだけだ。動か
す度合いはどうとでも変え
てよいのである。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 10
図15
1.黒(0.0)は非金属であり、白(1.0)は金属である。酸化や汚れを考慮すると遷移するグレースケールの値もありえる。	
2.メタルマップにsRGBで235よりも低い値がある場合には、ベースカラーマップ中の反射率の値を下げる必要がある。
	
ラフネスマップでは、黒(0.0)は滑らかなサーフェイスを表し、白(1.0)はざらついたサーフェイスを表している。あるサーフェイ
スの特徴をアーティストが視覚的に決めてしまってよいという点で、ラフネスマップはもっともクリエイティブを発揮できるマップ
である。要するに、ラフネスマップでは、あるサーフェイスの状態にまつわるストーリーを、好きなように決めてしまってよい。そ
れが置かれている環境はどんなものか?それは今まで大切に扱われてきたのか、それともないがしろにされてきたのか?そ
れは風雨にさらされてきたのか?あるサーフェイスの状態は、それが置かれていた環境について多くのことを伝えてくれる。
故に、あなたが創ろうとしているアセットや世界の全体的なデザインについて、それはさらに多くのことを物語ってくれることだ
ろう。	
	
ラフネスには、本当に正しいも、間違っているもない。アーティストがクリエイティブにフルコントロールできる。ラフネスに際し
ては、まずはノーマル(法線)マップから始めてみるのがよい。ノーマル(法線)マップは、しばしば重要なサーフェイスの詳細
情報を含んでいるが、それはラフネスマップでも同じように表現できる。
図16
ラフネス(粗さ)(リニア基準のグレースケール)
ラフネスマップは、図16に示すように
光の拡散を引き起こす、サーフェイス
の凹凸を記述している。第一巻で説明
したように、反射する方向は、サーフェ
イスの粗さ(ラフネス)に基づいてラン
ダムに変化する。ラフネスは光の方向
を変化させるが、光の強度は一定の
ままである。サーフェイスがラフになれ
ばなるほど、ハイライトはより大きく、よ
りぼやけた見た目になる。滑らかな
サーフェイスは鏡面反射の焦点を維
持するので、反射する光の総量は同じ
であっても、見た目はより明るくより強
くなる。
vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 11
1.創造的に、かつ、そのサーフェイスにまつわるストーリーを視覚的に語ること。
	
メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローを使うことの副産物
として、図17に示すような、ホワイトエッジのアーティファクト
ができてしまうことがある。私たちはメタリックワークフローを
議論しているが、スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度)
ワークフローでもこの問題は同様にあらわれる。しかしなが
らその場合には、図18で示すように効果が逆転してしまう、
すなわちホワイトの代わりにブラックのフリンジが表れるの
でほぼ見えない。
図19に示すようにこのフリンジが、不導体から大変明るい
メタルの領域にマテリアルが移行する領域に対するテクス
チャ補間が原因なことは、すぐにわかる。	
ドキュメントの解像度とテクセル密度は、
エッジアーティファクトの可視性に直接
影響を与える。例えば、ハードエッジブ
ラシを使ってメタルとノンメタルの遷移領
域を描いても、ドキュメントの解像度が
低いと、エッジが柔らかいままとなり、
アーティファクトが悪化してしまう。	
この低解像度の問題は、ドキュメントの解像度に基づき適切
にテクセル密度を提供するように、UVがスケーリングされて
いないことが原因でもある。図20に示すように、UVにふさわ
しい良いテクセル密度を使うことが、あらゆるエッジのアー
ティファクトを最小化するための最善の方法である。図20で
は、両方のテクスチャセットで同じ2048ピクセルの解像度を
使用しているが、右の画像では、テクセル密度が低い悪い
UVレイアウトの例となっている。	
	
図17
図18 図19
ドキュメントの解像度とテクセル密度
は、エッジアーティファクトの可視性
に直接影響を与える
作成のガイドライン
解像度とテクセル密度
メタル/ラフネス(金属/粗さ)では、ベー
スカラーに金属反射率のとても明るい
値が含まれているので、ノンメタルの
ディフューズカラーとで補間されてしま
う。それがホワイトエッジを作り出すの
である。スペキュラ/グロッシネス(鏡
面/光沢度)では、生の金属(ローメタ
ル)はディフューズカラーを持たないの
で、ディフューズマップは黒を含むこと
になる。黒の値は、ノンメタルのディ
フューズカラーに補間されて、今度は
それがブラックフリンジを生み出す。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 12
1.メタル/ラフネスワークフローにおいて表れるホワイトエッジに影響しているのは、テクセル密度と解像度である。
  アーティファクトを最小にするためには、使っているUVがドキュメントの解像度に合わせて、適切な密度を与えている
  か確認する必要がある。
1.オーサリングをより簡単にしつつ、正確でない不導体F0データを与えることで発生する誤差を受けにくくすることができる。
	
2.メタリックとラフネスの両方がグレースケールマップであることからわかるように、テクスチャメモリを節約できる。
	
3.より広く採用されているワークフローとみなしてよい。
	
短所
1.マップ作成において不導体F0をコントロールしない。とはいっても、多くの実装にはスペキュラコントロールがあり、
  基本となる4%値を上書きすることができる。
	
2.解像度が低い場合には特にエッジのアーティファクトがより顕著になる。
	
ビデオウォークスルーもご利用ください:http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
図20
作成のガイドライン
スペキュラ(鏡面反射)
すべての不導体マテリアルのF0は、通常はメタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローにおける、リニアで0.04すなわち4%の
反射率に設定される。すでに述べたように、いくつかの実装では、スペキュラチャンネルを提供することで、この設定を上書
きすることができる。Substanceでは、これは、スペキュラレベル(specularLevel)チャンネルと呼ばれる。マップ作成のための
ガイドラインという点からは不導体F0はより複雑な問題であり、一般的なメタル/ラフネスワークフローでは、その値は0.04で
機能するので、これ以上ガイドラインの議論を続けることをやめ、スペキュラ/グロッシネスワークフローに移ろうと思う。	
メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローの長所と短所
長所
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 13
メタル/ラフネスの場合とまったく同じように、スペキュラ/グロッ
シネスワークフローもマップのセットとして定義され、PBR
シェーダーのサンプラーにテクスチャとして投入される。図21
に示すように、スペキュラ/グロッシネスワークフローで具体的
に使われるマップは、ディフューズ、スペキュラ、およびグロッ
シネスである。スペキュラ/グロッシネスワークフローは、「ディ
フューズおよびスペキュラ」のような非常になじみのある名前
を使っているが、これらのマップが、伝統的な手法におけるそ
れらのマップと同じものではないということを、しっかりと区別
しておくことが重要である。Substanceでは「ディフューズ」とい
う用語を使っているが、いくつかの実装においては、ディ
フューズをアルベドとして参照していることがある。またPBR
シェーダは、視差(parallax)マッピング用にアンビエントオク
ルージョン、ノーマル(法線)、ハイトマップを使用するかもしれ
ない。それらのマップについては前に述べたように、「両方の
ワークフローに共通するマップ」において説明する。	
例えば、ディフューズの白(1.0)とスペキュラ値の白(1.0)を組
み合わせることで、反射/屈折した光は、最初に受けた光より
も多くなってしまうが、それはエネルギー保存の法則に反して
いる。これはテクスチャをオーサリングするとき、テクスチャ
データに当てはまる現実の結果を見ていないという意味する。	
やがてみるように、マップが表しているデータは、メタル/ラフ
ネスワークフローでのそれと同じものだ。しかしながら、わたし
達は同じガイドライン従いつつも、マップのオーサリング方法
については異なっているのである。データは異なるマップに配
置されるが、それでも私たちは同じ原則に従っている。すでに
述べたように、不導体のF0、メタル反射率、アルベドカラーの
輝度範囲などの全ての値は、実際に測定されたデータより導
かれねばならない。ガイドラインで後に説明する各々のマップ
をみると、それらが実測されたデータに基づいていることがわ
かる。本章において、メタル/ラフネスの章においてカバーされ
ていたような正確な情報を繰り返すことはない。そのむしろそ
の違いのほうにフォーカスを当て、スペキュラ/グロッシネス
ワークフロー向けにどんな注意をしておく必要があるか注目
する。	
図21
ディフューズ(sRGB基準のRGB)
1.カラーは、非金属(ノンメタル)マテリアルのアルベドと生の金属(ローメタル)の黒(0.0)を意味している。
	
2.ベースカラーは、マイクロオクルージョンを除いて、ライティング情報を欠いている必要がある。
	
3.生の金属(ローメタル)の黒を除き、暗めの値は、sRGBで30(ゆるめの範囲)もしくはsRGBで50(厳密な範囲)を
  下回ってはいけない。
	
4.明るい値は、sRGBで240を上回ってはいけない。
スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフロー
このワークフローでは、メタル反射率の値および
ノンメタルのF0は、スペキュラマップ内にセットさ
れている。スペキュラ/グロッシネスワークフロー
には、RGBマップが2つあって、ひとつがディ
フューズカラー(アルベド)で、もうひとつが反射
率の値(スペキュラ)である。スペキュラマップを
使うことで、マップそれ自体に含まれる不導体マ
テリアルのF0を制御することができる。	
メタル/ラフネスワークフローで述べたように、
SubstanceのPBRシェーダーは、エネルギー保
存の法則を制御している。このことはスペキュ
ラ/グロッシネスワークフローではさらに重要な
意味をもつ。というのも、スペキュラマップが不
導体のF0をフルコントロールしているが故に、も
し正しくない値が含まれていると、マップがより
影響を受けやすくなるからである。	
メタル/ラフネスワークフローでのベースカラーマップと同様に、ディフューズマップにはアルベドカラーが含まれている。	
  
しかし、ディフューズマップには反射率の値は一切含まれていない。	
作成のガイドライン
ディフューズマップはアルベドカラーのみである。図22に示すように、金属は拡散色(ディフューズカラー)を持っていないため、
生の金属(ローメタル)を示す領域は黒(0.0)になる。酸化が発生した場合、金属領域は色を含むようになり、もはや生の金属とし
てあつかわれなくなる。汚れや、生の金属の上に不導体の層(レイヤー)を作り出すその他のエフェクトについても同様である。	
	
色調という意味では、ディフューズマップのガイドラインは、ベースカラーマップのそれと同じである。しかしながら例外として、生
の金属(ローメタル)が存在する場合、0.0(黒)の値が許可され、暗めの値の範囲に関するガイドラインによって支配されなくなる。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 14
図23
スペキュラマップは、
異なる不導体マテリアルの
値をひとつのマップの中で
オーサリングできるように
する
図22
スペキュラ(sRGB基準のRGB)
図23に示すように、スペキュラマップは、金属反射率の値および非金属のF0値を定義している。このRGBマップは、異なる	
  
不導体マテリアルの値をひとつのマップの中でオーサリングできるようにする。これが、不導体の反射率が4%にハードコード
されていて、唯一スペキュラレベルチャンネルを介してのみ調整できる、メタル/ラフネスワークフローとの違いである。	
  
メタル/ラフネスワークフローで触れたように、F0値のデータは現実世界の測定値から導出されるべきである。不導体のF0値は
グレースケールとなり、いくつかの金属は異なる波長の光を吸収するように金属反射率を色づけすることができる。	
	
作成のガイドライン
スペキュラマップは金属と非金属の両方のF0値を含んでいるので、各々のマテリアルタイプに応じて個別のカテゴリーに
マップを分割すること。	
生の金属(ローメタル)
F0値は、現実世界のデータに基づくべきである。メタリックマップで説明したように、酸化や非金属であることを示す	
  
レイヤーがある場合には、ローメタルの反射率を低くする必要がある。スペキュラ/グロッシネスワークフローの場合に
は、図24に示すように、汚れや酸化した部分は、ディフューズマップ内のローメタルのディフューズカラーを上げ、	
  
スペキュラマップ内の反射率の値を下げる。例として、図24に示されているローメタル上の汚れ層を見てみよう。	
  
スペキュラマップ中の「汚れ」が、適切な不導体のF0値を含んでいる。この場合では、0.04(4%)を使用している。
vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 15
図25
図24
不導体(誘電体/絶縁体)
不導体マテリアルのF0は、同様にスペキュラマップ中にオーサリングされる。ここであなたはF0値を完全に	
  
制御し、しかし、それは正しいデータを使用することが重要である。第一巻で説明したように、非金属(絶縁体/
誘電体)は、電気伝導性に劣っている。屈折光は散乱および/または吸収され、(多くの場合サーフェイスから再
放出されるとはいえ、)それらのマテリアルが反射する光の総量は、金属よりも遥かに少ない。一般的な不導体
の場合、その値は屈折率(IOR)から計算されたF0ベースで2〜5%ぐらいだろうと既に説明した。図25に示すよ
うに、宝石を除き一般的な不導体マテリアルについては、そのF0はリニアで0.02〜0.05の範囲内にある。sRGB
で言うと、sRGBで40〜75というスケールの範囲が、リニアでの0.02〜0.05(2〜5%)の範囲と重なっている。	
	
もしある特定のマテリアルのIOR値を見つけることができない場合は、4%(0.04は、プラスチック)を使うとよい。
図21に示したように、宝石は例外であって、リニアで0.05〜0.17の範囲を持っている。シェーダーには、リニアで
0.0〜0.08の範囲がマッピングできる。ゼロは空気を表現するために必要とされる。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 16
1.スペキュラマップには、不導体のF0とローメタルの反射率の値が含まれている。
	
2.不導体は金属よりも、はるかに少ない量の光を反射する。一般的な不導体の値は約2〜5%であり、
  sRGB基準ではsRGB 40〜75の値となる。これはリニアでの0.02〜0.05と重なっている。
	
3.一般的な宝石は、リニアで0.05〜0.17の範囲内に収まる。
	
4.一般的な液体は、リニアで0.02〜0.04の範囲内に収まる。
	
5.ローメタル(生の金属)の反射率値は、スペキュラ(鏡面反射)で70〜100%の範囲までに高くなるが、
  それをsRGBでマッピングすると180〜255になる。
	
6.もしある特定のマテリアルのIOR値を見つけることができない時は、4%(0.04はプラスチックにあたる)を使うとよい。
	
図26
1.創造的に、かつ、そのサーフェイスにまつわるストーリーを視覚的に語ること。
図27
作成のガイドライン
グロッシネス(光沢度)(リニア基準のグレースケール)
グロッシネスマップは、図26に示すよう
に光の拡散を引き起こす、サーフェイス
の凹凸を記述するものである。グロッシ
ネスマップでは、黒(0.0)がラフなサー
フェイスを表し、白(1.0)がスムーズな
サーフェイスを表している。これは、メタ
ル/ラフネスワークフローにおける、ラフネ
スマップの逆である。グロッシネスマップ
には、すでにラフネスの章で述べたのと
同じ、アーティスト向けのガイドラインが
適用できる。	
光の拡散を引き起こす、
サーフェイスの表面の
凹凸を記述する
解像度とテクセル密度
両方のワークフローにおいてエッジへのアーティファクトがどのように発生するについてすでに論じている。メタル/ラフネスの
章で詳しく説明したことだが、エッジへのアーティファクトはメタル/ラフネスワークフローのほうがより顕著に表れやすい。また
同時にスペキュラ/グロッシネスにおいては、ローメタルはディフューズカラーを持たないので、ディフューズマップに黒が含ま
れていることも述べた。図27に再度示すように、黒の値は、ノンメタルのディフューズカラーに補間されて、黒のフリンジの原
因となる。	
ここで、ドキュメントの解像度とテクセル
密度が、エッジのアーティファクトの可視
性に対し直接的な影響を与えることを、
繰り返し言っておこう。例えば、メタルとノ
ンメタルの間の遷移領域を作成するため
にハードエッジブラシを使っているとして
も、ドキュメントの解像度が低いとその
エッジは以前としてソフトのままになって
しまうので、結果アーティファクトが酷く
なってしまう。この低解像度の問題は、	
  
ドキュメントの解像度に対して十分なテク
セル密度を提供できるようスケーリングさ
れていないUVによっても、同様に引き起
こされる。図28に再度示すが、UVに最適
なテクセル密度を提供することが、この
問題をコントロールするためのベストの
方法である。
vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 17
1.テクセル密度と解像度が、スペキュラ/グロッシネスワークフローにおいて表れる黒フリンジに影響する。
  使っているUVがアーティファクトを最小化すべく、ドキュメントの解像度に合わせて最適な密度を提供しているか、
  確認すること。
ドキュメントの解像度とテクセル密度は、エッジのアーティファクトの可視性
に対し直接的な影響を与える
スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフローの長所と短所
1.エッジアーティファクトが目立ちにくい。
	
2.スペキュラマップ中の不導体F0値に対するコントロールができる。	
	
短所
1.スペキュラマップが不導体F0をコントロールできるので、もし不正確な値が使用されているとより影響を受けやすくなって
  しまう。シェーダー中で正確に扱われないと、エネルギー保存の法則を破ってしまうことがある。
	
2.追加のRGBマップで、より多くのテクスチャメモリを消費してしまう。	
3.伝統的なワークフローと同じテクニカルタームを使っているにも関わらず、違うデータを必要とするので、より混乱を
  招きやすい。もしシェーダー側に処理されない場合、物理ベースのガイドラインに関するより多くの知識を必要とする。
  例えば、不導体の正確なF0値、ディフューズカラーでローメタルが黒になること、エネルギー保存の法則をきちんと守る
  ことなど。
ビデオウォークスルーもご利用ください:http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
図28
作成のガイドライン
長所
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 18
Sunstance Designerでは、アンビエントオクルージョンは、統合されたベーキングツールセットを使うことで、メッシュもしくは
ノーマルマップからベイクすることができる。さらに図30に示すように、ハイトをアンビエントオクルージョンに変換するアンビ
エントオクルージョンノードもある。	
図31に示すように、Bitmap2Materialを使って、ソース画像からアンビエントオクルージョンを生成することもできる。	
図29
図30
アンビエントオクルージョ
ンは、ディフューズの寄与
のみに影響を与え、スペ
キュラの寄与を塞がないよ
うにしなければならない。
両方のワークフローに共通するマップ
アンビエントオクルージョン
アンビエントオクルージョン(AO)マップは、サーフェイス上の一点に到達可能な周囲の(アンビエントな)環境照明がどれほ
どあるか定義するマップである。アンビエントオクルージョンは、ディフューズの寄与のみに影響を与え、スペキュラの寄与
を塞がないようにしなければならない。Unreal	
  Engine	
  4のように、いくつかのエンジンは、スクリーンスペースリフレクション
のためのオプションを持っており、ローカルリフレクションをシミュレートするためのオプションがある。アンビエントオクルー
ジョンをスクリーンスペースリフレクションと一緒に使うのは、ベストコンビネーションだ。	
Substance	
  PBRシェーダーでは、(環境
マップから生成された)アンビエント照
明にアンビエントオクルージョンが乗
算される。 アンビエントオクルージョン
マップはPBRシェーダーのテクスチャサ
ンプラーから与えられ、図29に示すよ
うなオプション的なチャンネルである。
アンビエントオクルージョンはテクス
チャマップに焼き込まれるべきもので
はなく、シェーダーに与えられる時に
は必ずそれ自身独立したチャンネルと
して与えられるものである。	
アンビエントオクルージョンの作成
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 19
ハイトマップは、レンダリングにおいてし
ばしばディスプレイスメントとして用いら
れるが、PBRの場合には視差(parallax)
マッピングのために使われることで、図
32で示すように、際だったデプスと結果
生み出される強烈なリアリズムをノーマ
ルおよびバンプマッピングに足すために
用いられる。Substance Designerはレ
リーフマッピング視差アルゴリズムを使
用する。ハイトマップは、テクスチャサン
プラーでPBRシェーダーに与えられ、オ
プション的なチャンネルである。また図
32に示すように、Substance Designer
では、シェーダー上のレリーフパラメタを
使うことでその効果をコントロールするこ
とができる。
アンビエントオクルージョンと同様に、統合されたベーキングツールセットを使用することで、Substance Designerはメッシュ
からハイトをベイクすることができる。また図33に示すように、ノーマルマップからハイトをコンバートするための、
Normal to Height ノードがある。
図34に示すように、Bitmap2Materialを使って、ソース画像からハイトを生成することもできる。Substance Designerのベク
ターもしくはビットマップペインティングツールを使って、ハイトデータを自分で塗ってしまうことすらできる。とは言っても、ハ
イトをペイントするためのベストの方法はSubstance Painterを使うことで、図35に示すように、3Dメッシュに直接に詳細に
ペイントすることができる。
図32
ハイトは視差(parallax)マッピングに使われ、際だったデプスと結果
生み出される強烈なリアリズムを加えるために用いられる
図31
ハイト(高さ)
ハイトの作成
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 20
図33
図34
図35
Bitmap2Materialは、
ソース画像からハイトを
生成することができる
Substance Painterを
使ってハイトをペイント
することができる
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 21
Bitmap2Materialは、
ソース画像からノーマル
を生成することができる
図37
ノーマル(法線)マップは、サーフェイスの細部をシミュレートするために使用されるマップで、その使い方ははPBRにおい
ても、非PBRのワークフローと同様である。しかし、たとえノーマルマップがサーフェイスの細部をシミュレートするにしても、
ノーマルマップからサーフェイスの細部情報を取り出し、ラフネスやグロッシネスマップに対し同じように影響するようにし
ておくのは有益なことだ。	
図36
ノーマル(法線)
ノーマルの作成
ノーマルマップは、統合されたベーキングツールセットを使用し、Substance	
  Designerでメッシュからベイクすることがで
きます。また図36に示すように、ハイトをノーマルマップに変換するノーマルノードがある。図37に示すように、
Bitmap2Materialを使って、ソース画像からノーマルを生成することもできる。Substance	
  Designerのベクターもしくは
ビットマップペインティングツールを使って、ハイトデータを自分で塗ってしまい、さらにノーマルノードを使って、それら
をノーマルデータにコンバートすることもできる。Substance	
  Painterでペイントされたハイトデータを、ノーマルマップとし
てエクスポートすることもできれば、同じ様にダイレクトにノーマルデータをペイントしてしまうことも可能だ。	
Substanceツールセットを使用して、ノーマルをベイクしたり、変換して
作ることができる
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 22
このセクションでは、PBRテクスチャをオーサリングしたり正確な反射率の値を設定することを支援する、いくつかのSubstance
ユーティリティについて説明する。ユーティリティは、マテリアル、補正、値に基づきセクションごとに分類されている。これらの
ノードは、このマニュアルに記載されている原則と概念に基づいて設計されたものだ。
Substance PBR ユーティリティ
マテリアル
Bitmap2Material 3
B2M	
  3は、スタンドアロンのアプリ(Indie/Pro)もしくはSubstanceマテリアル(Proのみ)として提供されるが、それはたった
一枚イメージソースを投入すれば、メタル/ラフネスもしくはスペキュラ/グロッシネス用のPBRマップを作成する。またマッ
プをタイル化することもできるし、ライトキャンセル機能を利用してアルベドを作成したり、ノーマルやハイトマップを作成
するにも優れている。図38に示すように、B2M	
  3は各種マテリアルのベーステクスチャを作成するための実に素晴らし
いツールである。	
図38
PBRベースマテリアル
本ノードは、完全なベースマテリアルを作るためのユーティリティで、図39に示すようにSubstance	
  Designerライブラリの
Filters>PBR	
  ULliLes以下より見つけることができる。本ノードは、メタル/ラフネスとスペキュラ/グロッシネスワークフ
ローの両方をサポートしている。本ノードは、ローメタルマテリアルの一般的なプリセットを提供すると同時に、ノンメタ
ル作成用に不導体のアルベドを設定することができる。また、グランジ(汚れ)量オプションを使って、ワークフローに応
じてラフネスおよびグロッシネスをコントロールすることができる。また別の方法として、Substance	
  Painterで作成した
ベースマップをインポートしている場合、カスタムマップインプットの追加を選択してみると、うまく機能してくれる。この
方法を使うことで、他の様々なマテリアルとブレンドすることができるマテリアルノードを素早く作成することができる。	
図39
ビデオウォークスルーもご利用ください:
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 23
図40
PBR Substanceマテリアル
Substance	
  DesignerおよびSubstance	
  Painterには、PBRキャリブレーション済みのマテリアルが搭載されている。それらは
Substanceフォーマットにコンパイルされた、プロシージャル、ハンドペイントおよび写真から作られたマテリアルのコンビ
ネーションである。Substanceマテリアルなので、それらにはテクスチャの外観を各種のパラメターを使ってダイナミックに
コントロールできるという利点がある。それらのおかげで、マップをゼロからオーサリングすることなく、高速かつ効率的
な手法を使ってPBRコンテンツを制作できる。	
	
Substance	
  Designerでは、Substance素材は、PBR	
  Materials下のLibraryで見つけることができる。そこには、
Gametextures.comによって提供されている、ハンドペイントのPBRマテリアルのセットもある。あなたが所有する
Allegorithmicのアカウントから、追加のGametextures.com製PBRマテリアルをダウンロードすることも可能だ。	
	
Substance	
  Painterでは、Substance素材はシェルフ内のマテリアルタブの中にある。そこには同様にGametextures.comか
らのマテリアルのセットもある。Gametextures.comマテリアルを、あなたが所有するAllegorithmicアカウントからダウン
ロードして、マテリアルタブにインストールすることができる。	
	
Substance	
  DesignerおよびSubstance	
  Painterで提供されているコンテンツに加えて、Substanceデータベースには莫大な
量のPBRキャリブレーション済みのマテリアルが収録されている。それらもまた、Substanceフォーマットにコンパイルされ
た、プロシージャル、ハンドペイントおよび写真から作られたマテリアルのコンビネーションである。	
反射率値
不導体F0
図40に示すように、このノードは一般的な不導体マテリアルのF0値を出力する。プリセットから値を選択してもよいし、
IORインプットフィールドにIOR値を入れて、F0値を計算することもできる。このノードは不導体マテリアル向けに設計さ
れており、スペキュラ/グロッシネスワークフローで使われる他にも、メタル/ラフネスワークフローのスペキュラレベル
チャンネルとして使用される。	
ビデオウォークスルーもご利用ください:
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide	
金属反射率
このノードは、一般的なローメタルマテリアルの反射率の値を出力し、Substance	
  DesignerライブラリのFilters>PBR以下
にある。図41で示すように、いくつかのプリセットのメタル値から選択することができる。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 24
図42
ビデオウォークスルーもご利用ください:
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide	
コレクション(補正)
PBR メタル/ラフネス検証(バリディト)
このノードはメタル/ラフネスワークフローで動作するように設計されており、図42で示すように、ベースカラーおよび
メタルマップの不正な値をチェックするユーティリティである。このノードはSubstance	
  DesignerライブラリのFilters>
PBR以下にあって、ノードは赤から黄色、緑へと変化するヒートマップを出力する。赤は不正な値を示し、緑/黄色が
正しい値である。金属に関しては、メタリックマップ中において(sRGBで235を越える値によって)「金属」と示されてい
る領域に対し、それに対応するベースカラー中のF0値を、本ノードはチェックする。ヒートマップは、F0のレンジが低
すぎる可能性がある範囲を表示する。アルベドに関しては、本ノードは不導体の輝度範囲が正確かどうかをチェック
する。	
図41
ビデオウォークスルーもご利用ください:
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 25
図43に示すように、このノードは、ベースカラーまたはディフューズマップの値を補正する。本ノードを使うことで、それらの値
は確実に不導体の補正済み輝度レンジ内の収まることになる。本ノードは、Substance DesignerライブラリのPBR Utilities下
にある。
図43
コンバージョン(変換)
BaseColor_metallic_roughness_to_diffuse_specular_glossiness
図44
PBR セーフカラー
ビデオウォークスルーもご利用ください:
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide	
図44に示すように、このノードは、メタル/ラフネスワークフローからスペキュラ/グロッシネスワークフローへとマップを変
換する。本ノードは、Substance	
  DesignerライブラリのPBR	
  ULliLes下にある。
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 26
付録 ‒ チャート
サーフェイスはメタルか?
図45
図46
あるサーフェイスを、メタルかノンメタルかにブレイクダウンしてみると、とてもわかりやすくなる。私はテクスチャ作成プロセ
スを開始するにあたって、多くの場合、まずマテリアルをじっくりと調べた後で、自分がメタルを作ろうとしているのか、それ
ともそうでないのかを自分自身に尋ねている。この質問を通じて、図45および46で示すような、この巻全体を通じて説明し
てきたテクスチャ作成プロセスのガイドラインを導き出すことができる。図45はメタル/ラフネスワークフローを用いており、
図46はスペキュラ/グロッシネスワークフローである。	
サーフェイスはメタルか?	
メタル/ラフネスワークフロー	
(メタルマップ内の白)	
ベースカラー(アルベド)
・カラーが表すのは、非金属の場
合アルベドで、金属の場合反射率
の値である	
	
・生の金属はディフューズカラーを
持っていないので、黒になる。金
属のディフューズカラーは、マップ
で作成されない	
	
・マイクロオクルージョンの例外を
除き、ライティング情報を欠いてい
るべきである	
ベースカラー(反射率)
・反射率は、ベースカラー中に
作成される	
  
	
・スペキュラで70〜100%は、
sRGBで180〜255にあたる	
  
	
・現実世界の測定値を使用す
ること	
  
	
・金属上に酸化や汚れ層があ
る時、反射率カラーは、非金
属を考慮して下げられなけれ
ばならない	
(メタルマップ内の黒)	
ベースカラー(アルベド)
・値は、反射されたカラーを表す

	
・暗めの値は、sRGBで30(ゆるめ
の範囲)〜sRGBで50(厳密な範
囲)を下回ってはいけない	
	
・sRGBで240を越える明るい値は
ない	
不導体反射率
・4%(リニアで0.04)の決め打ちの
値となり、マップで作成されない	
*ただし、スペキュラレベルチャン
ネルを除く	
	
・現実世界の測定値を使用するこ
と	
	
・リニアで0.02を下回る値はない	
	
・値が見つからない場合には、
0.04(4%)を使うこと	
サーフェイスはメタルか?	
スペキュラ/グロッシネスワークフロー	
ディフューズ(アルベド)
・カラーが表すのは、非金属の場合アルベドで、生の金属の場合
には黒(0.0)である。
・値は、反射された色を表す
・暗い値は、sRGBで30(ゆるめの範囲)∼sRGBで50(厳しめ
の範囲)を下回ってはいけない
・sRGBで240を上回る明るい値はない
・マイクロオクルージョンの例外を除き、ライティング情報を欠
いているべき
スペキュラ(反射率)
・金属反射率および不導体FO値は、スペキュラマップ内に作成さ
れている
・金属のスペキュラは70∼100%、これはsRGBで180∼255に
あたる
・一般的な不導体は2∼5%、sRGB基準だとその値はsRGBで
40∼75になっているべきだが、それはリニアで0.02∼0.05の範
囲と重なっている
・現実世界の測定値を使用すべき
・金属に酸化または汚れ層がある時、反射率カラーは非金属を考
慮して下げられなければならない
・リニアで0.02を下回る値はない
・値が見つからない時には、0.04(4%)を使用すること
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 27
反射率値
図47は、不導体F0の範囲を示している。不導体は金属よりも、はるかに少ない量の光を反射する。一般的な不導体の値は
約2〜5%であり、sRGB基準ではsRGB 40〜75の値となる。これはリニアでの0.02〜0.05と重なっている。図48で、不導体
F0と金属反射率の値を共に見ることができる。金属に関しては、スペキュラレンジは70〜100%内であり、sRGB値で180〜
255にマッピングされる。	
図47
図48
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 28
正確/不正確の比較
図49より、メタル/ラフネスワークフローを使用して、正確に作成したマップと不正確に作成したマップの例を見てみる。汚れおよ
び塗料の不導体層はアルベド値が暗すぎるし、しかもメタリックマップ中において汚れが生の金属としてマークされている。また、
ベースカラー中において金属反射率の値が低すぎる値にセットされており、70〜100%のスペキュラレンジで反射しない。	
図50より、スペキュラ/グロッシネスワークフローを使用して、正確に作成下マップと不正確に作成したマップの例を見てみる。
生の金属の全てが、ディフューズマップ中の値が明るくなりすぎている。生の金属は黒でなければならない。不導体の塗料や汚
れの層は、ディフューズマップ中のアルベド値が暗すぎる。汚れ層は、スペキュラマップ中でF0値が明るすぎる。汚れのF0値は
不導体の範囲と一致しない。
図49
図50
vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 29
Allegorithmicが開発する、新世代の3Dテクスチャリングソフトウェア:Substance Pinter、Substance Designerおよび
Bitmap2Material。ほとんどのAAAゲームスタジオではこれらのツールを使用しており、Substanceは、次世代のPBR(物理
ベースレンダリング)のアセット作成のためのスタンダードとなっている。
Substanceの詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。	
www.allegorithmic.com
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 30
vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 30
日本語訳:Nobuyuki Kobayashi
Twitter @nyaa_toraneko
2015/02/09
本ドキュメントは、Allegorithmic社が公開している
『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE ‒ Vol. 2:
Practical guidelines for creating PBR textures 』
を私家訳したものです。
全ての著作物の権利は、Allegorithmic社にあります。
オリジナル版は、
http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
よりダウンロードできます。

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『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE – Vol. 2: Practical guidelines for creating PBR textures 』 私家訳版

  • 1. 総合PBRガイド by Allegorithmic - vol. 2 光と物質:PBRのテクスチャを作成するための実用的なガイドライン カバー:Gaëtan Lassage、著:Wes McDermott
  • 2. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 1 目次 技術編集:Nicolas Wirrmann および Jeremie Noguer コピー:Alexandre Bagard ●PBRとは何か? - 3  どんな利点があるか? - 3  アーティストにとってどんな意味があるか? - 3 ●メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフロー - 3  不導体F0値 - 5  ベースカラー - 5   作成のガイドライン - 6  メタリック - 7   作成のガイドライン - 8    生の金属(ローメタル) - 8    腐食もしくは不導体の層(レイヤー) - 9  ラフネス(粗さ) - 10   作成のガイドライン - 11  解像度とテクセル密度 - 11   作成のガイドライン - 12  メタル/ラフネスワークフロー  の長所と短所 - 12 ●スペキュラ/グロッシネスワークフロー - 13  ディフューズ - 13   作成のガイドライン - 13  スペキュラ(鏡面反射) - 14   作成のガイドライン - 14    生の金属(ローメタル) - 14    不導体 - 15  グロッシネス(光沢度) - 16   作成のガイドライン - 16  解像度とテクセル密度 - 16   作成のガイドライン - 17  スペキュラ/グロッシネスワークフロー  の長所と短所 ‒17 ●両方のワークフローに共通するマップ - 18  アンビエントオクルージョン - 18   アンビエントオクルージョンの作成 -18  ハイト - 19   ハイトの作成 - 19  ノーマル(法線) - 21   ノーマル(法線)の作成 - 21 ●Substance PBRユーティリティ - 22  マテリアル - 22   Bitmap2Material3 - 22   PBRベースのマテリアル - 22   PBR Substance マテリアル - 23  反射率値 - 23   不導体F0値 - 23   金属反射率 - 23  コレクション(補正) - 24   PBR メタル/ラフネス検証 - 24   PBRセーフカラー - 25  コンバージョン(変換) - 25   メタル/ラフネスの長所と短所 - 25 ●付録 - チャート - 26  サーフェイスはメタルか? - 26  反射率値 - 27  正しいもの/正しくないものの比較検討 - 28
  • 3. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 2 光と物質 PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン 物理ベースレンダリング(PBR)は、厳しい基準というよりももっと方法論よりのものと考えてもよい。具体的な原則とガイド ラインが存在するが、それは真のスタンダードと呼ばれるものでないので、様々な実装の仕方があり得る。特に使用され ているマップのタイプ、すなわち、ワークフローやBRDF、ラフネス/グロッシネス(粗さ/光沢度)のデータの値の表し方など にその違いが顕著に表れているが、それらは実装をカスタマイズすることでリマッピングできる程度のものだ。たとえマッ プ名が変わってしまうような実装があったとしても、基本的な使い方は同様だ。 このガイドでは、図01に示されているメタル/ラフネス(金属/粗さ)とスペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)という、二つの最 も一般的なワークフローについて議論を進めていこう。Substance Designer、Substance PainterおよびBitmap2Material 3からなる、PBRマップをオーサリングするSubstanceツールセットは、両方のワークフローをサポートする。メタル/ラフネス (金属/粗さ)およびスペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)のためのSubstance PBRシェーダはGGX BRDFを使用しており、 いかなるラフネス/グロッシネス(粗さ/光沢)値のリマッピングも利用しない。しかしながら、もしカスタムリマッピングが必要 な場合は、Substanceマテリアルを使うことで簡単に実現できる。さらにSubstanceツールセットの中ではカスタムシェーダ がサポートされているから、どんなにカスタマイズされたパイプラインに対してもSubstanceを適応させることができる。 ここで強調しておきたいのは、二つのワークフローにはその実装において各々長所と短所を持っているから、一方のワー クフローが必ずしももう一方のものよりも遥かに優れているということではないということだ。本当に重要なことは、あなた 方自身がPBRの背後にある基本原則を十分に理解していることだ。コンセプトとガイドラインこそが、あなた方が作るPBR マップを正確なものにするのであって、決してそのワークフローそれ自体ではないということだ。同じデータをあらわしてい るワークフローでも、違ったやり方でそのデータを実装しているのだ。 第一巻である「総合PBRガイド」においては、技術的、理論的な観点からPBRを定義した。この第二巻では、PBRテクスチャ をオーサリングする際の現実的な適用応について議論し、第一巻で打ち立てた基礎に基づく一連のガイドラインを提供す る。まずはアーティスティックな観点から、PBRを再定義することからはじめよう。そこから、メタル/ラフネス(金属/粗さ) ワークフローを論じることで、その原則とガイドラインを導き出そう。その後で、スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢)ワーク フローのフォローアップを、オーサリング方法の違いという観点から詳しく述べてみよう。結果、両方のワークフローを通し で読むことで、PBRテクスチャをオーサリングするための総合的なガイドラインの全体像をつかむことができる。 図01
  • 4. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 3 メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフローは、PBR シェーダーのサンプラーにテクスチャとしてセット されるチャンネル群として定義される。図02に示 すように、メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフ ローのために具体的に使われるマップは、ベー スカラー、メタリックおよびラフネスである。私たち は以下のサブセクションで、これらマップタイプの 各々について論じることにする。図03に示すよう に視差(parallax)マッピングのために、PBR シェーダはアンビエントオクルージョン、ノーマル (法線)およびハイト(高さ)マップを使うこともある。 これらのマップタイプは、両方のワークフローに 共通するものだが、これらについては「両方の ワークフローに共通マップ」で説明をしよう。 PBRとは何か? 物理ベースレンダリング(PBR)とは、光とサーフェイスの相互作用のより正確な表現を提供するシェーディングおよびレンダリ ング手法である。それは、物理ベースレンダリング(PBR)、または物理ベースシェーディング(PBS)と呼ぶことができる。パイプ ラインのいずれの側面が論じられているかにもよるが、通常PBSといえば、シェーディング概念について特化した概念であり、 PBRといえばレンダリングおよびライティング面について特化した概念である。しかしながら、二つの用語が共に表現している のは、物理的に正確という観点からアセットを表現するプロセスそのものである。 どんな利点があるか? 芸術的および生産効率的な考え方から、PBRの利点は以下のようにあげることができる。 アーティストにとってどんな意味があるか? アーティストとして私たちは、あるサーフェイスの属性を表現するマップについて違う方法で考える必要がある。従うべきルール やガイドラインに沿った新しいタイプのマップがある。 伝統的なレンダリングワークフローから、ディフューズ(拡散反射)とスペキュラ(鏡面反射)マップの概念を捨てる必要がある。こ れらのマップは、マテリアルと光との相互作用を近似するために用いられてきた、ある種の回避策のようなものであるからだ。コ ンピュータハードウェアとレンダリング技術の進歩の結果として、わたし達は今やより正確に光の物理現象をシミュレートするこ とが可能となった。 PBRでは、エネルギー保存の法則とBRDFに基づいて、シェーダーが重い物理学的リフティングを処理するので、わたし達アー ティストは、物理学的な原理をガイドとしてマップを作成すればよい。それにはマテリアルの様々な値を推測するという作業が省 かれているので、わたし達はアーティストとして、テクスチャリング作業のもっとクリエイティブな面に時間を費やすことが可能と なる。正しくガイドラインに沿って、マップを正確にオーサリングすることは重要であるが、だからと言ってわたし達のアーティスト としての直感を無視せよという意味ではない。実際に、芸術的な視点こそが、入念に創り上げられた細部と表現を通じてマテリ アルに個性を与え、それが内に秘めた物語を伝えてくれるのだ。重要なことは、必要以上に物理学に囚われないことだ。わたし 達がより物理的に正確な環境で作業しているからといって、わたし達がずっと培ってきたアートを行ってはいけないという意味で はない。たとえば、ディズニーの物理ベース反射モデルは、厳密な物理的モデルにではなく、よりアートディレクション向けに作 業しやすいという意味で、「理にかなった」アプローチとして設計されている。同じように、わたし達も原則を知り、ガイドラインの 活用の仕方を知らねばならないが、決してその奴隷であってはならない。 図02 1.物理的に正確な数式に基づいて方法論とアルゴリズムが定義されているので、鏡面性のようなサーフェイスの属性   をオーサリングする際に、推測を排除しつつ現実味のあるアセットをより簡単に作り上げることができる。 2.アセットが、あらゆるライティング条件下で正確に見えるようになる。 3.異なるアーティスト間においても、一貫性のあるアートワークを作成するためのワークフローを提供する。 アーティストとしてわたし達は、あるサーフェイスの属性を描写するマップについて今までとは 違った考え方をする必要がある。新しいマップタイプには、従うべきルールやガイドラインが 存在する。 メタル/ラフネス(金属/荒さ)ワークフロー
  • 5. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 4 メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローにおいて、金属の反 射率の値は、絶縁体の反射色と、BRDFによって処理される 反射率と一緒にベースカラーマップ上に配置される。使われ ているメタリック(金属)マップは、ベースカラーマップ上にある 金属部分と絶縁体部分のデータを区別するためのマスクとし て機能する。不導体のF0値は、マニュアルではいじらず、 シェーダに処理させる。図04に示すように、メタルマップ中の 黒い部分をシェーダーは、ベースカラーマップ中の対応する 金属のための反射率の値は、絶縁体の反射色と一緒にベースカラーマップに配置 される メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローでは、エネルギー 保存の法則を破ることはできない。ディフューズ(反射色)と スペキュラ(鏡面反射)のバランスは、メタリックマスクを 使って調整できるが、それらのディフューズやスペキュラを いくら組み合わせても、最初に受けた光よりも強力な反射 光や屈折光を設定することはできない。 図04 図03 領域に対して、不導体かつ反射率の値が 4%(0.04)として解釈する。第一巻で論じ たように、4%という値は、一般的な不導体 マテリアルのほとんどをカバーしている。 不導体F0値、金属反射率、アルベドカラー の輝度のような全ての値が、実際に測定さ れたデータから導き出されていることが重 要である。各々のマップタイプを見ていく際 に、測定データに基づくものとしてガイドラ インは論じられることになる。   第一巻で、わたし達はエネルギー保存の 概念について説明したが、それによれば 光は、あるサーフェイスに衝突する以前に 持っていた「強さ」以上の強さで、サーフェ イスから反射することはない。実装面では、 エネルギー保存のコントロールは主に シェーダーが制御するが、それは Substanceの場合も同様である。
  • 6. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 5 不導体F0値 SubstanceツールセットやUnreal Engine 4 に見られるような、ある種のメタル/ラフネス (金属/荒さ)の実装にはスペキュラコント ロールがあるが、それを使うことでアーティ ストは不導体のコンスタントなF0値を変化さ せることができる。Substanceでは、このア ウトプットには「スペキュラレベル」 (specularLevel)のラベルが付いているが、 それはメタル/ラフネス(金属/荒さ)PBR シェーダー内のテクスチャサンプラーが提 供するものだ。図05に示すように、それは 0.0から0.08までの範囲で表される。ある不 導体のF0を手動で設定する必要がある場 合は、図06に示すように、Substance Designer内のSubstanceグラフ中の「スペ キュラレベル」(specularLevel)の出力を 使って設定することができる。スペキュラ/ グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフローで も、不導体のF0に関して詳しく検討すること にしよう。 ベースカラーマップは、図07に示すように不導体の反射カラーと金属の反射率の値という2種類のデータを内蔵できる RGBマップである。第一巻で説明したように、不導体が示す色は反射された電磁波を表している。反射率の値が含まれ るのは、メタリックマップ中でメタル(金属)として示されている領域である。 もしある不導体のF0を手動で設定する必要がある時には、Substance Designer 内の 「スペキュラレベル」(specularLevel)の出力を使って設定することができ る 図05 図06 ベースカラー(sRGB基準のRGB)
  • 7. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 6 図09 図07 図08 ベースカラーマップは、色調の面でやや平坦 なもの、すなわち従来のディフューズマップよ りも低いコントラストのものとして考えることが できる。明るくしすぎてもいけなければ、暗くし すぎてもいけない。色調という観点からいえば、 物体はわたし達が頭の中で思っているよりも、 はるかに淡いものである。この範囲を、石炭を 最も暗い材質とし、新鮮な白い雪を最も明る い材質とすることで視覚化できる。例えば、確 かに石炭は暗いが、それは0.0の黒ではない。 わたし達が選ぶカラー値は、ある輝度の範囲 内に収まっている必要がある。輝度の範囲に 関しては、私は主に不導体の反射色を参照し ている。図08では、ダート(dirt/汚れ)値が正 確な輝度の範囲を下回った例を見ることがで きる。暗めの値に関して、sRGBで30〜50を下 回るような値をとるべきではない。 作成のガイドライン 図09に示すように、アンビエントオクルージョンチャンネルのみ に関してシェーダーがこの程度の詳細表示しかできないような 場合には、マイクロオクルージョンを足してもよいという例外は ある。しかしマイクロオクルージョンがマップに足されている場 合でも、それは依然として輝度の範囲によって支配されている 必要がある。 暗めの値の範囲としては、sRGB 30で比較的緩めの値であり、 sRGB 50でかなり厳しめの値となっている。明るい色に関して は、全ての値がsRGBで240よりも上の値をとるべきではない。 ベースカラーは不導体マテリアルの反射光のデータを含んで いるので、故にアンビエントオクルージョンのようなライティング 情報を欠いているべきであると述べた。 http://seblagarde.wordpress.com/ 2014/04/14/dontnod-physically-based- rendering-chart-for-unreal-engine-4/ 金属の反射率の値を示すマップの値は、現実 世界の測定データから得るべきである。これ らの値は鏡面反射で70〜100%の範囲にあり、 sRGBで180〜255の範囲にマッピングすること ができる。
 Substance PBRユーティリティの章において、 よくあるマテリアルのプリセットF0値を提供す るツールについて説明しよう。   またSébastien Lagardeが提供している、メタ ル/ラフネス(金属/粗さ)のチャートも同様にリ ソースとしては非常に有用である。 金属の反射率を示す値は、 現実世界の測定データ から得るべきである
  • 8. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 7 1.色は、非金属マテリアルのアルベドと金属の反射率の値で表現する。 2.ベースカラーは、マイクロオクルージョンの例外を除き、ライティング情報を欠いている必要がある。 3.暗い値は、sRGBで30(緩めのレンジ)〜sRGBで50(厳しめのレンジ)を下回ってはいけない。 4.明るい値が、sRGBで240を上回ってはいけない。 5.ローメタル(生の金属)の反射率は、鏡面反射で70〜100%という高い値をとり、sRGBで180〜255程度にマッピングできる。 後述するメタリックの章で読むことになるが、ベースカラーにはまた、金属の反射率の値を含めることができる。汚れや酸化 をベースカラーに追加する場合、これが金属の反射率の値を、生のままのメタルで想定している範囲を下回ってしまうことが ありうる。汚れや酸化を加える場合は同時にメタリックマップについても考慮されなければならない。従ってこれらの領域は、 メタリックマップでは値が引き下げられなければならないが、それはもはや生のままのメタルであるとはみなされていないと いうことを意味しているのである。例として図10では、錆びた金属が不導体として扱われていて、メタリックマップ中では黒に 設定されているのがわかるだろう。 同様にメタリックマップは、ベースカラー中のデータがどのように解釈されるべき かシェーダーに指示するためのマスクとして動作する メタリックマップは、生の金属(ローメタル)をマテリアルとしている領域を示すために定義するために使用する。メタリックマップ はグレースケールマップである。同様にそれは、ベースカラー中のデータがどのように解釈されるべきかシェーダーに指示する ためのマスクとしても動作する。メタリックマップ中のデータには、現実世界のデータは含まれておらず、それはそのままマテリ アルの値として使用される。それはただ単に、ベースカラー中のどの領域が反射色(不導体)として解釈され、そしてどの領域が 金属の反射率の値として表されているのか、シェーダーに記述する。メタリックマップにおいて、0.0(黒、すなわちsRGBで0)は 非金属(ノンメタル)であることを示し、1.0(白、すなわちsRGBで255)は生の金属(ローメタル)であることを表している。ローメタ ルとノンメタルを定義するという点で、このメタリックマップは、多くの場合、二値(黒または白、要するに、金属もしくは非金属)と なる。実際に、シェーダーがメタルマップの白い部分を確認すると、図11に示すようにシェーダーは、金属の反射率の値を得る ための場所として、ベースカラーマップ中の該当する領域をチェックする。 図10 メタリック(リニア基準のグレースケール)
  • 9. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 8 図12 図11 作成のガイドライン テクスチャ作成に関して、メタルサーフェイスには二つの重要な側面がある。それはその反射率の値が鏡面反射で70〜 100%の範囲にまで高く及ぶということと、いくつかの金属は腐食されるということである。作成のガイドラインを議論する 際に、これらの二つの側面を個別に見ていくことになる。 金属領域として指定される場所に関しては、反射による照り返しで70∼100% の範囲内の反射率を持たねばならない 生の金属(ローメタル) メタルマップは、0または1、すなわ ち金属であるか否かに従ってオー サリングされるべきであり、生の研 磨された金属の状態を定義するた めに使用される。一般的な指針とし ては、メタルマップ中において生の 金属を示すグレースケールの範囲 は、sRGBで235〜255の範囲で定義 される。この範囲内に入る金属領 域では、図12に示すように、反射 による照り返しで70〜100%の範囲 内の反射率を持たねばならない。 sRGB値でマッピングすると、180〜 255になる。再度強調するが、これ らの値は、現実世界での測定デー タに基づくものである。
  • 10. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 9 Substance ツールセットを使用することで、ウェザリングエフェ クトの作業が簡単になるだけでなく、マルチチャンネルサポー トを通じて、各チャンネルにそのエフェクトがどのように伝播す るか制御することができる。Substance Designer および Substance Painter を使って、Substanceエフェクトのパラメタ を変化させると、Substanceエフェクトによってコントロールさ れているチャンネルが自動的に調整されるのである。 例えばSubstance Designer では、マテリアルカラーブレンド ノードを使うことで、複数のチャンネル間にまたがる汚れのよ うなエフェクトを適用することができる。マテリアルカラーブレン ドでは、図15で示すようにメタリック値のスライダーを調整す ることで、金属上の汚れレイヤーの効果をコントロールするこ とができる。 図13 図14 酸化された金属は、不導体、すなわち 錆びた金属として扱う必要がある。 同じことが塗装された金属についても 当てはまる 腐食もしくは不導体の層(レイヤー) サーフェイスが風雨にさらされることで、 金属はその表面が酸化されてしまったり、 ほこりや汚れの層といったその他の環境 的外見に埋もれてしまうかもしれない。酸 化された金属は、不導体すなわち、錆び た金属として処理する必要がある。同じ ことが塗装された金属にも当てはまる。 例として、図13に示すように、塗装され た金属をみてみよう。その金属の塗装の 一部にはひっかき傷があり、塗装がはげ 落ちている。金属は「生のまま」のメタル (メタリックマップで白で表示される)をむ き出しにし、塗装部は不導体のレイヤー (メタリックマップで黒で表示される)となっ ている。 メタリックマップは、マップ中で遷移するグレー値に よって表されることによって、メタルとノンメタルとで ブレンドされた状態として表すことができる。重要な のは、メタリックマップがsRGBで235以下のグレー値 を持っている場合、続いてベースカラーにおける「生 の」金属反射率の値も低くする必要があるということ である。例として図14に示すような、汚れの層を考 えてみよう。汚れの層の一部は生のメタルの部分に よって不明瞭になっているものとする。汚れが不導 体であり、メタリックマップが全部白で塗りつぶされ てしまっている場合には、ベースカラー中のこれら 汚れの領域を、金属の反射率の値として使うとよい。 汚れのカラー値は、磨かれた金属を表現するのに 必要な70〜100%の反射率の値よりもはるかに低 い。汚れが表示されている領域のメタリックマップの 値を下げることで、不導体と金属の反射率の値の 間で適切なブレンドを作り上げることができる。 汚れ層の不透明度を使って、ベースカラーの反射 率の値をどの程度下げたらよいか示すことができる。 ここには揺るぎないルールはない。 やっていることは、(導電 性の)高反射率のサーフェ イスから、(誘電性の)低反 射率のサーフェイスに値を 動かしているだけだ。動か す度合いはどうとでも変え てよいのである。
  • 11. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 10 図15 1.黒(0.0)は非金属であり、白(1.0)は金属である。酸化や汚れを考慮すると遷移するグレースケールの値もありえる。 2.メタルマップにsRGBで235よりも低い値がある場合には、ベースカラーマップ中の反射率の値を下げる必要がある。 ラフネスマップでは、黒(0.0)は滑らかなサーフェイスを表し、白(1.0)はざらついたサーフェイスを表している。あるサーフェイ スの特徴をアーティストが視覚的に決めてしまってよいという点で、ラフネスマップはもっともクリエイティブを発揮できるマップ である。要するに、ラフネスマップでは、あるサーフェイスの状態にまつわるストーリーを、好きなように決めてしまってよい。そ れが置かれている環境はどんなものか?それは今まで大切に扱われてきたのか、それともないがしろにされてきたのか?そ れは風雨にさらされてきたのか?あるサーフェイスの状態は、それが置かれていた環境について多くのことを伝えてくれる。 故に、あなたが創ろうとしているアセットや世界の全体的なデザインについて、それはさらに多くのことを物語ってくれることだ ろう。 ラフネスには、本当に正しいも、間違っているもない。アーティストがクリエイティブにフルコントロールできる。ラフネスに際し ては、まずはノーマル(法線)マップから始めてみるのがよい。ノーマル(法線)マップは、しばしば重要なサーフェイスの詳細 情報を含んでいるが、それはラフネスマップでも同じように表現できる。 図16 ラフネス(粗さ)(リニア基準のグレースケール) ラフネスマップは、図16に示すように 光の拡散を引き起こす、サーフェイス の凹凸を記述している。第一巻で説明 したように、反射する方向は、サーフェ イスの粗さ(ラフネス)に基づいてラン ダムに変化する。ラフネスは光の方向 を変化させるが、光の強度は一定の ままである。サーフェイスがラフになれ ばなるほど、ハイライトはより大きく、よ りぼやけた見た目になる。滑らかな サーフェイスは鏡面反射の焦点を維 持するので、反射する光の総量は同じ であっても、見た目はより明るくより強 くなる。
  • 12. vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 11 1.創造的に、かつ、そのサーフェイスにまつわるストーリーを視覚的に語ること。 メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローを使うことの副産物 として、図17に示すような、ホワイトエッジのアーティファクト ができてしまうことがある。私たちはメタリックワークフローを 議論しているが、スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度) ワークフローでもこの問題は同様にあらわれる。しかしなが らその場合には、図18で示すように効果が逆転してしまう、 すなわちホワイトの代わりにブラックのフリンジが表れるの でほぼ見えない。 図19に示すようにこのフリンジが、不導体から大変明るい メタルの領域にマテリアルが移行する領域に対するテクス チャ補間が原因なことは、すぐにわかる。 ドキュメントの解像度とテクセル密度は、 エッジアーティファクトの可視性に直接 影響を与える。例えば、ハードエッジブ ラシを使ってメタルとノンメタルの遷移領 域を描いても、ドキュメントの解像度が 低いと、エッジが柔らかいままとなり、 アーティファクトが悪化してしまう。 この低解像度の問題は、ドキュメントの解像度に基づき適切 にテクセル密度を提供するように、UVがスケーリングされて いないことが原因でもある。図20に示すように、UVにふさわ しい良いテクセル密度を使うことが、あらゆるエッジのアー ティファクトを最小化するための最善の方法である。図20で は、両方のテクスチャセットで同じ2048ピクセルの解像度を 使用しているが、右の画像では、テクセル密度が低い悪い UVレイアウトの例となっている。 図17 図18 図19 ドキュメントの解像度とテクセル密度 は、エッジアーティファクトの可視性 に直接影響を与える 作成のガイドライン 解像度とテクセル密度 メタル/ラフネス(金属/粗さ)では、ベー スカラーに金属反射率のとても明るい 値が含まれているので、ノンメタルの ディフューズカラーとで補間されてしま う。それがホワイトエッジを作り出すの である。スペキュラ/グロッシネス(鏡 面/光沢度)では、生の金属(ローメタ ル)はディフューズカラーを持たないの で、ディフューズマップは黒を含むこと になる。黒の値は、ノンメタルのディ フューズカラーに補間されて、今度は それがブラックフリンジを生み出す。
  • 13. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 12 1.メタル/ラフネスワークフローにおいて表れるホワイトエッジに影響しているのは、テクセル密度と解像度である。   アーティファクトを最小にするためには、使っているUVがドキュメントの解像度に合わせて、適切な密度を与えている   か確認する必要がある。 1.オーサリングをより簡単にしつつ、正確でない不導体F0データを与えることで発生する誤差を受けにくくすることができる。 2.メタリックとラフネスの両方がグレースケールマップであることからわかるように、テクスチャメモリを節約できる。 3.より広く採用されているワークフローとみなしてよい。 短所 1.マップ作成において不導体F0をコントロールしない。とはいっても、多くの実装にはスペキュラコントロールがあり、   基本となる4%値を上書きすることができる。 2.解像度が低い場合には特にエッジのアーティファクトがより顕著になる。 ビデオウォークスルーもご利用ください:http://www.allegorithmic.com/pbr-guide 図20 作成のガイドライン スペキュラ(鏡面反射) すべての不導体マテリアルのF0は、通常はメタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローにおける、リニアで0.04すなわち4%の 反射率に設定される。すでに述べたように、いくつかの実装では、スペキュラチャンネルを提供することで、この設定を上書 きすることができる。Substanceでは、これは、スペキュラレベル(specularLevel)チャンネルと呼ばれる。マップ作成のための ガイドラインという点からは不導体F0はより複雑な問題であり、一般的なメタル/ラフネスワークフローでは、その値は0.04で 機能するので、これ以上ガイドラインの議論を続けることをやめ、スペキュラ/グロッシネスワークフローに移ろうと思う。 メタル/ラフネス(金属/粗さ)ワークフローの長所と短所 長所
  • 14. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 13 メタル/ラフネスの場合とまったく同じように、スペキュラ/グロッ シネスワークフローもマップのセットとして定義され、PBR シェーダーのサンプラーにテクスチャとして投入される。図21 に示すように、スペキュラ/グロッシネスワークフローで具体的 に使われるマップは、ディフューズ、スペキュラ、およびグロッ シネスである。スペキュラ/グロッシネスワークフローは、「ディ フューズおよびスペキュラ」のような非常になじみのある名前 を使っているが、これらのマップが、伝統的な手法におけるそ れらのマップと同じものではないということを、しっかりと区別 しておくことが重要である。Substanceでは「ディフューズ」とい う用語を使っているが、いくつかの実装においては、ディ フューズをアルベドとして参照していることがある。またPBR シェーダは、視差(parallax)マッピング用にアンビエントオク ルージョン、ノーマル(法線)、ハイトマップを使用するかもしれ ない。それらのマップについては前に述べたように、「両方の ワークフローに共通するマップ」において説明する。 例えば、ディフューズの白(1.0)とスペキュラ値の白(1.0)を組 み合わせることで、反射/屈折した光は、最初に受けた光より も多くなってしまうが、それはエネルギー保存の法則に反して いる。これはテクスチャをオーサリングするとき、テクスチャ データに当てはまる現実の結果を見ていないという意味する。 やがてみるように、マップが表しているデータは、メタル/ラフ ネスワークフローでのそれと同じものだ。しかしながら、わたし 達は同じガイドライン従いつつも、マップのオーサリング方法 については異なっているのである。データは異なるマップに配 置されるが、それでも私たちは同じ原則に従っている。すでに 述べたように、不導体のF0、メタル反射率、アルベドカラーの 輝度範囲などの全ての値は、実際に測定されたデータより導 かれねばならない。ガイドラインで後に説明する各々のマップ をみると、それらが実測されたデータに基づいていることがわ かる。本章において、メタル/ラフネスの章においてカバーされ ていたような正確な情報を繰り返すことはない。そのむしろそ の違いのほうにフォーカスを当て、スペキュラ/グロッシネス ワークフロー向けにどんな注意をしておく必要があるか注目 する。 図21 ディフューズ(sRGB基準のRGB) 1.カラーは、非金属(ノンメタル)マテリアルのアルベドと生の金属(ローメタル)の黒(0.0)を意味している。 2.ベースカラーは、マイクロオクルージョンを除いて、ライティング情報を欠いている必要がある。 3.生の金属(ローメタル)の黒を除き、暗めの値は、sRGBで30(ゆるめの範囲)もしくはsRGBで50(厳密な範囲)を   下回ってはいけない。 4.明るい値は、sRGBで240を上回ってはいけない。 スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフロー このワークフローでは、メタル反射率の値および ノンメタルのF0は、スペキュラマップ内にセットさ れている。スペキュラ/グロッシネスワークフロー には、RGBマップが2つあって、ひとつがディ フューズカラー(アルベド)で、もうひとつが反射 率の値(スペキュラ)である。スペキュラマップを 使うことで、マップそれ自体に含まれる不導体マ テリアルのF0を制御することができる。 メタル/ラフネスワークフローで述べたように、 SubstanceのPBRシェーダーは、エネルギー保 存の法則を制御している。このことはスペキュ ラ/グロッシネスワークフローではさらに重要な 意味をもつ。というのも、スペキュラマップが不 導体のF0をフルコントロールしているが故に、も し正しくない値が含まれていると、マップがより 影響を受けやすくなるからである。 メタル/ラフネスワークフローでのベースカラーマップと同様に、ディフューズマップにはアルベドカラーが含まれている。   しかし、ディフューズマップには反射率の値は一切含まれていない。 作成のガイドライン ディフューズマップはアルベドカラーのみである。図22に示すように、金属は拡散色(ディフューズカラー)を持っていないため、 生の金属(ローメタル)を示す領域は黒(0.0)になる。酸化が発生した場合、金属領域は色を含むようになり、もはや生の金属とし てあつかわれなくなる。汚れや、生の金属の上に不導体の層(レイヤー)を作り出すその他のエフェクトについても同様である。 色調という意味では、ディフューズマップのガイドラインは、ベースカラーマップのそれと同じである。しかしながら例外として、生 の金属(ローメタル)が存在する場合、0.0(黒)の値が許可され、暗めの値の範囲に関するガイドラインによって支配されなくなる。
  • 15. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 14 図23 スペキュラマップは、 異なる不導体マテリアルの 値をひとつのマップの中で オーサリングできるように する 図22 スペキュラ(sRGB基準のRGB) 図23に示すように、スペキュラマップは、金属反射率の値および非金属のF0値を定義している。このRGBマップは、異なる   不導体マテリアルの値をひとつのマップの中でオーサリングできるようにする。これが、不導体の反射率が4%にハードコード されていて、唯一スペキュラレベルチャンネルを介してのみ調整できる、メタル/ラフネスワークフローとの違いである。   メタル/ラフネスワークフローで触れたように、F0値のデータは現実世界の測定値から導出されるべきである。不導体のF0値は グレースケールとなり、いくつかの金属は異なる波長の光を吸収するように金属反射率を色づけすることができる。 作成のガイドライン スペキュラマップは金属と非金属の両方のF0値を含んでいるので、各々のマテリアルタイプに応じて個別のカテゴリーに マップを分割すること。 生の金属(ローメタル) F0値は、現実世界のデータに基づくべきである。メタリックマップで説明したように、酸化や非金属であることを示す   レイヤーがある場合には、ローメタルの反射率を低くする必要がある。スペキュラ/グロッシネスワークフローの場合に は、図24に示すように、汚れや酸化した部分は、ディフューズマップ内のローメタルのディフューズカラーを上げ、   スペキュラマップ内の反射率の値を下げる。例として、図24に示されているローメタル上の汚れ層を見てみよう。   スペキュラマップ中の「汚れ」が、適切な不導体のF0値を含んでいる。この場合では、0.04(4%)を使用している。
  • 16. vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 15 図25 図24 不導体(誘電体/絶縁体) 不導体マテリアルのF0は、同様にスペキュラマップ中にオーサリングされる。ここであなたはF0値を完全に   制御し、しかし、それは正しいデータを使用することが重要である。第一巻で説明したように、非金属(絶縁体/ 誘電体)は、電気伝導性に劣っている。屈折光は散乱および/または吸収され、(多くの場合サーフェイスから再 放出されるとはいえ、)それらのマテリアルが反射する光の総量は、金属よりも遥かに少ない。一般的な不導体 の場合、その値は屈折率(IOR)から計算されたF0ベースで2〜5%ぐらいだろうと既に説明した。図25に示すよ うに、宝石を除き一般的な不導体マテリアルについては、そのF0はリニアで0.02〜0.05の範囲内にある。sRGB で言うと、sRGBで40〜75というスケールの範囲が、リニアでの0.02〜0.05(2〜5%)の範囲と重なっている。 もしある特定のマテリアルのIOR値を見つけることができない場合は、4%(0.04は、プラスチック)を使うとよい。 図21に示したように、宝石は例外であって、リニアで0.05〜0.17の範囲を持っている。シェーダーには、リニアで 0.0〜0.08の範囲がマッピングできる。ゼロは空気を表現するために必要とされる。
  • 17. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 16 1.スペキュラマップには、不導体のF0とローメタルの反射率の値が含まれている。 2.不導体は金属よりも、はるかに少ない量の光を反射する。一般的な不導体の値は約2〜5%であり、   sRGB基準ではsRGB 40〜75の値となる。これはリニアでの0.02〜0.05と重なっている。 3.一般的な宝石は、リニアで0.05〜0.17の範囲内に収まる。 4.一般的な液体は、リニアで0.02〜0.04の範囲内に収まる。 5.ローメタル(生の金属)の反射率値は、スペキュラ(鏡面反射)で70〜100%の範囲までに高くなるが、   それをsRGBでマッピングすると180〜255になる。 6.もしある特定のマテリアルのIOR値を見つけることができない時は、4%(0.04はプラスチックにあたる)を使うとよい。 図26 1.創造的に、かつ、そのサーフェイスにまつわるストーリーを視覚的に語ること。 図27 作成のガイドライン グロッシネス(光沢度)(リニア基準のグレースケール) グロッシネスマップは、図26に示すよう に光の拡散を引き起こす、サーフェイス の凹凸を記述するものである。グロッシ ネスマップでは、黒(0.0)がラフなサー フェイスを表し、白(1.0)がスムーズな サーフェイスを表している。これは、メタ ル/ラフネスワークフローにおける、ラフネ スマップの逆である。グロッシネスマップ には、すでにラフネスの章で述べたのと 同じ、アーティスト向けのガイドラインが 適用できる。 光の拡散を引き起こす、 サーフェイスの表面の 凹凸を記述する 解像度とテクセル密度 両方のワークフローにおいてエッジへのアーティファクトがどのように発生するについてすでに論じている。メタル/ラフネスの 章で詳しく説明したことだが、エッジへのアーティファクトはメタル/ラフネスワークフローのほうがより顕著に表れやすい。また 同時にスペキュラ/グロッシネスにおいては、ローメタルはディフューズカラーを持たないので、ディフューズマップに黒が含ま れていることも述べた。図27に再度示すように、黒の値は、ノンメタルのディフューズカラーに補間されて、黒のフリンジの原 因となる。 ここで、ドキュメントの解像度とテクセル 密度が、エッジのアーティファクトの可視 性に対し直接的な影響を与えることを、 繰り返し言っておこう。例えば、メタルとノ ンメタルの間の遷移領域を作成するため にハードエッジブラシを使っているとして も、ドキュメントの解像度が低いとその エッジは以前としてソフトのままになって しまうので、結果アーティファクトが酷く なってしまう。この低解像度の問題は、   ドキュメントの解像度に対して十分なテク セル密度を提供できるようスケーリングさ れていないUVによっても、同様に引き起 こされる。図28に再度示すが、UVに最適 なテクセル密度を提供することが、この 問題をコントロールするためのベストの 方法である。
  • 18. vol. 2 - Practical guidelines for creating PBR texturesPage 17 1.テクセル密度と解像度が、スペキュラ/グロッシネスワークフローにおいて表れる黒フリンジに影響する。   使っているUVがアーティファクトを最小化すべく、ドキュメントの解像度に合わせて最適な密度を提供しているか、   確認すること。 ドキュメントの解像度とテクセル密度は、エッジのアーティファクトの可視性 に対し直接的な影響を与える スペキュラ/グロッシネス(鏡面/光沢度)ワークフローの長所と短所 1.エッジアーティファクトが目立ちにくい。 2.スペキュラマップ中の不導体F0値に対するコントロールができる。 短所 1.スペキュラマップが不導体F0をコントロールできるので、もし不正確な値が使用されているとより影響を受けやすくなって   しまう。シェーダー中で正確に扱われないと、エネルギー保存の法則を破ってしまうことがある。 2.追加のRGBマップで、より多くのテクスチャメモリを消費してしまう。 3.伝統的なワークフローと同じテクニカルタームを使っているにも関わらず、違うデータを必要とするので、より混乱を   招きやすい。もしシェーダー側に処理されない場合、物理ベースのガイドラインに関するより多くの知識を必要とする。   例えば、不導体の正確なF0値、ディフューズカラーでローメタルが黒になること、エネルギー保存の法則をきちんと守る   ことなど。 ビデオウォークスルーもご利用ください:http://www.allegorithmic.com/pbr-guide 図28 作成のガイドライン 長所
  • 19. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 18 Sunstance Designerでは、アンビエントオクルージョンは、統合されたベーキングツールセットを使うことで、メッシュもしくは ノーマルマップからベイクすることができる。さらに図30に示すように、ハイトをアンビエントオクルージョンに変換するアンビ エントオクルージョンノードもある。 図31に示すように、Bitmap2Materialを使って、ソース画像からアンビエントオクルージョンを生成することもできる。 図29 図30 アンビエントオクルージョ ンは、ディフューズの寄与 のみに影響を与え、スペ キュラの寄与を塞がないよ うにしなければならない。 両方のワークフローに共通するマップ アンビエントオクルージョン アンビエントオクルージョン(AO)マップは、サーフェイス上の一点に到達可能な周囲の(アンビエントな)環境照明がどれほ どあるか定義するマップである。アンビエントオクルージョンは、ディフューズの寄与のみに影響を与え、スペキュラの寄与 を塞がないようにしなければならない。Unreal  Engine  4のように、いくつかのエンジンは、スクリーンスペースリフレクション のためのオプションを持っており、ローカルリフレクションをシミュレートするためのオプションがある。アンビエントオクルー ジョンをスクリーンスペースリフレクションと一緒に使うのは、ベストコンビネーションだ。 Substance  PBRシェーダーでは、(環境 マップから生成された)アンビエント照 明にアンビエントオクルージョンが乗 算される。 アンビエントオクルージョン マップはPBRシェーダーのテクスチャサ ンプラーから与えられ、図29に示すよ うなオプション的なチャンネルである。 アンビエントオクルージョンはテクス チャマップに焼き込まれるべきもので はなく、シェーダーに与えられる時に は必ずそれ自身独立したチャンネルと して与えられるものである。 アンビエントオクルージョンの作成
  • 20. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 19 ハイトマップは、レンダリングにおいてし ばしばディスプレイスメントとして用いら れるが、PBRの場合には視差(parallax) マッピングのために使われることで、図 32で示すように、際だったデプスと結果 生み出される強烈なリアリズムをノーマ ルおよびバンプマッピングに足すために 用いられる。Substance Designerはレ リーフマッピング視差アルゴリズムを使 用する。ハイトマップは、テクスチャサン プラーでPBRシェーダーに与えられ、オ プション的なチャンネルである。また図 32に示すように、Substance Designer では、シェーダー上のレリーフパラメタを 使うことでその効果をコントロールするこ とができる。 アンビエントオクルージョンと同様に、統合されたベーキングツールセットを使用することで、Substance Designerはメッシュ からハイトをベイクすることができる。また図33に示すように、ノーマルマップからハイトをコンバートするための、 Normal to Height ノードがある。 図34に示すように、Bitmap2Materialを使って、ソース画像からハイトを生成することもできる。Substance Designerのベク ターもしくはビットマップペインティングツールを使って、ハイトデータを自分で塗ってしまうことすらできる。とは言っても、ハ イトをペイントするためのベストの方法はSubstance Painterを使うことで、図35に示すように、3Dメッシュに直接に詳細に ペイントすることができる。 図32 ハイトは視差(parallax)マッピングに使われ、際だったデプスと結果 生み出される強烈なリアリズムを加えるために用いられる 図31 ハイト(高さ) ハイトの作成
  • 21. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 20 図33 図34 図35 Bitmap2Materialは、 ソース画像からハイトを 生成することができる Substance Painterを 使ってハイトをペイント することができる
  • 22. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 21 Bitmap2Materialは、 ソース画像からノーマル を生成することができる 図37 ノーマル(法線)マップは、サーフェイスの細部をシミュレートするために使用されるマップで、その使い方ははPBRにおい ても、非PBRのワークフローと同様である。しかし、たとえノーマルマップがサーフェイスの細部をシミュレートするにしても、 ノーマルマップからサーフェイスの細部情報を取り出し、ラフネスやグロッシネスマップに対し同じように影響するようにし ておくのは有益なことだ。 図36 ノーマル(法線) ノーマルの作成 ノーマルマップは、統合されたベーキングツールセットを使用し、Substance  Designerでメッシュからベイクすることがで きます。また図36に示すように、ハイトをノーマルマップに変換するノーマルノードがある。図37に示すように、 Bitmap2Materialを使って、ソース画像からノーマルを生成することもできる。Substance  Designerのベクターもしくは ビットマップペインティングツールを使って、ハイトデータを自分で塗ってしまい、さらにノーマルノードを使って、それら をノーマルデータにコンバートすることもできる。Substance  Painterでペイントされたハイトデータを、ノーマルマップとし てエクスポートすることもできれば、同じ様にダイレクトにノーマルデータをペイントしてしまうことも可能だ。 Substanceツールセットを使用して、ノーマルをベイクしたり、変換して 作ることができる
  • 23. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 22 このセクションでは、PBRテクスチャをオーサリングしたり正確な反射率の値を設定することを支援する、いくつかのSubstance ユーティリティについて説明する。ユーティリティは、マテリアル、補正、値に基づきセクションごとに分類されている。これらの ノードは、このマニュアルに記載されている原則と概念に基づいて設計されたものだ。 Substance PBR ユーティリティ マテリアル Bitmap2Material 3 B2M  3は、スタンドアロンのアプリ(Indie/Pro)もしくはSubstanceマテリアル(Proのみ)として提供されるが、それはたった 一枚イメージソースを投入すれば、メタル/ラフネスもしくはスペキュラ/グロッシネス用のPBRマップを作成する。またマッ プをタイル化することもできるし、ライトキャンセル機能を利用してアルベドを作成したり、ノーマルやハイトマップを作成 するにも優れている。図38に示すように、B2M  3は各種マテリアルのベーステクスチャを作成するための実に素晴らし いツールである。 図38 PBRベースマテリアル 本ノードは、完全なベースマテリアルを作るためのユーティリティで、図39に示すようにSubstance  Designerライブラリの Filters>PBR  ULliLes以下より見つけることができる。本ノードは、メタル/ラフネスとスペキュラ/グロッシネスワークフ ローの両方をサポートしている。本ノードは、ローメタルマテリアルの一般的なプリセットを提供すると同時に、ノンメタ ル作成用に不導体のアルベドを設定することができる。また、グランジ(汚れ)量オプションを使って、ワークフローに応 じてラフネスおよびグロッシネスをコントロールすることができる。また別の方法として、Substance  Painterで作成した ベースマップをインポートしている場合、カスタムマップインプットの追加を選択してみると、うまく機能してくれる。この 方法を使うことで、他の様々なマテリアルとブレンドすることができるマテリアルノードを素早く作成することができる。 図39 ビデオウォークスルーもご利用ください: http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
  • 24. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 23 図40 PBR Substanceマテリアル Substance  DesignerおよびSubstance  Painterには、PBRキャリブレーション済みのマテリアルが搭載されている。それらは Substanceフォーマットにコンパイルされた、プロシージャル、ハンドペイントおよび写真から作られたマテリアルのコンビ ネーションである。Substanceマテリアルなので、それらにはテクスチャの外観を各種のパラメターを使ってダイナミックに コントロールできるという利点がある。それらのおかげで、マップをゼロからオーサリングすることなく、高速かつ効率的 な手法を使ってPBRコンテンツを制作できる。 Substance  Designerでは、Substance素材は、PBR  Materials下のLibraryで見つけることができる。そこには、 Gametextures.comによって提供されている、ハンドペイントのPBRマテリアルのセットもある。あなたが所有する Allegorithmicのアカウントから、追加のGametextures.com製PBRマテリアルをダウンロードすることも可能だ。 Substance  Painterでは、Substance素材はシェルフ内のマテリアルタブの中にある。そこには同様にGametextures.comか らのマテリアルのセットもある。Gametextures.comマテリアルを、あなたが所有するAllegorithmicアカウントからダウン ロードして、マテリアルタブにインストールすることができる。 Substance  DesignerおよびSubstance  Painterで提供されているコンテンツに加えて、Substanceデータベースには莫大な 量のPBRキャリブレーション済みのマテリアルが収録されている。それらもまた、Substanceフォーマットにコンパイルされ た、プロシージャル、ハンドペイントおよび写真から作られたマテリアルのコンビネーションである。 反射率値 不導体F0 図40に示すように、このノードは一般的な不導体マテリアルのF0値を出力する。プリセットから値を選択してもよいし、 IORインプットフィールドにIOR値を入れて、F0値を計算することもできる。このノードは不導体マテリアル向けに設計さ れており、スペキュラ/グロッシネスワークフローで使われる他にも、メタル/ラフネスワークフローのスペキュラレベル チャンネルとして使用される。 ビデオウォークスルーもご利用ください: http://www.allegorithmic.com/pbr-guide 金属反射率 このノードは、一般的なローメタルマテリアルの反射率の値を出力し、Substance  DesignerライブラリのFilters>PBR以下 にある。図41で示すように、いくつかのプリセットのメタル値から選択することができる。
  • 25. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 24 図42 ビデオウォークスルーもご利用ください: http://www.allegorithmic.com/pbr-guide コレクション(補正) PBR メタル/ラフネス検証(バリディト) このノードはメタル/ラフネスワークフローで動作するように設計されており、図42で示すように、ベースカラーおよび メタルマップの不正な値をチェックするユーティリティである。このノードはSubstance  DesignerライブラリのFilters> PBR以下にあって、ノードは赤から黄色、緑へと変化するヒートマップを出力する。赤は不正な値を示し、緑/黄色が 正しい値である。金属に関しては、メタリックマップ中において(sRGBで235を越える値によって)「金属」と示されてい る領域に対し、それに対応するベースカラー中のF0値を、本ノードはチェックする。ヒートマップは、F0のレンジが低 すぎる可能性がある範囲を表示する。アルベドに関しては、本ノードは不導体の輝度範囲が正確かどうかをチェック する。 図41 ビデオウォークスルーもご利用ください: http://www.allegorithmic.com/pbr-guide
  • 26. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 25 図43に示すように、このノードは、ベースカラーまたはディフューズマップの値を補正する。本ノードを使うことで、それらの値 は確実に不導体の補正済み輝度レンジ内の収まることになる。本ノードは、Substance DesignerライブラリのPBR Utilities下 にある。 図43 コンバージョン(変換) BaseColor_metallic_roughness_to_diffuse_specular_glossiness 図44 PBR セーフカラー ビデオウォークスルーもご利用ください: http://www.allegorithmic.com/pbr-guide 図44に示すように、このノードは、メタル/ラフネスワークフローからスペキュラ/グロッシネスワークフローへとマップを変 換する。本ノードは、Substance  DesignerライブラリのPBR  ULliLes下にある。
  • 27. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 26 付録 ‒ チャート サーフェイスはメタルか? 図45 図46 あるサーフェイスを、メタルかノンメタルかにブレイクダウンしてみると、とてもわかりやすくなる。私はテクスチャ作成プロセ スを開始するにあたって、多くの場合、まずマテリアルをじっくりと調べた後で、自分がメタルを作ろうとしているのか、それ ともそうでないのかを自分自身に尋ねている。この質問を通じて、図45および46で示すような、この巻全体を通じて説明し てきたテクスチャ作成プロセスのガイドラインを導き出すことができる。図45はメタル/ラフネスワークフローを用いており、 図46はスペキュラ/グロッシネスワークフローである。 サーフェイスはメタルか? メタル/ラフネスワークフロー (メタルマップ内の白) ベースカラー(アルベド) ・カラーが表すのは、非金属の場 合アルベドで、金属の場合反射率 の値である ・生の金属はディフューズカラーを 持っていないので、黒になる。金 属のディフューズカラーは、マップ で作成されない ・マイクロオクルージョンの例外を 除き、ライティング情報を欠いてい るべきである ベースカラー(反射率) ・反射率は、ベースカラー中に 作成される   ・スペキュラで70〜100%は、 sRGBで180〜255にあたる   ・現実世界の測定値を使用す ること   ・金属上に酸化や汚れ層があ る時、反射率カラーは、非金 属を考慮して下げられなけれ ばならない (メタルマップ内の黒) ベースカラー(アルベド) ・値は、反射されたカラーを表す
 ・暗めの値は、sRGBで30(ゆるめ の範囲)〜sRGBで50(厳密な範 囲)を下回ってはいけない ・sRGBで240を越える明るい値は ない 不導体反射率 ・4%(リニアで0.04)の決め打ちの 値となり、マップで作成されない *ただし、スペキュラレベルチャン ネルを除く ・現実世界の測定値を使用するこ と ・リニアで0.02を下回る値はない ・値が見つからない場合には、 0.04(4%)を使うこと サーフェイスはメタルか? スペキュラ/グロッシネスワークフロー ディフューズ(アルベド) ・カラーが表すのは、非金属の場合アルベドで、生の金属の場合 には黒(0.0)である。 ・値は、反射された色を表す ・暗い値は、sRGBで30(ゆるめの範囲)∼sRGBで50(厳しめ の範囲)を下回ってはいけない ・sRGBで240を上回る明るい値はない ・マイクロオクルージョンの例外を除き、ライティング情報を欠 いているべき スペキュラ(反射率) ・金属反射率および不導体FO値は、スペキュラマップ内に作成さ れている ・金属のスペキュラは70∼100%、これはsRGBで180∼255に あたる ・一般的な不導体は2∼5%、sRGB基準だとその値はsRGBで 40∼75になっているべきだが、それはリニアで0.02∼0.05の範 囲と重なっている ・現実世界の測定値を使用すべき ・金属に酸化または汚れ層がある時、反射率カラーは非金属を考 慮して下げられなければならない ・リニアで0.02を下回る値はない ・値が見つからない時には、0.04(4%)を使用すること
  • 28. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 27 反射率値 図47は、不導体F0の範囲を示している。不導体は金属よりも、はるかに少ない量の光を反射する。一般的な不導体の値は 約2〜5%であり、sRGB基準ではsRGB 40〜75の値となる。これはリニアでの0.02〜0.05と重なっている。図48で、不導体 F0と金属反射率の値を共に見ることができる。金属に関しては、スペキュラレンジは70〜100%内であり、sRGB値で180〜 255にマッピングされる。 図47 図48
  • 29. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 28 正確/不正確の比較 図49より、メタル/ラフネスワークフローを使用して、正確に作成したマップと不正確に作成したマップの例を見てみる。汚れおよ び塗料の不導体層はアルベド値が暗すぎるし、しかもメタリックマップ中において汚れが生の金属としてマークされている。また、 ベースカラー中において金属反射率の値が低すぎる値にセットされており、70〜100%のスペキュラレンジで反射しない。 図50より、スペキュラ/グロッシネスワークフローを使用して、正確に作成下マップと不正確に作成したマップの例を見てみる。 生の金属の全てが、ディフューズマップ中の値が明るくなりすぎている。生の金属は黒でなければならない。不導体の塗料や汚 れの層は、ディフューズマップ中のアルベド値が暗すぎる。汚れ層は、スペキュラマップ中でF0値が明るすぎる。汚れのF0値は 不導体の範囲と一致しない。 図49 図50
  • 30. vol. 2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドラインPage 29 Allegorithmicが開発する、新世代の3Dテクスチャリングソフトウェア:Substance Pinter、Substance Designerおよび Bitmap2Material。ほとんどのAAAゲームスタジオではこれらのツールを使用しており、Substanceは、次世代のPBR(物理 ベースレンダリング)のアセット作成のためのスタンダードとなっている。 Substanceの詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。 www.allegorithmic.com
  • 32. vol.2 - PBRテクスチャを作成するための実用的なガイドライン Page 30 日本語訳:Nobuyuki Kobayashi Twitter @nyaa_toraneko 2015/02/09 本ドキュメントは、Allegorithmic社が公開している 『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE ‒ Vol. 2: Practical guidelines for creating PBR textures 』 を私家訳したものです。 全ての著作物の権利は、Allegorithmic社にあります。 オリジナル版は、 http://www.allegorithmic.com/pbr-guide よりダウンロードできます。